開幕直後は打撃好調
ロッテの加藤翔平は、再昇格を目指し、ファームで汗を流している。
昨年までは鈴木大地、柿沼友哉らと合同自主トレを行っていた加藤だが、今季は自分でやることが明確にあったため、オフはロッテ浦和球場、ZOZOマリンスタジアムを中心に一人で行った。
春季キャンプ初日に行われた紅白戦ではチームで唯一の複数安打を記録し、オープン戦では打率.406をマークするなど好調を維持。3月29日の楽天との開幕戦では、『2番・右翼』で出場し、「昨年9月に二軍落ちしてから約半年長かったなという思いと、半年間待った一軍の舞台だった。1打席目で結果を残せたのはよかった」と今季初打席でライトスタンドへ飛び込む第1号ソロを放った。
「去年とかは半信半疑な気持ちが多少ありましたし、なんで打てているかという明確なり理由、ポイントがあんまりなかった気がした。今年に関しては去年よりも自信を持ってやれているかなと思います」。
4月6日のソフトバンク戦では、1試合に2本の本塁打を放つなど、1番打者をなかなか固定できないなかで、開幕直後は“2番・加藤”の存在感が際立った。今年こそはレギュラーとして活躍が続くものだと思われた。
オリ・山本から2安打も
「自分の中で、あれちょっとおかしくなったなという試合があった。それは、山本由伸が投げた4月11日のオリックス戦。結果はヒット2本を打っているんですけど、ちょっと崩されたなというのがあった。その試合のあとからちょっとずつ、自分の感覚がズレてしまった」。
実際に4月11日までは、打率.356(45-16)だったが、山本との対戦後の4月12日以降は、打率.085(47-4)と下降。4月24日の西武戦で安打を放ったのを最後に安打がなく、6月17日に一軍登録を抹消された。
「まだまだ技術が足りなかった。結果を残せる力もまだなかった。ずっとおかしいままいって、修正能力が足りなかった」と反省した。
打撃フォーム変更
ファームに降格した現在は、ノーステップで打ち、バットも左打席では白木のバット、右打席ではオレンジのバットを使用している。
2ストライクに追い込まれた後、ノーステップで打っている時期もあったが、一旦封印していた。ノーステップに戻した理由について聞くと、加藤は「(ノーステップに)戻したというか、今一番ピッチャーの球に対して、強く振れる形を何かと探した結果がノーステップだった」と説明。「ただあれが完成形ではないです」と話す。
「のちのちはしっかりステップをしたり、開幕のときのような打ち方で打つのがベスト。ベストを追っていても、打たなきゃ使ってもらえない。今はピッチャーの球に対して強く振れる打ち方というのを考えた時に、ノーステップにしています。ノーステップで当てに行くのはしょうがないですけど、ノーステップで長打が増えている。その形が一番いいのかなと思います」。
結果が全てのプロの世界。一番結果を残せる最善策として、加藤はノーステップで打つことを決意した。
バットについても「重さとグリップがもともと白木の方(左打席)は、去年使っていたバット。あっちの方はグリップが細い。グリップテープを巻いて打ちたい。そのときにオレンジのバットだとちょっと太すぎる。なので、細い方を巻いて打っています」と教えてくれた。右打席のバットは開幕から使っているものに、グリップテープを巻いたものとなっている。
7月は二軍で月間打率.345
試行錯誤しながらも、現在は二軍で7試合連続安打中で、7月は月間打率.345(29-10)と打撃の状態が上向きだ。
「打ち方は違えど、いい時の状態に戻ってきている。ただ、下でいくら打っても上で打たないと意味がない」。
一軍再昇格を目指しアピールを続けているが、球団はマーティン外野手を獲得した。同じポジションの外野手が加入したが、加藤は「新しい外国人がどうこうではなくて、自分のことをしっかりやっていかないといけないかなと思います」と語った。
ロッテの外野手は、打率リーグトップの荻野貴司をはじめ、角中勝也、清田育宏、岡大海、三家和真が一軍登録されている。そこに、マーティンが加わるとなると、外野手の争いは熾烈になるといえそうだ。再び加藤が一軍の舞台でプレーするためにも、まずは二軍で結果を残し続けることが重要になってくる。
※成績は2019年7月22日終了時点
取材・文=岩下雄太