8月の勝率はリーグ2位!一気にAクラスも視野に
8月も下旬に差し掛かり、いよいよNPBのペナントレースも大詰め。パ・リーグは首位をひた走るソフトバンクがやや抜け出しており、マジック点灯も間近というところまで来ているが、2位以下の争いは大混戦。2位から最下位までの5チームが5ゲーム差のなかにひしめく僅差の争いとなっている。
混戦の立役者と言えば、最下位に沈むオリックスだろう。今季は開幕から苦しい戦いが続いたが、チームは希望を捨ててはいなかった。今月は16試合で10勝6敗と盛り返し、CS圏内の3位まで2.5差というところまで盛り返している。15日の西武戦で20得点を挙げて大勝を収めると、ホームにロッテを迎えた3連戦で3連勝。4連勝と勢いに乗った状態で福岡に乗り込み、21日から首位・ソフトバンクとの2連戦に挑む。
▼ 8月のパ・リーグ各チーム月間成績
.625 オリックス 16試=10勝6敗
.529 西 武 17試=9勝8敗
.529 ロッテ 18試=9勝8敗1分
.467 楽 天 17試=7勝8敗2分
.133 日本ハム 16試=2勝13敗1分
※8月20日終了時点
2本柱に代わる新たな2本柱が
今季のオリックスと言えば、オフの間に金子千尋(日本ハム/現在の登録名は金子弌大)と西勇輝(阪神)という先発の2枚看板が他球団に移籍。先発ローテーションの再編が急務とされていた。
そのなかで、先発に転向した3年目・21歳の山本由伸が大ブレイク。ここまで16試合の登板で6勝4敗も、13試合でクオリティ・スタート(=先発して6回を自責点3以内)を達成しており、防御率は驚異の1.84。12球団で見ても、規定投球回に到達しての防御率1点台は山本ただ一人である。
さらに、社会人からプロ入りして3年目の山岡泰輔も20試合の登板でチームトップの9勝をマーク。負け数も3つと今季は貯金を作ることができており、たしかな成長を見せている。
ちなみに、今季のパ・リーグは現時点で規定投球回に達している投手が6名しかおらず、複数の規定到達投手を抱えているのは山本・山岡を擁するオリックスだけ。移籍した金子と西の成績を見ても、2本柱の穴を見事に埋めていると言っていいだろう。
若返りを強いられた先発ローテがついに完成…?
ただし、その後に続く投手がなかなか現れず。来日2年目の助っ人アンドリュー・アルバースも故障で戦列を離れ、昨年のドラ1・田嶋大樹や西の人的補償で獲得した竹安大知といったところも故障やコンディション不良で出遅れたため、3枚目以降を固めることができなかった。
そんな状況のなか、投打の歯車が噛み合わずに苦戦を続けていたチームにようやく光が差してくる。序盤からチャンスをもらいながら安定感に欠ける投球が目立っていたK-鈴木が、後半戦は5試合の登板で2勝負けなしと奮闘。防御率3.81ながら力投を見せ始めると、6月から戦列に加わった田嶋は3勝4敗と負け越しは作っているものの、防御率は2.96と数字的には悪くない。同じく6月から一軍に加わった竹安も8試合の登板で3勝1敗。防御率は4.00となっているが、17日のロッテ戦ではプロ初完封勝利をマークするなど、今後に期待が膨らむ姿を見せている。
さらに、“サプライズ枠”としては育成から這い上がって支配下登録を勝ち取った張奕(ちょう・やく)がプロ初先発から2連勝。2016年のドラフト組といえば山本・山岡と同期だが、張は育成ドラフトでの指名であることに加え、当初は「外野手」としての入団だった。それが昨季中盤から投手に異例の転向を果たすと、めきめきと頭角を現して今年5月に支配下登録をゲット。8月月間2勝はチームの先発ではトップと、救世主的な存在になりつつある。
加えて、腰痛で離脱していたアルバースも勝負の夏場に間に合った。16日の復帰登板でロッテを7回無失点に封じ、見事に復活勝利を掴んでいる。欠けていたピースが徐々に戻り、そこに新星も加わったことで、いよいよオリックスの新ローテが完成しつつあるのだ。
現在の順位的には最下位も、上述したようにまだまだチャンスは大いにある。残り30試合ちょっとのシーズン、充実の投手陣を誇るオリックスがパ・リーグをかき回す台風の目となるか。最後まで目が離せない。
文=尾崎直也