小川監督「監督としての力が足りず…」
ヤクルトは28日、神宮球場で今季の最終戦を迎え、5年ぶりにセ・リーグを制した巨人を相手に2-1でサヨナラ勝ち。延長10回、二死二塁から1番・太田賢吾がライトへの殊勲打を放ち、2019年シーズンを白星で締めくくった。
7回までは巨人先発・山口俊に無安打に封じられたものの、8回に広岡大志がセンターに弾き返すチーム初安打。その1本の安打を皮切りに追いつき、見事に逆転勝利を掴んだ小川淳司監督は「本当に勝って良かった。みんなの頑張りが結果となって出た試合だった」と喜びを語り、「ノーヒットノーランを心配したけど(広岡)大志がよく打ってくれて、ほっとしました」と正直に胸中を吐露している。
今季限りで退任することが決まっている指揮官は、試合後のセレモニーで「残念ながら監督としての力が足りず、最下位という成績で終わってしまいました。本当に悔しい思いと、また、応援していただいたファンの皆様に本当に申し訳なく思っています」とスピーチ。
つづけて、「特に本拠地である神宮球場での成績。そして、5月中旬から16連敗という不名誉な記録を残してしまい、本当に悔しい気持ちでいっぱいです。しかし、その中で若い選手の台頭もあり、来シーズン以降に向け、大きな戦力となってくれるものと思っています」と、ファンに向けて力強く語りかけた。
山田「悔しいというのが一番強い」
昨季はリーグ2位という奮闘を見せながら、今季は最下位に沈んだヤクルト。これには山田哲人も悔しさをにじませる。
自身4度目のトリプルスリーを期待された今季は35本塁打・33盗塁と2部門はクリアしたものの、打率は.271。残念ながら打率3割には手が届かず、「個人的にも目標にしていたトリプルスリーが達成できなかった。トータルで悔しいというのが一番強い」と振り返り、「また来年活躍できるように、これからが大事になってくると思うので、オフシーズンに入っていきますけど、何かを見つけて、練習してやっていければなと思います」と来季の逆襲を誓う。
それでも、今季は連続盗塁成功のプロ野球新記録(38連続)を樹立。“足”でチームを引っ張った男は、「足でもチームに貢献するというのはずっと頭に入れていた。それが成功につながったのかなと思う。そこの部分に関しては記録も作れましたし、嬉しいですね」と素直に喜びを口にした。
雄平「来年はもっと“勝ち”を見せていけるように」
本拠地で迎えた今季の最終戦には、大勢のツバメ党が集結。この日の試合前も多くのファンに囲まれていたベテラン・35歳の雄平は、今季を振り返ってこう話してくれた。
「なかなか苦しいシーズンだったと思います。勝てないとやっぱり喜びもないですし、個人的にも打率はそんなに良くないし、やっぱり力不足。勝利に貢献できたかというと物足りない部分がすごくあった」
また、ファンに対しては「こんなに負けているのに応援してくれて、本当はもっと厳しい言葉とかもかけられておかしくないのに、前向きな声援をずっと一年間してくれた。本当にありがたいですし、それに甘えないようにしないといけない」と感謝の思いを口にしている。
そして、最後には「来年はもっと“勝ち”を見せていけるように、個人的にも“いいところ”で打てるようにしたい」と宣言。背番号41は決意を新たにした。
選手もファンも苦しみ抜いた19年シーズン…。この悔しさを糧に、来季は新体制で挑むツバメ軍団に期待したい。
取材・文=別府勉(べっぷ・つとむ)