ノックのあとは紅白戦。試合中、控えの選手が「1分経過!」と、経過時間を読み上げていた。西村監督によると、指示をしたわけではなく、習慣付いているという。
「新チームからよくやるのが5分間ゲームです。表と裏の攻防を5分以内で終わらせる。その設定にすると、1球1球の間合いが短くなり、攻守交代も全力になる。ファーストストライクから振れないバッターも、自然に積極的に振るようになります」
感心したのが、球審の「ストライク!」のコールがほとんどなかったことだ。空振りストライクはあっても、見逃しストライクはない。
カウント0-0から始めることもあれば、2ボール1ストライクなど1球で追い込まれる状況設定にすることもある。
バッター陣はまるで硬球を打っているかのように、外野オーバーを連発していた。今のテーマはシンプルに「バットを振る」。フライアウトは気にせずに、とにかく強くバットを振っていく。
公式戦が終わったこともあり、バッティングのベース作りに重きを置く。チームでは年間通して950グラムの竹バットでの振り込みをしていて、振る力をつけている。
とはいっても、ヒットが出にくい軟式野球の場合は振るだけでは勝てない。バッティングの幅を広げるために、実戦練習のなかで進塁打や、ランナー三塁からのエンドランにも時間を割く。
今夏の全中では、森木大智擁する高知中に延長戦の末に惜敗し、悲願の日本一を逃した。 守備では、延長8回表に判断ミスが出て、結果的に決勝点につながった。
「打つ打てないというのは結果なので仕方がないところです。それよりも、やるべきことをどこまでできるか。基礎基本の大事さを改めて感じた全中でした」
新チームは秋の東京都大会で3連覇を果たすなど、今年も力がある。テンポを重視した駿台野球を究め、来夏の日本一に挑戦する。(取材・写真:大利実)