◆ 8連敗でDeNAと入れ替わり4位に転落
リーグ4連覇を狙う広島がなかなか泥沼を抜け出せない。7月7日の阪神戦、先発の床田寛樹は7回1失点と好投したものの、打線は、高橋遥人とドリスの前に散発4安打と沈黙。床田を見殺しにするかたちで0-1の僅差で敗れる痛い敗戦となった。
これで広島は引き分けを挟んで8連敗。交流戦前の6月1日には最大で「14」あった貯金を使い果たし、現在は借金2となっている。この日、首位・巨人に逆転勝利したDeNAと入れ替わるかたちでBクラスに転落した。
球界での常套句として、「連敗しないチームは強い」というものがある。また、「連勝しても連敗するチームは低迷する」ということもよく聞かれる言葉だ。今季の広島はというと、それこそ大型連勝と大型連敗が目立っている。今季の開幕から16試合では連勝はなく、2度の2連敗に加えて3連敗と5連敗を喫するなど、4勝12敗という苦しい船出となった。その後の4月17日から8連勝を果たしたかと思えば、今度は4連敗。
5月に入ると一転して絶好調期に突入し、連敗がない一方で4連勝、11連勝、5連勝と勝ち星を重ねた。交流戦前には、多くのファンが「やっぱり今年もセ・リーグを制するのは広島だ」と思っていたに違いない。ところが、交流戦では5勝12敗1分で最下位に沈むと、リーグ戦再開後は未だ勝ち星を挙げられず、先述のように8連敗を喫している。
◆ 連敗らしい連敗がない首位・巨人
では、他球団はというと、広島とは対照的に交流戦以降にぐっと調子が上向いている首位・巨人の今季最長連勝は「7」。他に6連勝と5連勝も1度ずつ記録している。一方で、3連敗以上の連敗は4連敗と3連敗がそれぞれ1度ずつあるだけ。連敗らしい連敗は喫していない。
また、最下位に沈むヤクルトは、いうまでもなく5月14日の広島戦から6月1日のDeNA戦まで続いた16連敗が成績に大きく響いている。仮にこの16試合を五分で終えていられたら、現在の成績は40勝39敗2分となり、貯金をつくれている計算。いかに16連敗が重くのしかかっているかがわかる。
今季のヤクルトをしのぐプロ野球史上最長の18連敗を喫したチームといえば、いまだファンが伝説として語る1998年のロッテ。この年のロッテは4月終了時点では首位に立っていたものの、6月13日のオリックス戦からはじまった18連敗によって最下位に転落し、そのまま終戦を迎えた。
大型連敗を喫するようなことがあれば、下位に低迷するのは当然のことだ。一方、たとえ大型連勝などなくとも連敗が少ないチームというのは、それだけ好不調の波がなくコンスタントに勝ち星を重ねられるということ。つまり、誰かが不調に陥ってもそれをカバーする選手が現れるといった選手層の厚さが「連敗しない」という結果を導いているのだろう。
そう考えると、まれに見るほど好不調の波が激しい広島の4連覇には黄色信号がともっていると言えそうだ。とはいえ、ここから怒涛の巻き返しを図れるだけの力があるのも確か。ここからどんな巻き返しを図るのか――。セ・リーグ王者の底力を見せほしいところだ。
文=清家茂樹(せいけ・しげき)