オリックスの紅林弘太郎内野手が、目標とするシーズン20本塁打と2年連続のゴールデングラブ(GG)賞受賞に向け、残り2試合に臨む。
「(カウントを)追い込まれていましたが、外のストレートをうまく打つことができました」。9月27日のソフトバンク戦(みずほPayPay)で今季18号の2ランを放った紅林が声を弾ませた。
駿河総合高(静岡)から強肩強打の遊撃手として2019年ドラフト2位でオリックスに入団。広い守備範囲と安定した送球で、2年目に開幕スタメンで起用され10本塁打を放って定位置をつかんだ。2023年にベストナイン、2025年にはゴールデングラブ賞に輝いた。
7年目の今シーズン当初には打率1割台と打撃不振に陥り、「この成績で試合に出ている方がおかしい」と悩んだこともあったが、自分を客観視することができるようになったことで冷静に打撃と向き合い成績が向上した。9月28日現在で134試合に出場、2年目から6年連続して規定打席に到達し打率は2割6分3厘。本塁打(18)と打点(60)ではキャリアハイを更新中だ。
好調な打撃を支えているのは、昨年6月ごろから始めた「体作り」だ。体の各部分を無駄なく使って出力に結び付けることを目的に、ストレッチや動作を繰り返し、柔軟性や筋力のレベルアップを図ってきた。
打撃練習にも工夫を凝らす。本拠地では全体練習前の早出特打の常連だが、9月中旬から全体練習での打撃練習に姿を見せなくなった。「室内(練習場)で打っているんです。球場で練習するとホームランになったとか、そういうことばかり気にしちゃうんで。(室内の狭い)鳥カゴの方が、体の動きがどうなっているのかわかりやすいんです。自然とセンター方向に打ちますから、いい形で打てるんです」。周りの景色を排除することで、打撃に集中する。取り入れた9月15日以降、敵地も含め11試合で3本塁打と量産しているのは、打撃練習での意識の変化が好影響しているようだ。
打撃に隠れているが、守備面でも成長を続けている。9月27日現在、パ・リーグ守備の遊撃部門で、失策は最少の「5」。目標とする西武・源田壮亮選手の「6」(115試合)を下回るリーグトップだ。「(独自トレーニングで)メディカル的に体が変わってきて、アウトにできない打球がアウトにできたり、速い打球や遅い打球などどの打球に対してもアウトにできる幅が広がってきたと思います。ランニングスローも多いのですが、ブレずに送球できるようになりました」と紅林。
これまで更なる成長を願い守備面でほめることの少なかった安達了一・内野守備走塁コーチも「だいぶ安定してきました。一歩目も速くなってきていますし、安心して見ていられます。昨年までとはだいぶ違います」と高い評価を与える。安達コーチが成長ぶりに挙げたのは、8月29日のソフトバンク戦(京セラドーム)。0-0の3回1死一塁のピンチで、周東佑京選手の遊ゴロをグラブトスで「6-4-3」の併殺を完成させた場面。「あの選択はよかったですね。握り替えていたら微妙なタイミング。紙一重でした」と目を細めた。紅林は「練習してきたプレーでした。(打者が俊足の)周東さんだったので、一つもアウトが取れないとピッチャーが泣いちゃうんで、ワンアウトは絶対に取ろうという気持ちでいきました」と胸を張った。
「ファインプレーより、ヒットの方がうれしいですよ」と言いながらも、目指すは2年連続のGG賞。「3年連続して受賞してこそ初めて自信がつく」と、守備でもチームに貢献する。
取材・文=北野正樹