オリックスが7月11、12日に大阪府高槻市で開催するファーム公式戦の阪神戦(萩谷球場)を、同市と市内の書店と協力し「書店振興企画」として開催する。
「『プロスポーツ×書店』本を買って野球場に行こう!」と名付けられたイベントは、同市観光シティセールス課でオリックスの2軍戦を担当していた宮井克滉さんが、経済産業省の商務・サービスグループ 文化創造産業課に出向したことがきっかけ。同省では、書店の減少を食い止めようと文科省などと連携し、「書店活性化プラン」を策定しており、宮井さんがオリックス2軍戦とのコラボを思い立った。
イベントには5書店が参加。宗佑磨内野手が推薦した「宇宙人のいる教室」(さいとうまき 作、勝川克志 絵、金の星社)と「オリックス・バファローズを楽しむ本」(京阪神エルマガジン社)の2冊の共通本以外は、各書店がテーマを絞り選定。7月11日までの購入者には、球団オリジナルステッカーと試合当日に選手のサイン色紙などが当たる抽選会の参加券が配布される。

活性化プランによると、2014年から24年にかけて書店の総店舗数は 1万4658店から1万417店まで減少(一般社団法人 出版インフラセンター調べ)し、新規開店も減少傾向にある。読書文化や活字文化の活性化で書店の振興につなげるためには、地域の書店を訪れてもらうことが最も重要になる。そのため、書店ごとにテーマを絞り野球ファンに足を運んでもらう工夫がされている。
紀伊國屋書店高槻阪急スクエア店は「大人も子供も知るほど夢中!野球の世界」をテーマに、「ドラえもん科学ワ-ルド スポ-ツの科学 藤子・F・不二雄/藤子プロ(小学館)」や「マネジメント術で読むプロ野球監督論(光文社新書)」などを選定。「野球をテーマにした小説」を掲げた未来屋書店高槻店は「勇者たちへの伝言 いつの日か来た道 増山実(角川春樹事務所)」や「スローカーブを、もう一球 山際淳司(KADOKAWA)」などを店頭に並べた。
「宇宙人のいる教室」を薦めた宗は、大阪市平野区から東京に転居した小学校3年生の頃に、その本と出合った。「当時、神保町に住んでいて、古本屋さんに行くのがすごく好きでそこで見つけて、母に買ってもらったんです」という。本は、いじめをテーマにしたもの。自分とは違う部分を見つけ転校生だけでなく次々と標的を変えていじめる教室の中で、見て見ぬふりをせずその連鎖から抜け出すことの大切さを、主人公の心の動きと行動を通して理解する内容。「僕自身(転校して)友達はあまりいなくて寂しさとかは感じていましたが、そんなに悲観的になるタイプじゃなく、食らいついていましたからそんな経験はありません」といい、「単純に物語として面白かったです」と振り返る。
“再会”したのは、1、2年前。「ふと、思い出したんです、あの本、なんだったっけと」というから、印象に残る一冊だったのだろう。「大人になった時に、もう一度この本と出逢い、改めて購入して読みました。そのくらい好きな本です。大人でも、子どもでも楽しめるさまざまな感情が詰まった一冊だと思いますので、ぜひ読んでもらいたいですね」と話している。
取材・文=北野正樹