西武・山川穂高 (C)Kyodo News

◆ 夏場にまさかの不振

 シーズンも佳境に迫ったプロ野球のペナントレース。パ・リーグに目を向けると、首位ソフトバンクを追撃するなかで、西武が辛うじて踏ん張っている。その西武を支えているのが、リーグ屈指の強力打線だが、その中で中軸を担ってきた主砲・山川穂高が、この夏は苦しんでいる。

 不動の4番打者として2年目を迎えた今季は、開幕から本塁打を量産。前半戦だけで29本塁打を放ち、50本超えは確実視されていたが、後半戦がはじまると本塁打のペースが落ち、7月の月間打率は.173とまさかの急ブレーキ。8月に入っても調子はなかなか上向かず、11日からは4番の座を中村剛也に明け渡している。

 このところはボールをギリギリまで見れるようになり、8月21日の日本ハム戦では1試合で2本のアーチを放つなど、徐々に復調の気配を漂わせている。現時点の本塁打数は37本。リーグトップを維持しているが、パ・リーグの本塁打王は過去5年、前半戦トップの選手が逃げ切れず、逆転されるというケースが3度あった。

 そこで、復調気配漂う山川の2年連続本塁打王は盤石なのかを、占ってみたい。 

◆ ポイントは対楽天戦?

 まずは、今シーズンの山川の月別成績(※8月21日現在)を見ていく。

▼ 月間打撃成績
3・4月:打率.270 11本塁打 31打点
5月 :打率.289 11本塁打 23打点
6月 :打率.271 5本塁打 13打点
7月 :打率.173 4本塁打 16打点
8月 :打率.243 6本塁打 16打点
―――――――――――――
今季:打率.250 37本塁打 99打点

 頭角を現した2017年以降、夏場になると好成績を収める傾向にあった山川だったが、今季は反対に7月から失速。本塁打率もガタ落ちしている。

▼ 球団別打撃成績
対ソ:打率.286(77-22)9本塁打 20打点(残5試合)
対日:打率.264(72-19)7本塁打 20打点(残4試合)
対オ:打率.218(78-17)7本塁打 22打点(残4試合)
対ロ:打率.221(77-17)6本塁打 17打点(残5試合)
対楽:打率.208(53-11)4本塁打 10打点(残11試合)

 山川は、対ソフトバンク戦では好成績を残しているが、その他のチームで打率.250を超えるのは日本ハムのみ。しかも両チームとの対戦は残りわずか。その一方で、最も苦手としている対楽天戦はまだ11試合も残っている。

◆ 後続の外国人は?

 続いて、山川のライバルとなりうる選手たちの成績を見ていく。

▼ レアード(ロッテ)
月間打撃成績
3・4月:打率.352 8本塁打 19打点
5月 :打率.247 9本塁打 20打点
6月 :打率.227 4本塁打 12打点
7月 :打率.224 8本塁打 20打点
8月 :打率.200 2本塁打 6打点
―――――――――――――
今季:打率.254 31本塁打 77打点

▼ 球団別打撃成績
対ソ:打率.238 7本塁打 20打点(残7試合)
対西:打率.365 5本塁打 13打点(残5試合)
対日:打率.178 5本塁打 12打点(残5試合)
対オ:打率.226 4本塁打 9打点(残7試合)
対楽:打率.263 6本塁打 12打点(残4試合)

▼ デスパイネ(ソフトバンク)
月間打撃成績
3・4月:打率.224 3本塁打 10打点
5月 :打率.366 11本塁打 25打点
6月 :打率.203 3本塁打 7打点
7月 :打率.227 6本塁打 15打点
8月 :打率.375 7本塁打 18打点
―――――――――――――
今季:打率.272 30本塁打 75打点

▼ 球団別打撃成績
対西:打率.355 6本塁打 13打点(残5試合)
対日:打率.277 4本塁打 14打点(残5試合)
対オ:打率.258 6本塁打 15打点(残6試合)
対ロ:打率.286 8本塁打 15打点(残7試合)
対楽:打率.239 4本塁打 14打点(残5試合)

 一時期、山川を猛追していたのが31本塁打を放っているレアード。しかし、特に8月は山川以上に不振を極め、月間の本塁打数も減少している。夏場の追い上げが素晴らしい3位のデスパイネは、故障のため8月18日付で一軍選手登録を抹消されている。復帰の見通しが立っていないという状況を考えると、こちらも少し厳しい。

 これらのデータを見ると、山川が逃げ切り2年連続の本塁打王に輝く可能性は高そうだが……残り30試合を切ったなかでどうなるのか――。2位の西武は、きょうから3位・楽天との3連戦。順位争いと共に本塁打王争いを巡る戦いにも注目していきたい。

文=福嶌弘(ふくしま・ひろし)

【プロフィール・福嶌弘】
1986年、神奈川県生まれ。バイク・クルマの雑誌の編集部を経て2015年からフリーライターに。父が歌う「闘魂込めて」を聴いて育ったため、横浜出身ながら生来の巨人ファン。『がっつり!プロ野球』(日本文芸社)、『プロ野球 復活の男たち』(宝島社)などに執筆。

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福嶌弘

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