話題のアスリートの隠された物語を探る「スポーツアナザーストーリー」。3月10日に行われた侍ジャパン強化試合で新4番として大活躍した、オリックス・吉田正尚(よしだ・まさたか)選手のエピソードを取り上げる。
「なかなかこのような機会はなかったですし、ここでいいところ見せられたら、と思っていたので、最高の結果になってよかったです」
10日、京セラドーム大阪で行われた、野球日本代表・侍ジャパンの強化試合、対メキシコの第2戦。オリックスのホームで行われたこの試合で、侍の新4番に抜擢されたのが、左の大砲・吉田でした。初回、吉川尚のヒットと2四球で無死満塁。絶好のチャンスで、第1打席が回ってきたのです。
「しっかり自分のスイングをしようと思って打席に立ちました。ちょっと初球立ち遅れたので、真っ直ぐ一本、思い切り行きました」
狙い澄ましたフルスイングで、満塁ホームランをライトスタンドへ叩き込んだ吉田は、さらに7回にもダメ押しの犠飛を放ち、2打数2安打5打点の大活躍。日本は6-0で圧勝し、第1戦で逆転負けした借りを返しました。稲葉監督も、みごと期待に応えてくれた吉田を絶賛しています。
「つなぐ意識を持って、吉田選手の一発。あの一発が勝ちにつながりました。素晴らしい打球だなと。打った瞬間、『いけー!』と叫んでしまいましたけど、普通に入ってましたね」
その類い希なパワーを買われ、今回の強化試合で、初めて侍ジャパンのトップチームに招集された吉田。デビュー戦となった9日の第1戦では、「5番・DH」で出場。初回、元日本ハムのL・メンドーサからセンター前にタイムリーを放ち、8回にもセンター前ヒットと、好打を連発しました。
これで吉田は、2試合通算5打数4安打6打点の大暴れ。試合後、メキシコ代表の監督が「彼はアメリカでプレーしているのか?」と報道陣に逆質問したほどです。
吉田は侍に対し、以前からの思い入れもありました。青山学院大時代、侍ジャパンの大学代表として、2年時に日米大学野球に出場。4年時には、ユニバーシアード大会で4番を務め、日本を優勝に導いた経験があるのです。
「(日本代表は)大学生の時以来なんですけど、日の丸の重みも感じましたし、またユニホームを着てプレーしたいなと思いました」
日本球界でも屈指のパワーと飛距離を誇る吉田ですが、身長173センチと、プロ野球選手としては小柄なほうです。ではなぜ打球が飛ぶのかというと、その理由は、体全体を目一杯使ったフルスイング。
ただし、フルスイングを続けた結果、慢性の腰痛を抱えることになり、1年目の2016年は63試合、2年目の17年は64試合と、シーズンの半分近くを欠場することになりました。それでもホームランは10本、12本と2年連続で2ケタを記録。「フル出場さえできれば、もっとホームランを打てるのに……」
そんな思いから、吉田は2年目のオフ、巨人・高橋由伸前監督など、多くのアスリートを執刀した名医の手術を受けました。これが成功し、憂いのなくなった昨シーズンは、3年目にして初のフル出場を果たしたのです。打率.321、26本塁打、86打点の堂々たる成績で、ベストナインにも選ばれました。
今シーズンも、オープン戦で7打数3安打、打率.429と好調を維持。その秘訣は:
「センター方向へ強い打球を心がけています」
打球の滞空時間が長くなるよう、打つときにスピンがかかるよう意識して打席に立っている吉田。昨年も、バットを折りながらホームランを打つ、という離れ業を演じ、オリックスが「折れ(=俺)のホームラン」という吉田直筆の記念Tシャツを出したほどです。
今年のシーズン後にプレミア12、そして来年には東京オリンピックを控える稲葉監督にとっても、右の岡本に、左の吉田と、4番の選択肢が増えたのは好材料です。
「あれだけ飛ばす選手は、そういない」「外野手にたくさんいい選手がいる中で活躍をしてくれた。こういう結果もふまえながら、どうしていくか考えていきたい」
ファンが、応援グッズのダンベルを振る姿も話題になった吉田ですが、最後は「マッチョマンポーズ」で場内を沸かせました。侍での活躍を手土産に、ペナントレースでもホームランを量産し、オリックスを23年ぶりの優勝へと導いてくれることをファンは期待しています。
「なかなかこのような機会はなかったですし、ここでいいところ見せられたら、と思っていたので、最高の結果になってよかったです」
10日、京セラドーム大阪で行われた、野球日本代表・侍ジャパンの強化試合、対メキシコの第2戦。オリックスのホームで行われたこの試合で、侍の新4番に抜擢されたのが、左の大砲・吉田でした。初回、吉川尚のヒットと2四球で無死満塁。絶好のチャンスで、第1打席が回ってきたのです。
「しっかり自分のスイングをしようと思って打席に立ちました。ちょっと初球立ち遅れたので、真っ直ぐ一本、思い切り行きました」
狙い澄ましたフルスイングで、満塁ホームランをライトスタンドへ叩き込んだ吉田は、さらに7回にもダメ押しの犠飛を放ち、2打数2安打5打点の大活躍。日本は6-0で圧勝し、第1戦で逆転負けした借りを返しました。稲葉監督も、みごと期待に応えてくれた吉田を絶賛しています。
「つなぐ意識を持って、吉田選手の一発。あの一発が勝ちにつながりました。素晴らしい打球だなと。打った瞬間、『いけー!』と叫んでしまいましたけど、普通に入ってましたね」
その類い希なパワーを買われ、今回の強化試合で、初めて侍ジャパンのトップチームに招集された吉田。デビュー戦となった9日の第1戦では、「5番・DH」で出場。初回、元日本ハムのL・メンドーサからセンター前にタイムリーを放ち、8回にもセンター前ヒットと、好打を連発しました。
これで吉田は、2試合通算5打数4安打6打点の大暴れ。試合後、メキシコ代表の監督が「彼はアメリカでプレーしているのか?」と報道陣に逆質問したほどです。
吉田は侍に対し、以前からの思い入れもありました。青山学院大時代、侍ジャパンの大学代表として、2年時に日米大学野球に出場。4年時には、ユニバーシアード大会で4番を務め、日本を優勝に導いた経験があるのです。
「(日本代表は)大学生の時以来なんですけど、日の丸の重みも感じましたし、またユニホームを着てプレーしたいなと思いました」
日本球界でも屈指のパワーと飛距離を誇る吉田ですが、身長173センチと、プロ野球選手としては小柄なほうです。ではなぜ打球が飛ぶのかというと、その理由は、体全体を目一杯使ったフルスイング。
ただし、フルスイングを続けた結果、慢性の腰痛を抱えることになり、1年目の2016年は63試合、2年目の17年は64試合と、シーズンの半分近くを欠場することになりました。それでもホームランは10本、12本と2年連続で2ケタを記録。「フル出場さえできれば、もっとホームランを打てるのに……」
そんな思いから、吉田は2年目のオフ、巨人・高橋由伸前監督など、多くのアスリートを執刀した名医の手術を受けました。これが成功し、憂いのなくなった昨シーズンは、3年目にして初のフル出場を果たしたのです。打率.321、26本塁打、86打点の堂々たる成績で、ベストナインにも選ばれました。
今シーズンも、オープン戦で7打数3安打、打率.429と好調を維持。その秘訣は:
「センター方向へ強い打球を心がけています」
打球の滞空時間が長くなるよう、打つときにスピンがかかるよう意識して打席に立っている吉田。昨年も、バットを折りながらホームランを打つ、という離れ業を演じ、オリックスが「折れ(=俺)のホームラン」という吉田直筆の記念Tシャツを出したほどです。
今年のシーズン後にプレミア12、そして来年には東京オリンピックを控える稲葉監督にとっても、右の岡本に、左の吉田と、4番の選択肢が増えたのは好材料です。
「あれだけ飛ばす選手は、そういない」「外野手にたくさんいい選手がいる中で活躍をしてくれた。こういう結果もふまえながら、どうしていくか考えていきたい」
ファンが、応援グッズのダンベルを振る姿も話題になった吉田ですが、最後は「マッチョマンポーズ」で場内を沸かせました。侍での活躍を手土産に、ペナントレースでもホームランを量産し、オリックスを23年ぶりの優勝へと導いてくれることをファンは期待しています。