全体練習後も一人黙々と練習
「キャンプインしたときに、目標にしていたこととだいぶ違いましたけど、自分の実力がなかっただけ。来年に向けてしっかりやっていきたいと思います」。
ロッテの安田尚憲は、3年目の来季に向けて動き出した。
一、二軍ともに今季の公式戦全日程が終了。ファームは1日からロッテ浦和球場で練習がスタートし、この日は打撃練習、走塁練習、守備練習などで汗を流した。安田は練習後に志願して、「足のリズムとか一歩目の反応、準備であったりを意識しました」と三塁のポジションで、小坂誠二軍内野守備・走塁コーチが打つノックを約1時間近く受けた。
特守が終わった後も、安田の練習は続いた。室内練習場に戻ると、他の選手たちが居残り練習を終えてロッカーに戻っていく中、安田は休むことなく、一人黙々とマシンを相手に一心不乱に打ち込んだ。成長しよう、もっと野球を上手くなろう、来季こそレギュラーを奪おうという意欲、意識がこちらにも、ひしひしと伝わってきた。
ファームでタイトル獲得も満足せず
2年目の今季は一軍出場がなかったが、ファームでは出場した122試合、全てで4番に座り、19本塁打、82打点を挙げ、イースタン・リーグの本塁打王、打点王に輝いた。
「打席数も多かったですし、多く使ってもらったおかげで獲れた部分も多い。自信になったというほどにはならない。もっともっとできたと思いますし、この1年は全然納得はいっていないですね」。ファームでタイトルを獲得したが、今年の成績には全く満足していない。
それでも、ファームでは3月27日と5月6日の日本ハム戦でサヨナラ本塁打、8月25日のヤクルト戦でサヨナラ打を放つなど、勝負所でチームを勝利に導く一打を多く放った。「今年は4番で多く出場させてもらったので、勝負どころではチームの勝利に貢献できる一打を求められていたと思う。そういった意味では、勝負所で打てたのは良かった」と一定の評価をしながらも、「逆に勝負所で打てていないときもあった。もっともっと勝負強いバッターになっていきたい」と反省することも忘れなかった。
安田に立ちはだかる高い壁
今季は三塁にレアード、一塁には井上晴哉や鈴木大地がレギュラーとして出場していたこともあり、安田には一軍の出番が巡ってこなかった。安田がレギュラーを奪うためにも、彼らを超えていかなければならない。
安田は、レギュラーを奪うために必要なことについて「全部ですね」と即答。「(鈴木)大地さんも、(井上)晴哉さんも、レアードも打撃がいいですし、勝負強く、守備も安定している。レギュラーで出ている人たちのレベルが高いなと思っている。そういった面でいくと、もっともっと成長していかないといけない」と攻守でレベルアップしていく必要があると感じているようだ。
一軍でレギュラーを奪うためにも、シーズンオフも休む暇はない。「実戦でしかわからないことがたくさんあると思う。プエルトリコでパワーピッチャー、強い打球がたくさんくると思う。いい経験になると思いますし、対応できるようにやっていきたいと思います」。昨年は台湾で行われたウィンターリーグに参加したが、今年のオフはプエルトリコで行われるウィンターリーグに参加し腕を磨く。
「レギュラーで出ている人たちに追いつくためにも、練習するしかないと思います」。来年こそは一軍の舞台で、躍動している姿をマリーンズファンに多く見せたいところ。そのためにも、安田が話すように“練習”して、さらなる技術向上を図っていく。
取材・文=岩下雄太