ニュース 2018.10.02. 13:57

【少年野球指導者のひとり言】足、足、足・・・

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最近10年くらい感じていることなのですが、小学生で「小柄で足が速い」という選手を見かけることがすごく少なくなりました。「小柄だけど打球を遠くへ飛ばす」という選手も少なくなりました。球速も同じことが言えます。

最近の小学生は全体的に下半身が細く、股関節の可動域も狭い選手が増えました。野球をやっても上半身だけでプレーしている選手が多く、必然的に体格のアドバンテージが競技の結果に反映しやすい傾向を感じます。

しかし指導者としては、野球という競技が人材の多様性を許容し、幅広く楽しめる競技であるためには「小柄な子でも活躍できる」でなくてはならないと感じています。

「小柄な子が体格のハンデを跳ね返すにはどうしたら良いか?」

「足!」

1日の練習で私はこの言葉を何回も何回も口にします。
野球選手が技術を確立していく上で、「足の動き」がとても重要だと思うからこそ、毎回の練習で「足の使い方」はかなりうるさく言い続けます。

キャッチボールは足の踏み込み方から。
打撃も足の使い方から。
守備も足運びから。

野球は手でボールを捕り、手でボールを投げ、バットを握った手でボールを打つ為、どうしても意識が上半身に偏りがちになります。足を動かさなくても手が届けばボールは捕れます。「最小限の動きで同じ結果」という点では「足を動かして捕球する」は非効率な方法とも言えます。しかし「捕って投げる」までやってこそ「野球」です。「捕る」「投げる」を行う上では、

(1)落球するリスクの低い捕り方
(2)送球の動作に移行しやすい捕り方

この2つをやり切らなければ、高い確率で良いプレーができる選手にはなれません。だからこそ「足を動かす」が重要になってきます。

「野球は下半身が大事だ!」と言う指導者は多数います。走り込みを課す指導者も多数います。しかし「なぜ大事なのか?」「どう大事なのか?」「具体的に足を使うとどんな効果があるのか?」を説明し、指導して、実際に効果を感じてもらえなければ、「走れ!」と言っても小・中学生にはなかなか分かってもらえません。

「足を使う技術」といっても一括りでは語れません。

(1)ボールへの反応を早くする技術
(2)プレーの安定感を高める技術
(3)上半身の出力を補助する技術

など様々です。

うちの投手陣はそれほど多くの球を投げ込むことはさせていませんが、球速は確実に上がっています。冬場から足の使い方を学んできた効果が着実に出ています。その結果、トレーニングに対する意識も向上しました。指導者は選手にきついトレーニングを課す限りは、「トレーニングの成果を反映できる技術」を教える義務があると思います。

選手がきついトレーニングに耐えて努力してくれているので、私も技術に対する継続学習を怠らずに指導にあたりたいです。

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著者プロフィール

著者:廣川寿(ひろかわひさし)
愛媛県出身。松山北高校時代に投手として選抜高校野球(春の甲子園)に出場。甲南大学時代は投手として阪神大学野球連盟の数々の記録を塗り替える。社会人野球まで投手として活躍。自身の息子が少年野球チームに入部したことをきっかけに学童野球のコーチとなる。現在は上場企業の管理職として働く傍ら、横浜港北ボーイズのコーチとして「神奈川NO.1投手の育成」を目標に掲げ、中学生の指導に情熱を注ぐ。


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