今季2セーブ目
「任された自分の仕事をやるだけです」。
ロッテの西野勇士は今季、開幕直後はビハインドゲームで登板していたが、ここ最近は勝ちパターンでの登板が増え、25日のソフトバンク戦では1点リードの9回から登板した。
1番・釜元豪をフォークで空振り三振に仕留めると、続く牧原大成を147キロのストレートで見逃し三振、最後もグラシアルを148キロのストレートで試合を締め、今季2セーブ目を挙げた。
悔しいシーズンを過ごした昨季
2014年から3年連続20セーブ以上を挙げながらも、近年は苦しいシーズンを送っていた西野。先発に配置転換した17年は5試合、昨季は再びリリーフに戻り14試合に登板したが、防御率は6.19。特に昨季はシーズンの大半をファームで過ごした。
昨季シーズン終盤には「自分が良かったときの感覚を取り戻そうというわけではないですけど、ある程度自分の中で良い感覚がある中で、ケガ以降かもしれないですが、そういう感覚を取り戻せていないところがある。正直それができていないというのは、今の結果がでていないことに繋がっているのかなと思っています。今年(2018年)は本当に全然できていないし、正直チームの戦力になれていない。かなり悔しい気持ちはあります」と明かした。
再びチームの戦力になるため、自主トレでは「遠投は必ずやろうというか、定期的にですがやり続けようと思っていた」と良いボールを投げるために、遠投を多く取り入れた。
オープン戦の時には良かったときの感覚に「戻りつつあります。まだ100ではないです。ハマったときはそのときと変わらないくらいの球が投げられている。そうでないときもあるので、そこがもうちょっと埋まってくれればという感じですね。7、8割はいい感じで来ています」と自身の中で手応えを掴みつつあった。
開幕直後はビハインドゲームで存在感
開幕一軍の切符をつかんだ西野は、今季最初の登板となった3月30日の楽天戦、続く31日の楽天戦は「自分の思っているところよりも、ちょっと引っかけているというか、ズレがあったなというのは感じました」と失点したが、4月2日の西武戦から23日の西武戦にかけて8試合連続無失点に抑えた。
開幕直後は主にビハインドゲームでのマウンドが中心だったが、そこでも逆転するチームの雰囲気を作り出すため、懸命に腕を振った。
「意味のある仕事をさせてもらっている。(4月9日の)オリックス戦みたいにサヨナラにつながるために投げないといけないポジションは絶対にある。そういう意味ではそれを考えながら、思いながら投げています」。
4月9日のオリックス戦は、5回まで2-4とリードされている展開も、8回の1イニングを無失点に抑えた西野をはじめとしたリリーフ陣が踏ん張り、9回に同点に追いつき、延長10回にサヨナラ勝ち。チームに勝ちを導くため、自分のやるべき仕事を黙々とこなした。
勝ちパターンに復帰
ビハインドゲームでの登板で結果を残し、5月9日の西武戦で3年ぶりにセーブを挙げ、21日のオリックス戦からは勝ち試合で登板している。
「仕事、役割を頭の中でしっかり意識して、それは今もやっているつもりでいます」と、覚悟を持ってマウンドに上がっている。
「去年、一昨年と苦しい思いをしたので、本当に必死になって、しがみついていくだけかなと思います」。昨年はシーズンの大半を二軍で過ごしていたが、その時も腐ることなく、若手投手陣とともに汗を流している姿があった。
「プロ野球の世界は、一軍にいてこそだと思うので、充実した日々を送れているかなと思います」。昨季は悔しい思いをした背番号“29”は、チームに勝利をもたらすためマウンドにあがる。
取材・文=岩下雄太