ニュース 2018.06.28. 16:04

子は親の鏡、選手は指導者の鏡

無断転載禁止
野球は選手だけでなく、指導者、保護者、講演者などいろんな方に支えられてチームを為しています。その人たち全員の振る舞いで「チームの佇まい」が形成されていきます。人の悪口を言う人が多いチームは「お互いを認められないチーム」、身勝手な振る舞いをする人が多いチームは「自分勝手なプレーをするチーム」になります。

私も息子が高校野球をやっている保護者でもあるので息子の試合観戦に伺いますが、同時に中学硬式野球の指導者でもあるので、野球を観る時には「指導者」の目で観ることが多いです。その時はうちの子もよその子も同じです。うちの息子が調子良くても調子の悪い子がいると気になりますし、「この子、凄く良い素材なんだけどなぁ」と思うと、そっちの方が気になってしまいます。家でも息子にその選手の話をします。プレー以外にも「◯◯くんはもしかして故障してない?」とか「グラウンド整備に一番最初に出てくるのは●●くんだね」「一番大きな声を出しているのは▲▲くんだと思う」など、直接的なプレー以外の話もします。

家で「今日はナイスピッチングだったね。」とか息子のプレーの話ばかりしていると、息子が自分勝手な選手になってしまいそうな気がするからです。野球はチームスポーツです。自らが役割を果たすことは重要ですが、同時に「仲間を想うこと」も同じくらい重要です。

最近の子どもはポジション争いをしているライバルのことは知っていても、他のポジションでは誰が一番上手いと思うか?などに「興味がない」という選手もいます。自分のポジションが脅かされるわけではないからです。「自分のことで精一杯」という気持ちも分からないでもないですが、そういう選手は敗戦の原因を他者のせいにしたり、不振に喘ぐ仲間を放置したり、「他人の痛みが分からない人」「大切な人を守れない人」になってしまうような気がします。

自分の子には不振の友達を見て見ぬ振りをするのではなく、居残り練習に付き合うような選手になって欲しいと思いますし、もし自分が恩を受けたら「恩に報いるような選手」になって欲しいと思います。野球が上手いとか下手とかより数段大切なことだと思うからです。

長く指導者をやっているとたくさんの保護者に出会います。
立派な選手の保護者はやはり立派な方が多いです。自分の子だけでなく、よその子のこともよく見ています。そして「足速くなったよね」「いつも用具を綺麗にしてるよね」とかプレーのことは分からなくても積極的に声をかけます。そしてその子供もどこか雰囲気が似ています。「子は親の鏡」です。

私は「選手は指導者の鏡」だと思います。
グラウンド内で何が起きても「自分が育ててきた選手だから」「自分のどこかを真似ているのかも知れない」と思うことにしています。そこに向き合い、自らも律することが自分自身の成長にも繋がると思うからです。


Facebookページ「少年野球指導者のひとり言」
https://www.facebook.com/baseball.knowledge


著者プロフィール

著者:廣川寿(ひろかわひさし)
愛媛県出身。松山北高校時代に投手として選抜高校野球(春の甲子園)に出場。甲南大学時代は投手として阪神大学野球連盟の数々の記録を塗り替える。社会人野球まで投手として活躍。自身の息子が少年野球チームに入部したことをきっかけに学童野球のコーチとなる。現在は上場企業の管理職として働く傍ら、横浜港北ボーイズのコーチとして「神奈川NO.1投手の育成」を目標に掲げ、中学生の指導に情熱を注ぐ。


「少年野球指導者のひとり言」関連記事

ポスト シェア 送る
連載・コラム
カラダづくり
練習
お役立ち
チーム紹介
TOPICS