11月に開幕するプロ野球eスポーツリーグ「eBASEBALL プロリーグ」2019シーズン。オンライン・オフライン選考を経て、いよいよ来週16日に「eドラフト会議」が行われ、新たな選手を加えて今シーズンを戦う12球団・48名の選手が決まる。
その「eドラフト会議」における注目選手に今シーズンにかける意気込みを聞いた。
昨シーズンの埼玉西武ライオンズのキャプテンとしてe日本シリーズで見事日本一に輝いたものの、継続契約を得られなかった“BOW川”こと大川泰広選手
そして巨人のキャプテンとしてチームを引っ張ったキャプテン・“てぃーの”こと舘野弘樹選手の2人だ。
てぃーの選手は巨人の継続契約を勝ち取り、今シーズンも巨人のユニフォームで戦う。一方、BOW川選手は「特別枠」としてプロテストが免除となり、来週のeドラフト会議で指名を待つ。立場は違えど新シーズンのカギを握る2人の重要なプレイヤーが「再び、夢の舞台へ。」※2。
※1文中では“BOW川選手” “てぃーの選手”で表記します
※2このインタビューは選考会の前に行われたものです
昨シーズンが終わってから、新シーズンが発表されるまでは何をしていたの?
てぃーの「あまり変わらないですね。仕事を辞めたくらいかな」
BOW川「変わりすぎでしょ!(笑)」
パワプロやeスポーツに専念したいっていうこと?
てぃーの「ゲームは関係ないです。身体の調子が良くなかったので…。いまは休憩中です。何をやってたかな~?スプラトゥーンは結構やったかな。パワプロだけではない、というところはありましたね。むしろ、パワプロをオフシーズン余りやらなかったですね」
スプラトゥーンをプレーしたのはチームメイトの“たいじ”くんの影響?
てぃーの「間違いないですね。面白いって話は聞いていたので」
※3 巨人で共にプレーする吉田友樹選手。スプラトゥーンでは「GG BOYZ」の一員として世界大会連覇を達成
プレーすればするほど“たいじ”選手の凄さがわかるよね?
てぃーの「ある程度スプラトゥーンのプレーが出来た時、“たいじ”くんの配信とかを見ると、『どうしてそんな動きができるの?』とか、状況判断とかを含めても圧倒的に自分とは違うって見られるようになってきましたね」
BOW川「プロリーグでも開幕~5試合目までの成長度はスゴイって思いましたね。開幕カードの阪神戦の引き分けや、5節目の広島戦なんて実績も実力もあるゴジラさん(広島)に大勝して『マジか』って感じでしたよね」
てぃーの「本当にあの試合はびっくりだった。肝も据わっているから、プレイスキルもどんどん上がっているんじゃないのかな」
やっぱり彼を見ているとeスポーツは「メンタルが大事」って思わない?
てぃーの「本当にそうですよ。凄すぎて一緒にいても、吸収できるものじゃないですからね。ただ、巨人はチームとして普段通りにやろうって、会話しながら試合をやっているくらいの感じでした。西武は逆でしょ?後ろで味方の応援はしていただろうけど」
BOW川「プレイヤーはプレーに集中してもらったほうがいいという意見もあったので。ライオンズは3人で話し合って(スタイルを)決めたのもあって、ミリオンさん(西武)も「目の前のプレーに集中したい」っていうタイプだったから、後ろで見守っているのが応援だったし、本当に困ったらプレイヤーから後ろの2人に相談するっていう感じでした。実際にそういう場面もありましたし、うまくやっていけたなぁって」
てぃーの「全然、巨人とは違いますね」
集まったチームメイトによって球団のチームカラーが生まれるんだね
てぃーの「ほかのチームメイトが違う2人だったら、まったくカラー変わっていたかもしれないです。俺一人だけはウルサイかもしれませんけどね(笑)」
BOW川くんはオフシーズンどう過ごしたの?
てぃーの「パワプロ以外に何をやっているのかは気になるなぁ」
BOW川「ほかのゲームにちょっと触ることもあるんですけど、まだまだパワプロを極めきれていないです。ゲームだけで生計が立てられているわけではないので、何十時間も費やせないという現実もありますから。ましてや時間を費やしただけで上手くなるわけじゃないのは野球も同じです。ちゃんと考えて、テーマを決めたりしながら練習しないと…」
てぃーの「実際に無限に試合をやっているだけじゃ、上手くはならないですよ」
BOW川「ある程度の実力は練習量で何とかなるかもしれないです。ただ、何も考えないでやってしまうと、そこを超えるのは難しいかもしれません。僕も(2018シーズンの)チームメイトも、練習を毎日何十時間とできていたわけではないですが、集中する時に一気にガッとやっていましたね」
てぃーの「ゲームも勉強とかもそうでしょうけど、ある程度のレベルは目指せても『それ以上を目指そう!』ってなったら課題を考えて克服していくっていうことになるでしょうね」
レベルを上げるという意味では、パワプロが実際の野球に近い部分があるのかな?
てぃーの「実際の野球では全然打てなかったのでパワプロで打ちまくれるのは楽しいです。パワプロは強振100%、リアル野球はミート打ち100%ですけど(笑)」
BOW川「自分が成し遂げられなかった野球の夢を、パワプロでかなえてもいいんじゃないのかなって。やりこみはじめたのはパワプロ2016の途中くらいからで、「大会で勝ちたい」って目標ができたので変わりました。実際に知っているプレイヤー達に勝ちたいっていう想いになった時、自分で決めた練習をすることが増えましたね」
(写真左から BOW川選手、てぃーの選手)
それぞれに喜怒哀楽があった昨シーズンを経て、いよいよ新シーズンが発表されたよね。各チームの継続契約選手なども発表されたし、ソフトも2019年バージョンにアップデートされたけど?
てぃーの「モチベーションは高くなりましたね。早くアップデートしてほしいなと思っていたので。アップデート後はスプラトゥーンにも触らずに、1か月パワプロばっかりしていました。自分の場合はジャイアンツに継続契約が決まって、練習しなければいけない球団が決まっているので、そこはありがたかったです」
一方、BOW川くんは残念ながら西武の継続契約選手になれなかったよね…
BOW川「決まったことは仕方ないです。eドラフト会議で西武が指名してくれたらうれしいですけど、決まった球団で一番必要としてくれたところでプレーできれば良いです。人間なので気持ちがブレることもありますが、プロなら気持ちは一定で。参加できなくなったわけではないですから。どのチームも選手を放出するという苦渋の決断があったということは、もっと必要としてくれるチームがあるかもしれないし、これは自分だけのことじゃないなっていう。ライオンズでプレーして連覇を目指せるのに越したことはないですが、仮に別のチームになったとしても、最強の2人(去年のチームメイトであるミリオン・なたでここ)がどう新しいライオンズを作るのかというのも興味があります」
そもそも昨季の活躍で周りの反応とかは相当あったでしょう?
BOW川「会社には元々、話していたので応援してくれたんですけど…地元の友人からも連絡がきて、応援してくれました。学生時代の野球仲間※4も知ってビックリしていたし、『毎週見ているよ』とか言ってくれて…まさか、そこまで伝わっているのかという。プロ野球選手が言うような「応援が力になりました」って嘘じゃなかったんだって。いろんな方が会場で応援してくれたりと、苦しい時でも「見てくれているんだな」って。今季はどうなるかわからないですけど、BOW川として見て、気にかけてくれる人がいるんだと思えば、自分の思い通りにならなくても関係ない。西武の2人と一緒に出来なくなる(可能性がある)ことはやはり寂しいですが」
※4BOW川選手は長野の強豪・佐久長聖高校で投手をやっていた元高校球児
第三者から見てもBOW川選手が入ったらチームの大きい戦力になるのは間違いない?
てぃーの「プレイヤー目線から見たら当然1位の指名になるはずです」
BOW川選手と同じように “じゃむ~”選手※5も継続契約にならなかったけど…
てぃーの「チームの頭脳担当として、あそこまで知識のある人がそばにいるのは本当に心強いはずです。情報も隠さないんですよ、聞いたら教えてくれるし、聞かなくてもツイッターで公開してくれる。あそこまでパワプロを突き詰める人はいない。そもそも強いですからね」
BOW川「僕もじゃむ~さんのツイッターから学ばせてもらっています」
※5昨季のセ・リーグを制したDeNAのキャプテン。非常に研究熱心で「パワプロ博士」「軍師」の異名を持つ。
他にも前回の「それぞれの…」に登場した“めし原”(藤本洋介)選手の名前も…
BOW川「ホント天才なんで、あの人は…」
てぃーの「最近強いっすよ」
BOW川「元々強いんですけど最近は更に…。去年もドラフト会議にいてもおかしくなかったと思います。オフライン予選も無敗だったので…でも、そこからよく心が折れずに解説に参加していたなぁと、尊敬します。プレーも、そういった取り組む姿勢もかっこいいと思うので個人的に応援しています」
てぃーの「対戦では絶対に当たりたくないですね、いつも長打警戒しかしてこないんですもん(笑)」
てぃーの選手は強振・長打がウリだからね(笑)
ⓒNippon Professional Baseball / ⓒKonami Digital Entertainment
2人はそれぞれのチームのキャプテンとして昨季は戦ったけど、今季のeBASEBALLではレギュレーションやルールが変わってキャプテンの経験を生かせそう?
てぃーの「キャプテンらしいことを自分はしてないですから…」
BOW川「試合数が増えてイニングは減りました。みんなで強みを出しあっていかないと。一人でも気持ちが切れてバラバラになったら、勝てなくなるんじゃないかと思います。絶対に新しく入ってくるプレイヤーの力が必要になりますし、その人たちのモチベーションは明らかに高い。生き残れるかどうかの瀬戸際の勝負をした人の伸びは違います」
今シーズン、ルール面で「一番大きく変わった」と感じる部分は?
てぃーの「イニング数ですね。5イニングになって昨年よりアウトが3つ減るだけですけど、一打席の重みが全然違います」
BOW川「延長もなくなりましたし」
てぃーの「自分は4~6回に調子が良くて、序盤はカーソルが合わなかったんですよね」
BOW川「今までなら初回に三者凡退でも『まだ5回ある』。が、『もう4回しかない』になるのは全然違います」
てぃーの「2回終わって無得点だったら焦り始めるよね」
BOW川「より打席の回る1~3番に良い打者を置くか。初回の慣らしを計算に入れて2回に強い打順を置くか。投手もどんどん替えると思います。エースを2イニングに投入して、あとは中継ぎで回したり…」
てぃーの「次カードで投手はスタミナの消費を持ち越すので、カードの3試合目で投手をどんどん注ぎ込むことはできなさそうですね」
BOW川「先発投手を中継ぎに起用するとスタミナの回復量が(先発時と)違うので、実際の野球と同じようにオープナー継投もあるかもしれませんね」
てぃーの「セ・リーグは代打の兼ね合いもあるから、難しいなぁ」
BOW川「とにかく1点の重みが増しました。ただ、相手も同じメンタルで来るので慣れるしかないです」
てぃーの「逆に序盤に打てれば相手は焦ると思います」
BOW川「去年の雰囲気を知っているアドバンテージも生かせれば」
そして今季はe交流戦もありますが…
BOW川「リーグが違うし、各1試合しかないので同じリーグほど対策はできなさそうです」
てぃーの「難しそう」
BOW川「純粋に実力が出るかもしれない。とはいえ、シーズンの1/4を占める6試合なのでカギになります。当然、流すことはできないです」
てぃーの「パ・リーグが5勝した時に、セ・リーグで唯一ウチが勝てば一歩抜け出せるチャンスもありそうですね」
※ 今季のレギュレーション
ところでBOW川選手は自宅の部屋に目標を紙に書いて貼ってあると聞いたことがあるけど、今回色紙を用意したので、今シーズンに懸ける意気込みを書いてもらえませんか?
BOW川「去年だったら日本一とかすぐ書けたんですけど…」
と悩んだ末にしたためた文字は「挑戦」の二文字だった。
BOW川「個人の思いとしては、チームが変わっても変わらなくても『挑戦』することには変わらないです。どこでプレーしても警戒はされると思いますし、自分にとっては『挑戦』しかないです。ここまで、色々懸けてやってきたので。これからはシンプルに。パワプロの練習はできますから。12球団全てで型にはまらず練習して、そうすれば球団カラーも研究できる。自分との戦いですね。必要だと言ってeドラフト会議で指名していただければ、それ以上のことはないです。全力を尽くして日本一になるために、また頑張ろうと思います。てぃーの選手と敵になっても、新たなメンバーと共に全力で倒しに行きます!」
それを受けて、てぃーの選手は?
てぃーの「もちろん自分も勝つ気は満々ですよ!自分は“いいすぽ”大会※6でBOW川選手に負けて以来、公式での対戦はないですからね。正直、ふがいない成績だったので去年より絶対に多く勝って良いシーズンにしたい。目標は変わらずにリーグ優勝・日本一・HR王を獲ります。間違いなくモノにできるように練習します。使う球団は決まっているので、巨人をいかに使いこなせるか突き詰めて、練習をしつつ全員で勝っていきたいです。全員の勝率が上がれば優勝できる。どのメンバーと共に戦うかはわからないですが、世界一の“たいじ”選手もいますし、良い意味で引っ張ってもらいつつチームワークを大事にしていきたい。最低でも1人以上は新しいメンバーが入るので、ドラフトは注目しています」
※6 2017年に行われたフジテレビONEの番組内で行われた大会。決勝でてぃーの選手を下したBOW川選手が優勝
ⓒNippon Professional Baseball / ⓒKonami Digital Entertainment
実に2時間半以上、語り尽くせないほど語ったパワプロのこと、eBASEBALLのこと。
彼らにとって人生をかけているといっても過言ではない、新たなシーズンが来週のeドラフト会議から始まる。果たして、日本一のキャプテンはどの球団が指名するのか?セ・リーグか?パ・リーグか?間違いなく最注目ポイントになると共に、獲得した球団は一躍、優勝候補に名乗りを上げることになる。そして、てぃーの選手も注目する巨人の新メンバーは誰になるのか?ドラフトの結果によってセ・リーグの勢力図は大きく変わるだろう。
「eBASEBALL プロリーグ」は、eドラフト会議で、昨季選手と合わせて今季のプレイヤー全48人が確定。11月3日(日)にeペナントレースが開幕。交流戦を含む11カードを戦い、1月のeクライマックスシリーズ、e日本シリーズの進出を目指す。
なお、9月14日(土)には東京ゲームショウにおいてeBASEBALL プロリーグ「eドラフト会議直前 エキシビションマッチが行われる予定で、今回紹介したBOW川(大川泰広)選手も参戦。生配信はこちらhttps://e-baseball.konami.net/pawa_proleague/page/exhibition_match_2019/
そして9月16日のeドラフト会議も生配信が予定されている。詳細はeBASEBALL公式ホームページにて。
(聞き手・文:清水久嗣)
その「eドラフト会議」における注目選手に今シーズンにかける意気込みを聞いた。
昨シーズンの埼玉西武ライオンズのキャプテンとしてe日本シリーズで見事日本一に輝いたものの、継続契約を得られなかった“BOW川”こと大川泰広選手
てぃーの選手は巨人の継続契約を勝ち取り、今シーズンも巨人のユニフォームで戦う。一方、BOW川選手は「特別枠」としてプロテストが免除となり、来週のeドラフト会議で指名を待つ。立場は違えど新シーズンのカギを握る2人の重要なプレイヤーが「再び、夢の舞台へ。」※2。
※1文中では“BOW川選手” “てぃーの選手”で表記します
※2このインタビューは選考会の前に行われたものです
昨シーズンが終わってから、新シーズンが発表されるまでは何をしていたの?
てぃーの「あまり変わらないですね。仕事を辞めたくらいかな」
BOW川「変わりすぎでしょ!(笑)」
パワプロやeスポーツに専念したいっていうこと?
てぃーの「ゲームは関係ないです。身体の調子が良くなかったので…。いまは休憩中です。何をやってたかな~?スプラトゥーンは結構やったかな。パワプロだけではない、というところはありましたね。むしろ、パワプロをオフシーズン余りやらなかったですね」
スプラトゥーンをプレーしたのはチームメイトの“たいじ”くんの影響?
てぃーの「間違いないですね。面白いって話は聞いていたので」
※3 巨人で共にプレーする吉田友樹選手。スプラトゥーンでは「GG BOYZ」の一員として世界大会連覇を達成
プレーすればするほど“たいじ”選手の凄さがわかるよね?
てぃーの「ある程度スプラトゥーンのプレーが出来た時、“たいじ”くんの配信とかを見ると、『どうしてそんな動きができるの?』とか、状況判断とかを含めても圧倒的に自分とは違うって見られるようになってきましたね」
BOW川「プロリーグでも開幕~5試合目までの成長度はスゴイって思いましたね。開幕カードの阪神戦の引き分けや、5節目の広島戦なんて実績も実力もあるゴジラさん(広島)に大勝して『マジか』って感じでしたよね」
てぃーの「本当にあの試合はびっくりだった。肝も据わっているから、プレイスキルもどんどん上がっているんじゃないのかな」
やっぱり彼を見ているとeスポーツは「メンタルが大事」って思わない?
てぃーの「本当にそうですよ。凄すぎて一緒にいても、吸収できるものじゃないですからね。ただ、巨人はチームとして普段通りにやろうって、会話しながら試合をやっているくらいの感じでした。西武は逆でしょ?後ろで味方の応援はしていただろうけど」
BOW川「プレイヤーはプレーに集中してもらったほうがいいという意見もあったので。ライオンズは3人で話し合って(スタイルを)決めたのもあって、ミリオンさん(西武)も「目の前のプレーに集中したい」っていうタイプだったから、後ろで見守っているのが応援だったし、本当に困ったらプレイヤーから後ろの2人に相談するっていう感じでした。実際にそういう場面もありましたし、うまくやっていけたなぁって」
てぃーの「全然、巨人とは違いますね」
集まったチームメイトによって球団のチームカラーが生まれるんだね
てぃーの「ほかのチームメイトが違う2人だったら、まったくカラー変わっていたかもしれないです。俺一人だけはウルサイかもしれませんけどね(笑)」
BOW川くんはオフシーズンどう過ごしたの?
てぃーの「パワプロ以外に何をやっているのかは気になるなぁ」
BOW川「ほかのゲームにちょっと触ることもあるんですけど、まだまだパワプロを極めきれていないです。ゲームだけで生計が立てられているわけではないので、何十時間も費やせないという現実もありますから。ましてや時間を費やしただけで上手くなるわけじゃないのは野球も同じです。ちゃんと考えて、テーマを決めたりしながら練習しないと…」
てぃーの「実際に無限に試合をやっているだけじゃ、上手くはならないですよ」
BOW川「ある程度の実力は練習量で何とかなるかもしれないです。ただ、何も考えないでやってしまうと、そこを超えるのは難しいかもしれません。僕も(2018シーズンの)チームメイトも、練習を毎日何十時間とできていたわけではないですが、集中する時に一気にガッとやっていましたね」
てぃーの「ゲームも勉強とかもそうでしょうけど、ある程度のレベルは目指せても『それ以上を目指そう!』ってなったら課題を考えて克服していくっていうことになるでしょうね」
レベルを上げるという意味では、パワプロが実際の野球に近い部分があるのかな?
てぃーの「実際の野球では全然打てなかったのでパワプロで打ちまくれるのは楽しいです。パワプロは強振100%、リアル野球はミート打ち100%ですけど(笑)」
BOW川「自分が成し遂げられなかった野球の夢を、パワプロでかなえてもいいんじゃないのかなって。やりこみはじめたのはパワプロ2016の途中くらいからで、「大会で勝ちたい」って目標ができたので変わりました。実際に知っているプレイヤー達に勝ちたいっていう想いになった時、自分で決めた練習をすることが増えましたね」
(写真左から BOW川選手、てぃーの選手)
それぞれに喜怒哀楽があった昨シーズンを経て、いよいよ新シーズンが発表されたよね。各チームの継続契約選手なども発表されたし、ソフトも2019年バージョンにアップデートされたけど?
てぃーの「モチベーションは高くなりましたね。早くアップデートしてほしいなと思っていたので。アップデート後はスプラトゥーンにも触らずに、1か月パワプロばっかりしていました。自分の場合はジャイアンツに継続契約が決まって、練習しなければいけない球団が決まっているので、そこはありがたかったです」
一方、BOW川くんは残念ながら西武の継続契約選手になれなかったよね…
BOW川「決まったことは仕方ないです。eドラフト会議で西武が指名してくれたらうれしいですけど、決まった球団で一番必要としてくれたところでプレーできれば良いです。人間なので気持ちがブレることもありますが、プロなら気持ちは一定で。参加できなくなったわけではないですから。どのチームも選手を放出するという苦渋の決断があったということは、もっと必要としてくれるチームがあるかもしれないし、これは自分だけのことじゃないなっていう。ライオンズでプレーして連覇を目指せるのに越したことはないですが、仮に別のチームになったとしても、最強の2人(去年のチームメイトであるミリオン・なたでここ)がどう新しいライオンズを作るのかというのも興味があります」
そもそも昨季の活躍で周りの反応とかは相当あったでしょう?
BOW川「会社には元々、話していたので応援してくれたんですけど…地元の友人からも連絡がきて、応援してくれました。学生時代の野球仲間※4も知ってビックリしていたし、『毎週見ているよ』とか言ってくれて…まさか、そこまで伝わっているのかという。プロ野球選手が言うような「応援が力になりました」って嘘じゃなかったんだって。いろんな方が会場で応援してくれたりと、苦しい時でも「見てくれているんだな」って。今季はどうなるかわからないですけど、BOW川として見て、気にかけてくれる人がいるんだと思えば、自分の思い通りにならなくても関係ない。西武の2人と一緒に出来なくなる(可能性がある)ことはやはり寂しいですが」
※4BOW川選手は長野の強豪・佐久長聖高校で投手をやっていた元高校球児
第三者から見てもBOW川選手が入ったらチームの大きい戦力になるのは間違いない?
てぃーの「プレイヤー目線から見たら当然1位の指名になるはずです」
BOW川選手と同じように “じゃむ~”選手※5も継続契約にならなかったけど…
てぃーの「チームの頭脳担当として、あそこまで知識のある人がそばにいるのは本当に心強いはずです。情報も隠さないんですよ、聞いたら教えてくれるし、聞かなくてもツイッターで公開してくれる。あそこまでパワプロを突き詰める人はいない。そもそも強いですからね」
BOW川「僕もじゃむ~さんのツイッターから学ばせてもらっています」
※5昨季のセ・リーグを制したDeNAのキャプテン。非常に研究熱心で「パワプロ博士」「軍師」の異名を持つ。
他にも前回の「それぞれの…」に登場した“めし原”(藤本洋介)選手の名前も…
BOW川「ホント天才なんで、あの人は…」
てぃーの「最近強いっすよ」
BOW川「元々強いんですけど最近は更に…。去年もドラフト会議にいてもおかしくなかったと思います。オフライン予選も無敗だったので…でも、そこからよく心が折れずに解説に参加していたなぁと、尊敬します。プレーも、そういった取り組む姿勢もかっこいいと思うので個人的に応援しています」
てぃーの「対戦では絶対に当たりたくないですね、いつも長打警戒しかしてこないんですもん(笑)」
てぃーの選手は強振・長打がウリだからね(笑)
ⓒNippon Professional Baseball / ⓒKonami Digital Entertainment
2人はそれぞれのチームのキャプテンとして昨季は戦ったけど、今季のeBASEBALLではレギュレーションやルールが変わってキャプテンの経験を生かせそう?
てぃーの「キャプテンらしいことを自分はしてないですから…」
BOW川「試合数が増えてイニングは減りました。みんなで強みを出しあっていかないと。一人でも気持ちが切れてバラバラになったら、勝てなくなるんじゃないかと思います。絶対に新しく入ってくるプレイヤーの力が必要になりますし、その人たちのモチベーションは明らかに高い。生き残れるかどうかの瀬戸際の勝負をした人の伸びは違います」
今シーズン、ルール面で「一番大きく変わった」と感じる部分は?
てぃーの「イニング数ですね。5イニングになって昨年よりアウトが3つ減るだけですけど、一打席の重みが全然違います」
BOW川「延長もなくなりましたし」
てぃーの「自分は4~6回に調子が良くて、序盤はカーソルが合わなかったんですよね」
BOW川「今までなら初回に三者凡退でも『まだ5回ある』。が、『もう4回しかない』になるのは全然違います」
てぃーの「2回終わって無得点だったら焦り始めるよね」
BOW川「より打席の回る1~3番に良い打者を置くか。初回の慣らしを計算に入れて2回に強い打順を置くか。投手もどんどん替えると思います。エースを2イニングに投入して、あとは中継ぎで回したり…」
てぃーの「次カードで投手はスタミナの消費を持ち越すので、カードの3試合目で投手をどんどん注ぎ込むことはできなさそうですね」
BOW川「先発投手を中継ぎに起用するとスタミナの回復量が(先発時と)違うので、実際の野球と同じようにオープナー継投もあるかもしれませんね」
てぃーの「セ・リーグは代打の兼ね合いもあるから、難しいなぁ」
BOW川「とにかく1点の重みが増しました。ただ、相手も同じメンタルで来るので慣れるしかないです」
てぃーの「逆に序盤に打てれば相手は焦ると思います」
BOW川「去年の雰囲気を知っているアドバンテージも生かせれば」
そして今季はe交流戦もありますが…
BOW川「リーグが違うし、各1試合しかないので同じリーグほど対策はできなさそうです」
てぃーの「難しそう」
BOW川「純粋に実力が出るかもしれない。とはいえ、シーズンの1/4を占める6試合なのでカギになります。当然、流すことはできないです」
てぃーの「パ・リーグが5勝した時に、セ・リーグで唯一ウチが勝てば一歩抜け出せるチャンスもありそうですね」
※ 今季のレギュレーション
ところでBOW川選手は自宅の部屋に目標を紙に書いて貼ってあると聞いたことがあるけど、今回色紙を用意したので、今シーズンに懸ける意気込みを書いてもらえませんか?
BOW川「去年だったら日本一とかすぐ書けたんですけど…」
と悩んだ末にしたためた文字は「挑戦」の二文字だった。
BOW川「個人の思いとしては、チームが変わっても変わらなくても『挑戦』することには変わらないです。どこでプレーしても警戒はされると思いますし、自分にとっては『挑戦』しかないです。ここまで、色々懸けてやってきたので。これからはシンプルに。パワプロの練習はできますから。12球団全てで型にはまらず練習して、そうすれば球団カラーも研究できる。自分との戦いですね。必要だと言ってeドラフト会議で指名していただければ、それ以上のことはないです。全力を尽くして日本一になるために、また頑張ろうと思います。てぃーの選手と敵になっても、新たなメンバーと共に全力で倒しに行きます!」
それを受けて、てぃーの選手は?
てぃーの「もちろん自分も勝つ気は満々ですよ!自分は“いいすぽ”大会※6でBOW川選手に負けて以来、公式での対戦はないですからね。正直、ふがいない成績だったので去年より絶対に多く勝って良いシーズンにしたい。目標は変わらずにリーグ優勝・日本一・HR王を獲ります。間違いなくモノにできるように練習します。使う球団は決まっているので、巨人をいかに使いこなせるか突き詰めて、練習をしつつ全員で勝っていきたいです。全員の勝率が上がれば優勝できる。どのメンバーと共に戦うかはわからないですが、世界一の“たいじ”選手もいますし、良い意味で引っ張ってもらいつつチームワークを大事にしていきたい。最低でも1人以上は新しいメンバーが入るので、ドラフトは注目しています」
※6 2017年に行われたフジテレビONEの番組内で行われた大会。決勝でてぃーの選手を下したBOW川選手が優勝
ⓒNippon Professional Baseball / ⓒKonami Digital Entertainment
実に2時間半以上、語り尽くせないほど語ったパワプロのこと、eBASEBALLのこと。
彼らにとって人生をかけているといっても過言ではない、新たなシーズンが来週のeドラフト会議から始まる。果たして、日本一のキャプテンはどの球団が指名するのか?セ・リーグか?パ・リーグか?間違いなく最注目ポイントになると共に、獲得した球団は一躍、優勝候補に名乗りを上げることになる。そして、てぃーの選手も注目する巨人の新メンバーは誰になるのか?ドラフトの結果によってセ・リーグの勢力図は大きく変わるだろう。
「eBASEBALL プロリーグ」は、eドラフト会議で、昨季選手と合わせて今季のプレイヤー全48人が確定。11月3日(日)にeペナントレースが開幕。交流戦を含む11カードを戦い、1月のeクライマックスシリーズ、e日本シリーズの進出を目指す。
なお、9月14日(土)には東京ゲームショウにおいてeBASEBALL プロリーグ「eドラフト会議直前 エキシビションマッチが行われる予定で、今回紹介したBOW川(大川泰広)選手も参戦。生配信はこちらhttps://e-baseball.konami.net/pawa_proleague/page/exhibition_match_2019/
そして9月16日のeドラフト会議も生配信が予定されている。詳細はeBASEBALL公式ホームページにて。
(聞き手・文:清水久嗣)