ロッテの柿沼友哉

 「掴みかけたチャンスを逃した。最後は悔しかったです。そんなに打てていないですけど、それなりに順調にきていた中で、やっぱり最後の怪我というのは、どうしようもない部分はありますが、なんとか最後までできなかったかなと。CS争いしている中で、緊張感を味わえませんでした。そこはやっぱり自分のなかで、悔いが残ってしまいましたね」。

 ロッテの柿沼友哉は今季をこのように総括した。プロ5年目の今季は開幕二軍スタートだったが、5月25日に今季初昇格。6月8日の巨人戦でプロ初安打を放つと、守備でも走塁中に負傷した吉田裕太に代わり出場した6月7日の巨人戦で、8回一死一、二塁から巨人の重盗に「二塁ランナーのスタートが良かったのは見えていましたし、三塁はセーフだなと一瞬でわかりました。ただ、一塁ランナーが遅れているのは見えていた。なので、セカンドへ投げようと」と、冷静な判断でスタートの遅れた一塁走者の重信慎之介を二塁で刺した。

 捕手陣の故障が相次ぐ中で、少ないチャンスでアピールし、スタメンでの出場を徐々に増やしていった。特に柿沼がスタメンマスクを被った試合は、6月22日のヤクルト戦から8月7日のソフトバンク戦にかけて8連勝。オールスター明けは種市篤暉、ボルシンガー、岩下大輝、石川歩が先発のときにはスタメンマスクを被った。

 スタメンでの出場機会を増やしていった中で、9月1日のオリックス戦の打席で死球を受けた。翌日も左手にサポーターをつけて練習に参加し、9月3日のオリックス戦の試合前練習では打撃練習に参加しなかったものの、バント練習やノックなど試合に出場する準備をしていた。しかし、9月4日に習志野市内の病院で検査を受けた結果『左尺骨骨折』と診断され、一軍登録を抹消。

 「当たった次の日も出るつもりでいた。スタメンを外れると言われて、自分で強い気持ちをもっていけなかったのかなと。歯を食いしばってできなかったのかなと、後から悔いが残ってしまいましたね」。今振り返っても、死球を受けた後の自身の行動を悔やんだ。

 それでも柿沼は早期一軍復帰を目指し、ロッテ浦和球場でリハビリに励み、9月23日のDeNAとの二軍戦で実戦復帰。「チームがCSにいってくれたら、出たい気持ちはあった。(一軍に)上がれたかどうかはわからないですけど、試合に出られるチャンスはゼロではないと思った」と話したが、チームは残念ながら4位に終わり、クライマックス・シリーズ進出とはならなかった。

 この故障を経験して柿沼は「もっと強くならないといけないな」と感じたという。「言ってしまえば、折れていようが、ヒビが入ってようが、自分で強い気持ちを持って心を折れなければ、いけたと思う。病院に行ったら、『やばいだろうな』というのは、自分の体のことなのでわかっていた。そこで気持ちが折れてしまったのが、学んだことじゃないですけど、もっと強くなっていかないといけない教訓になりました」。

 ロッテは一、二軍ともに今季の全日程が終了。柿沼は、来季に向けてスタートしている。「全体的にもっと強くならないとダメです。心も体も技術もそうですし、一軍にいるために全てにおいてタフにならないと、(一軍に)いるだけがゴールじゃない。一軍で活躍しないといけないし、試合に出続けないといけない」。大事なCS争いを怪我で出場できなかったからこそ、来季はCS争い、優勝争いをレギュラーとして味わいたい気持ちは誰よりも強い。

取材・文=岩下雄太

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