開幕ローテを逃すも…
ロッテの岩下大輝はプロ5年目の今季、21試合に登板して、5勝3敗、防御率3.64の成績で終えた。
「開幕先発ローテーション入りを逃しましたが、すぐに上がって、前半戦は粘れて良かったと思います」。
春季キャンプで状態が上がらず試行錯誤したが、「継続的にやったことが上手くいったので良かったのかなと思います」と調子を取り戻した。先発の故障者が相次ぎ開幕3カード目の4月5日のソフトバンク戦で今季初先発を果たすと、続く4月11日のオリックス戦からは、4試合連続で6イニング以上を投げ、先発ローテーションに定着。
前半戦は涌井秀章、ボルシンガー、石川歩といった先発の軸として期待された投手が、本来の力が発揮できない中で、岩下の存在は非常に大きかった。7月2日のオリックス戦からはカード頭を任され、オールスター明け初戦となった7月15日の西武戦の先発マウンドを託された。7月30日のオリックス戦では、6回一死までノーヒットピッチングに抑えるなど、6回1/3を投げて1失点に抑え5勝目を手にし、マリーンズの先発陣には欠かせない存在となった。
しかし、8月6日のソフトバンク戦でベースカバーに入った際に右足を負傷し、『右足関節内反捻挫』で離脱。本人は「後半戦がはじまってすぐに、1カ月まるまるプレーできない時期があったので、そこはもったいない」と悔やんだ。
シーズン中の復帰を目指し、ロッテ浦和球場でリハビリに励み、クライマックス・シリーズを争う大事な終盤戦となった9月13日に再昇格。「一軍に呼んでいただいて、投げさせてもらった。いい経験ができたと思います」と、復帰後はリリーフで4試合に登板しシーズンを終えた。
収穫と課題
今季は一軍に定着し、昨季を上回る登板数、勝ち星を挙げるなど、成長を遂げた。
岩下は「一昨年とか(怪我で)野球をやっていない時期に比べたら、だいぶ投げられるようになってきている。投げることで考えさせられる部分もあった。投げないとできない経験ができたのでよかったです」と一定の手応えを掴んだようだ。
その一方で、「成績もそうですし、前半もローテーションを守っていた中で、勝ち数、負け数の数が自分の登板数よりも半分以上の数字になっていない。結果がつくまで投げられるような、投球ができなかった。数字をあげるためにも、イニング数を伸ばしていかないといけない」と自身の中で物足りなさも残った。
今年は“経験”を多く積んだと同時に課題点も見つかる1年でもあった。この“経験”を来年にどのように繋げていくのか今から楽しみだ。
取材・文=岩下雄太