◆ 悔しい1年となった昨季
「チームも5位で、僕自身も貢献できなかった。悔しい1年ではあります」。
ロッテの唐川侑己は、昨年10月に2018年シーズンをこのように振り返った。「貢献できなかった」と話した唐川だが、昨季は夏場以降リリーフで存在感を示し、21試合に登板して、防御率は驚異の0.36(成績はリリーフのみ)、13試合連続無失点でシーズンを終えた。リリーフで結果を残した唐川だが、“1年間一軍でプレー”できなかったことを悔しがった。
年が明けて2月の春季キャンプでも「昨年は後半一軍で投げましたけど、全然力になれなかった部分がある。1年間通してしっかり一軍の力になるということが最大の目標ではあります」と“1年間一軍でプレー”することに強いこだわりを見せた。
1年間一軍で目指すうえで大事になってくるのが、実戦でのアピール。唐川は3月23日の巨人戦で3点を失ったが、3日の中日戦から21日の阪神戦にかけて実戦では5試合連続無失点に抑え、開幕一軍の切符を掴んだ。
「バッターとの兼ね合いもあるし、オープン戦でバッターが早打ちというのもあると思います」。3月3日の中日戦が8球、10日の中日戦が7球、19日の西武戦が12球など、少ない球数で1イニングを抑えたのが印象的だった。
◆ 「純粋にかっこいい」
開幕一軍入りを果たした唐川は、勝ちパターンの一角として期待された昨季26セーブを挙げた内竜也、新外国人のレイビンが出遅れた関係で、勝ち試合での登板が予想されている。
「去年は負け試合で投げることが多かった。勝ち試合を投げている益田、内さんを見ていて、純粋にかっこいいなと思っていた」と、勝ち試合で投げることに憧れていたという。
「そっち(勝ち試合のリリーフ)の方をやりたいという気持ちは当然あるので、そういった意味では今までとは違うのかなと思います」。
“勝ち試合”のリリーフで登板するとなれば、チームの勝利に直接関係してくる大事なポジション。
「僕が投げる前に野手も含めて、みんなが頑張ってバトンが渡ってくる。そういう想いを背負っていかないといけないと思う」。セットアッパーの難しさ、1球の重みを理解し投げるつもりだ。
その一方で、「それを気負うのではなくて、自分自身できることは限られている。そのなかで最大限の努力をしたいと思います」とも話した。
「まずは開幕一軍で迎えられるというところで、最初からチームの戦力としてやれるチャンスがある。それをチャンスと捉えて、最後までしっかりできればなと思います」。
リリーフとして初めて迎える開幕。今年こそ目標である1年間一軍のマウンドに上がり、チームの勝利に貢献し、秋には井口監督を胴上げしたいところだ。
取材・文=岩下雄太