ニュース 2018.09.25. 18:32

【少年野球指導者のひとり言】凡事徹底日本一

無断転載禁止
コーチを務めている中学硬式野球チームも3年生が引退して新チームになりました。大半のレギュラーが入れ替わり、ゼロからに近いスタートです。

昨日は新チーム初の公式戦が行われました。
試合前のミーティングで「このチームの戦いは今日から始まる。チームの状態は悪くないと思う。でももっともっと強いチームになるために練習を続けてきた。今日は帰りの車の中で寝てしまうくらい目一杯動いて欲しい。エラーしてもいいし、空振りしてもいい。目一杯やらないと今の自分たちの力が分からない。『やり過ぎ』くらいやろう!」
という話をしました。

そして試合。
初回に4番打者のホームランで先制。幸先良いスタート。
先発投手は制球に苦しみながらも何とか抑えていたが、守備の方はどうも雰囲気が重い感じだったのですが、3塁コーチャーズボックスあたりに飛んだゴロ(もちろん明らかなファール)に対して三塁手がダイビングキャッチを試みました。

このプレー、「捕ってもファール」です。しかもダイビングキャッチは怪我のリスクがゼロではないので、理屈で考えれば決して推奨できるプレーではないかも知れません。この選手はチームの主将です。決して派手なプレーをする選手ではないですが、チームで最も地道に努力を継続してきた選手だと思います。

この試合では自らの身をもって「『やり過ぎ』くらい動く」を実践してくれたおかげで守備の雰囲気は一気に変わりました。

「これから1年間、自分がチームを牽引する」

という彼の志を感じるプレーでした。
その後チームはリズムよく守り、攻撃も繋がって新チーム公式戦初戦をコールド勝ちで締めることができました。

非科学的かも知れませんが、野球において「心」は大切だと思います。
「攻める心」を持った選手は打席で好球を見逃さないですし、守備においてもスタートが早かったり、球際での粘りがあります。心がない選手は能力的に器用でもプレーの精度が低かったり、詰めの甘さが見られて能力を出しきれないケースもあります。決めたことを徹底してやり切る姿勢は技術的な上達のためにも必要なことだと思います。

今年の夏、甲子園は大阪桐蔭の春夏連覇と金足農フィーバーで湧きました。

その中でベスト4に残った済美高校の戦いぶりがとても印象に残りました。
愛媛県大会では第3シード。飛び抜けた選手が居るわけでもなく、むしろ現代高校野球の全国レベルで見れば小柄で非力な選手が多い部類だと思います。

しかしこのチームはせり合いを凌いだ試合もあれば、7点差をひっくり返す大逆転を演じた試合もあり、緊迫の投手戦を制した試合もありました。非常に勝ち方のバリエーションが多い、面白いチームでした。

済美高校は『凡事徹底日本一』という言葉を掲げているそうです。

派手なことはできなくてもいい。誰でもできることを誰よりも徹底的にやり切る。一年間、誰でもできることを誰よりもをやり切ると、今までとは違うことができるのではないか?

私ももう一度、「基本」「基礎」「セオリー」を学び直したいと思います。


Facebookページ「少年野球指導者のひとり言」
https://www.facebook.com/baseball.knowledge


著者プロフィール

著者:廣川寿(ひろかわひさし)
愛媛県出身。松山北高校時代に投手として選抜高校野球(春の甲子園)に出場。甲南大学時代は投手として阪神大学野球連盟の数々の記録を塗り替える。社会人野球まで投手として活躍。自身の息子が少年野球チームに入部したことをきっかけに学童野球のコーチとなる。現在は上場企業の管理職として働く傍ら、横浜港北ボーイズのコーチとして「神奈川NO.1投手の育成」を目標に掲げ、中学生の指導に情熱を注ぐ。


「少年野球指導者のひとり言」関連記事

ポスト シェア 送る
連載・コラム
カラダづくり
練習
お役立ち
チーム紹介
TOPICS