オリックスの太田椋内野手が8月に入ってからも快打を連発し、高打率をキープしている。この間、2度負傷で欠場するコンディション不良に見舞われたが、好調の秘密はけがのおかげだという。
「まあ、いろんなところが痛いのが、逆にいいのかもしれませんね。けがの功名? 間違いないです」。太田が屈託なく笑った。
太田は大阪府羽曳野市出身。天理高(奈良)から2018年ドラフト1位でオリックスに入団。逆方向にも強い打球が打てる打力や勝負強さが持ち味だが、死球などのけがに苦しみ6年目の2024年からレギュラーに定着した。今季も前半戦に自打球で欠場し、右ふくらはぎへの死球で登録抹消を余儀なくされた。
後半戦は8月3日の楽天戦(東京ドーム)の守備で左手首を痛め2試合欠場。11日の楽天戦(楽天モバイル)では、柴田大地投手の151kmのストレートを左肩甲骨付近に死球を受けたが、1試合に欠場しただけで闘いの場に戻ってきた。骨に異常がなかったとはいえ、痛みはすぐに消えてはくれない。それでも最短で復帰したのは「4番」としての責任感だ。クライマックスシリーズ進出に向け負けられない試合が続く中で、チームを盛り立てることしか頭になかった。
左手首を痛めた3日以降、16日までの8試合で連続安打を放ち(30打数12安打、打率.400)、死球後の4試合では、17打数7安打、3打点、打率.412と4番の重責を果たしている。太田は、打撃の状態について「いい状態です。狙い球を1球で確実に仕留める確率が高いんです」といい、好調の要因にけがの効果を挙げる。
「もうテーピングだらけです。あまり力が出せないので、いかに少ない力で打つかと考えたら、変な力が入らなくなったんです。練習でも、遠くへ飛ばそうと思わず、質のいい打球を打とうと思っています」と明かす。けがによる痛みと上手に付き合いながら、“脱力”打法で新境地を開く。
取材・文=北野正樹