国内フリーエージェント(FA)権保有選手として10月19日にNPBから公示されたオリックスの宗佑磨選手が、FA権行使も視野に熟考中だ。
「12年やってきましたし、感謝しかありません。(監督時代の)福良さん(淳一GM)や中嶋さん(聡SD)が大切に使ってくれましたし、そこはもちろん大事にしていきたいところです。愛着はめちゃめちゃありますが、今は真剣に、冷静に自分が成長できる道を選びたいと思います」。横浜隼人高から2014年ドラフト2位で入団、7年目で三塁の定位置を獲得するまで育ててくれたオリックスに感謝の思いを表した後、自身の人生も含めた決断の重さに揺れる真情を吐露した。
今年6月7日に30歳を迎え、23日後の同30日に国内FA権を取得した。野球人生で大きな節目になった今季だが、宗にとって特別なシーズンでもあった。
2021年から3年間、攻守でリーグ3連覇と日本一に貢献し、3年連続してゴールデングラブ賞、ベストナインに輝いたが、2024年から2年間は打撃が安定せず、2軍での調整を強いられた時期もあった。「打てないと(首脳陣に)使ってもらえない」と、メディカルトレーニングを強化するとともに打撃のノートを付けて傾向と対策にあたり、バットのメーカーも長さや重さも替えた。
取り組み方も変化した。元々、自分に厳しい選手の一人だったが、今季は「言い訳をしない」と自分に向き合う意識をさらに高めた。打率こそ.245にとどまったが、134試合に出場し4年ぶりに規定打席に到達、キャリアハイの14本塁打、65打点をマークした。打点はチームトップ、本塁打は紅林弘太郎選手(18本)に次いで2位、6盗塁も渡部遼人選手(18)に続いて2位と結果を残すことができた。
FA権行使を視野に入れているといっても、オリックスに不満があるわけではない。むしろ、感謝の思いでいっぱいだ。それでも熟考するのは、体が万全な状態の中でさらに自分を高めたいという思いだけだ。「周りをみているとけがも増えて、冷静に考えて体が元気で野球ができるのって、あと5年か6年とかになってくるのでしょうか。リミットは刻一刻と迫っていると感じます」。客観的に自分を見詰め直した時、残された時間はそう長くない。高めのボールへの対応など、シーズン終盤から取り組んでいる新たな試みも含め、今だからこそ挑戦できることが、宗にはまだまだあるのだ。
ブレない心も、決断を後押しする。残留してもFA権を行使しても、結果はわからない。それでも「(決断を)正解にするんですよ、自分で。自分で選んでおいて『(終わってみないと)何が正解だったかわからない』なんて言うのは、他責になってしまうんです。人のせいにしちゃうと、言い訳じゃないですか。そこはもう、自分に責任を持って自分としっかり向き合わなければいけない。そういう時期に自分自身も差し掛かっているんじゃないかと思うんです」と宗。「集大成という形にしちゃうと自分で終わりを決めちゃっているんで、そこじゃないですね。とにかく、毎年毎年、毎日自分とひたすらに向き合っていくというところだけなんじゃないでしょうか」。選手としての伸びしろを感じるからこそ熟考し、最適解にたどり着く。
取材・文=北野正樹