驚異の奪三振率
ロッテの酒居知史が27日の楽天戦、5-5の7回からマウンドに上がり1イニングを三者三振に抑えた。
3番の浅村栄斗から始まる打順も、浅村をインコースのスプリットで見逃し三振、続く4番・島内宏明をスプリットで空振り三振、最後は5番・ウィーラーをアウトコースいっぱいの146キロのストレートで見逃し三振に仕留めた。
1年目の奪三振率が5.79、2年目の昨季の奪三振率が5.92だったが、今季は4月17日のソフトバンク戦から6試合連続で奪三振をマークするなど、奪三振率は12.00を記録する。ちなみに10試合以上登板するパ・リーグの投手は21人いるが、酒居は松井裕樹(楽天)の15.75、甲斐野央(ソフトバンク)の14.34、浦野博司(日本ハム)の12.54、青山浩二(楽天)の12.34に次いで5番目に奪三振率が高い。
酒居の今季の投球を見ていると、追い込んでからスプリットやストレートで三振を奪う場面が多い。酒居も「奪三振が多いと思いますね」と話す。なぜ今季、奪三振が増えているのか…。
その理由について「まずは、ストレートがよくなりました」と明かす。「ストレートがいい原因は、リリースがすごくいいところで放れている」と説明し、スプリットについても、「リリースが今は落ちる球にスゴくハマっている。相乗効果というか、そもそも昨年に比べて状態がいいですし、いい感じで投げられている部分が(奪三振や投球に)繋がっているのではないかなと思います」と自己分析した。
▼ 酒居のイニング数と奪三振数
16年:74回2/3/48奪三振
17年:83回2/3/55奪三振
18年:15回/20奪三振
今季からリリーフ
昨季までは主に先発を担当していたが、今季は開幕からリリーフを務めている。
酒居は先発とリリーフの調整は「全然違うと思いますね。先輩から聞いて学ぶこと、見て学ぶことはありますけど、去年はウインターリーグで後ろをやっていたので、その感覚を大事にしながらやっています」と経験をもとに登板の準備を進めている。
昨季途中からリリーフに転向した唐川は「決意したわけではないですが、1イニングだけなので、自信のあるボールを投げている感じです」とカットボールを中心に投げているが、酒居も「その日によって調子があると思うんですけど、僕の場合は真っ直ぐ。自信のある球を放らないといけないと思う。まっすぐ中心に投げるだけですかね」とストレートを軸にしているようだ。
最近は勝ち試合の7回を担当
開幕直後はビハインドゲーム、ロングリリーフでの登板が多かったが、4月17日のソフトバンク戦から主に勝ち試合の7回を任されている。
酒居は「ビハインドで流れを変えるには3人でというのが大事だったと思うんですけど、今はとにかく勝っているときなので、ゼロであれば問題ないかなと思います」と走者を出しても無失点に抑え、8回の唐川侑己に繋げることを心がけている。
チームの勝利に直結する7回のマウンド。「もちろん緊張はします。1点もやれない、逆転されてはいけない。それを、プレッシャーと感じず、意気として捉えながらやらせてもらっています」と話す。
「フォームに関しては、良い感じというところで自信を持っている。結果としてどう表れるかは僕が左右できないので、投げる前の段階のモチベーションはスゴク良いと思います」。内竜也、レイビンといった勝利の方程式として期待されるリリーフ陣が出遅れる中で、日に日に存在感を高めている酒居から目が離せない。
取材・文=岩下雄太