ニュース 2019.10.14. 11:30

近年は好素材続々?! 高校生野手のドラフト候補たち

無断転載禁止
桐蔭学園の森敬斗(左)と東邦の石川昂弥(右)

今年の高校生野手は?!


 今月17日に行われる『プロ野球ドラフト会議』。今年も多くの選手が注目を集めているが、ここでは「カテゴリー」や「タイプ別」に候補選手を紹介していきたい。今回は、近年高く評価されることの多い高校生野手だ。

 一昨年は清宮幸太郎(早稲田実 ⇒ 日本ハム1位)、安田尚憲(履正社 ⇒ ロッテ1位)、村上宗隆、昨年は根尾昂(大阪桐蔭 ⇒ 中日1位)、小園海斗(報徳学園 ⇒ 広島1位)、藤原恭大(大阪桐蔭 ⇒ ロッテ1位)、太田椋(天理 ⇒ オリックス1位)と過去2年は高校生野手の1位指名が多かったが、今年は投手に比べると上位候補は少ない印象だ。


U-18の主砲と切り込み隊長


 そんな中でも1位指名が有力視されているのが石川昂弥(東邦/三塁手)である。選抜ではエースとして出場しながら決勝戦で2本のホームランを放ち、チームを優勝に導いた。その石川の評価を更に上げたのが、韓国で行われたU-18W杯。多くの選手が木製バットの対応に苦しむ中で、特大の一発を放つなど一人だけレベルの違うバッティングを見せていた。

 春までは投手での負担も大きかったのか右方向への打球が目立ったが、U-18ではしっかり踏み込んで強く引っ張る打球が増えていた。サードの守備も安定しており、現在のプロ野球界に不足している強打のサードとして貴重な存在になりそうだ。

▼ 石川昂弥(いしかわ・たかや)
<内野手(三塁手)/東邦高(愛知)>
身長/体重:185㎝/90Kg
投打:右投げ右打ち


 もうひとり、巡り合わせによっては上位指名の可能性もあると見られているのが、森敬斗(桐蔭学園/遊撃手)だ。175cmと決して大柄ではないものの、運動能力の高さが魅力のショートストップ。一歩目の反応が素晴らしく、球際の強さもプレーのスピード感も申し分ない。全身を使ったフルスイング、全力疾走を怠らない走塁も目に付く存在だ。

 U-18では本職ではないセンターを無難にこなし、全試合1番打者としてチームをけん引する活躍を見せた。高校の先輩でもある茂木栄五郎(楽天)のようなタイプの選手に成長する可能性も十分にあるだろう。

▼ 森敬斗(もり・けいと)
<内野手(遊撃手)/桐蔭学園高(神奈川)>
身長/体重:175㎝/70Kg
投打:右投げ左打ち


今年は捕手にも好素材?!


 今年は各カテゴリーに捕手の好素材が多いが、それは高校生も例外ではない。中でも東妻純平(智弁和歌山)、山瀬慎之助(星稜)、藤田健斗(中京学院大中京)の3人に注目が集まっている。

 地肩の強さでは奥川恭伸の女房役でもある山瀬がナンバーワンだが、東妻と藤田も速くて正確な送球を見せており、守備面はいずれも高いレベルにある。ただ、バッティングでは東妻が少しリードしている印象だ。

▼ 東妻純平(あずま・じゅんぺい)
<捕 手/智弁和歌山高(和歌山)>
身長/体重:172㎝/74Kg
投打:右投げ右打ち

▼ 山瀬慎之助(やませ・しんのすけ)
<捕 手/星稜高(石川)>
身長/体重:177㎝/85Kg
投打:右投げ右打ち

▼ 藤田健斗(ふじた・けんと)
<捕 手/中京学院大中京高(岐阜)>
身長/体重:173㎝/73Kg
投打:右投げ右打ち


未来の中軸候補たち


 スラッガータイプの選手になると井上広大(履正社)、菊田拡和(常総学院)、紅林弘太郎(駿河総合)といった3人の名前が挙がる。井上は夏の甲子園で3本のホームランを放ち、一気に評価を上げた。体格、パワーだけでなく、無駄の少ないスイングで技術的なレベルの高さも光る。

 飛ばす力なら菊田も負けていない。打球の速さ、上がる角度などはホームランバッターらしいものがあり、夏の茨城大会でも2本塁打を放った。紅林は打てる大型ショートというのが魅力の選手。まだまだ粗削りで攻守とも脆さはあるが、その強肩と強打は間違いなく超高校級だ。

▼ 井上広大(いのうえ・こうた)
<外野手/履正社高(大阪)>
身長/体重:187㎝/94Kg
投打:右投げ右打ち

▼ 菊田拡和(きくた・ひろかず)
<外野手/常総学院高(茨城)>
身長/体重:182㎝/92Kg
投打:右投げ右打ち

▼ 紅林弘太郎(くればやし・こうたろう)
<内野手(遊撃手)/駿河総合高(静岡)>
身長/体重:186㎝/81Kg
投打:右投げ右打ち


多士済々の遊撃手


 昨年のような大物はいないが、内野手ではショートに人材が多い。U-18に選ばれた武岡龍世(八戸学院光星)、韮沢雄也(花咲徳栄)、遠藤成(東海大相模)の知名度が高いが、軽快な守備が魅力の上野響平(京都国際)と近藤大樹(西日本短大付)、プレーのスピードが持ち味の川野涼平(九州学院)、攻守に形の良さが光る済木龍輝(佐賀商)なども面白い。

▼ 武岡龍世(たけおか・りゅうせい)
<内野手(遊撃手)/八戸学院光星高(青森)>
身長/体重:178㎝/77Kg
投打:右投げ左打ち

▼ 韮沢雄也(にらさわ・ゆうや)
<内野手(遊撃手)/花咲徳栄高(埼玉)>
身長/体重:177㎝/80Kg
投打:右投げ左打ち

▼ 遠藤 成(えんどう・じょう)
<内野手(遊撃手)/東海大相模高(神奈川)>
身長/体重:178㎝/82Kg
投打:右投げ左打ち

▼ 上野響平(うえの・きょうへい)
<内野手(遊撃手)/京都国際高(京都)>
身長/体重:174㎝/65Kg
投打:右投げ右打ち

▼ 近藤大樹(こんどう・だいき)
<内野手(遊撃手)/西日本短大付高(福岡)>
身長/体重:170㎝/68Kg
投打:右投げ右打ち

▼ 川野涼多(かわの・りょうた)
<内野手(遊撃手)/九州学院高(熊本)>
身長/体重:177㎝/74Kg
投打:右投げ両打ち

▼ 済木龍輝(さいき・りき)
<内野手(遊撃手)/佐賀商高(佐賀)>
身長/体重:174㎝/68Kg
投打:右投げ右打ち


 先述したように昨年までに比べると上位候補は多くないが、これから伸びそうな選手は少なくない。下位指名から球界を代表する選手に成長するケースが出てくることも十分に考えられるだろう。


文=西尾典文(にしお・のりふみ)
ポスト シェア 送る

もっと読む

  • ALL
  • De
  • 西