復帰の原口文仁も結果を出す
6月4日、阪神に頼れる男が戻ってきた。「代打の神様」こと原口文仁である。
原口は今年1月に大腸がんを公表。同月に手術を受けてリハビリを続けて順調に回復し、交流戦開幕と同時に一軍に復帰した。
一軍登録された6月4日のロッテ戦でさっそく見せ場が訪れる。7対3と4点リードで迎えた9回1死三塁の場面、敵地にもかかわらず、大歓声に迎えられながら代打起用されると、適時二塁打を放つ。二塁ベース上では気迫のヘッドスライディングも披露し、しっかりと復活を印象づけた。
6月9日の日本ハム戦では、同点で迎えた9回裏2死二、三塁の場面で登場。きっちりと中前へ弾き返し、それがサヨナラ打に。ここまで5度の代打起用で2安打と、代打打率.404(57-23)を記録した昨シーズン同様に、「代打の神様」ぶりを復帰早々発揮している。
この原口同様に、今シーズンの阪神は代打の起用があたっている。
リーグ唯一の代打打率3割超え!
阪神の代打打率.308(107-33)、4本塁打、20打点という数字は、すべてにおいてセ・リーグトップ(打点はタイ)の数字。その他のチームを見ると、代打打率が3割を越えているチームはなく、代打打率2位の巨人でも打率.213(122-26)で、中日に至っては打率.189(127-24)と1割台だ。
選手個人の数字を見てみると、上本博紀が打率.400、中谷将大が打率.364と高打率。その他にも5月29日の巨人戦で、代打サヨナラ満塁本塁打を放った高山俊、そして北條史也のふたりも打率.250。高山と北條は11日のソフトバンク戦ではスタメン出場し、高山は2安打1打点、北條はスクイズや送りバントといった小技をしっかりと決めてチームに貢献。原口だけでなく、その他の選手たちも矢野燿大監督の起用に応えている。
セ・リーグは指名打者制を用いていないため、交流戦のパ・リーグ主催試合以外では投手が打席に入ることになる。当然、試合終盤の勝負どころでは、投手に対しての代打起用は増えてくるわけだが、代打の層の厚さは、試合を左右する大きなポイントにもなり得る。
昨シーズンは屈辱の最下位に沈んだ阪神が、現在は32勝27敗で、2位とはゲーム差なしの3位と上位争いを演じている。その位置につけているのは、スタメン選手だけでなく代打で出場する選手たちの好調も要因のひとつと言えるだろう。
阪神はセットアッパーのジョンソンをはじめとした救援投手陣の好調が注目されているが、同じ試合終盤に大歓声を浴びて打席に入る代打陣もまた、奮闘中。大いに注目していきたい。
【セ・リーグ各球団代打成績】
▼ 阪神
打率.308(107-33) 本4 打点20
▼ 巨人
打率.213(122-26) 本2 打点20
▼ DeNA
打率.210(100-21) 本2 打点19
▼ 広島
打率.205(112-23) 本0 打点14
▼ ヤクルト
打率.205(132-27) 本3 打点15
▼ 中日
打率.189(127-24) 本2 打点16
【阪神の主な選手の代打成績】
▼ 上本博紀
打率.400(20-8) 本0 打点3
▼ 原口文仁
打率.400(5-2) 本0 打点2
▼ 中谷将大
打率.364(11-4) 本1 打点4
▼ 北條史也
打率.250(8-2) 本0 打点2
▼ 高山 俊
打率.250(16-4) 本1 打点4
※数字は2019年6月11日終了時点