悔いの残る1年
「開幕は一軍の試合に出られたんですけど、当たり前なのかもしれませんが、思うような結果が出せませんでした。二軍に落ちてからも結果が全然でなかった。悔いが残るというか…」。
ロッテのドラフト1位ルーキー・藤原恭大は、自身のプロ1年目に満足することができなかった。大阪桐蔭高校の3年の時に、4番打者として甲子園の春夏連覇に大きく貢献。2018年のドラフト会議では3球団競合の末、ロッテが交渉権を獲得し入団した。
春季キャンプから一軍に帯同し、練習試合、オープン戦と一軍で実戦を積み、高卒1年目ながら開幕一軍の切符を掴み取った。3月29日の楽天との開幕戦では、球団の高卒新人では3人目となる開幕戦に先発出場し、第4打席でプロ初安打をマークした。プロ初安打後は一軍の投手の球に苦戦。プロ初安打以降に放った安打は、4月6日のソフトバンク戦のみ。翌7日に一軍登録を抹消され、その後はファームで腕を磨いた。
ファームでも藤原が冒頭に話したように、前半戦はなかなか安打を放つことができなかったが、実戦を経験していくなかで、徐々に自分の間合いで打てるようになり、鋭い打球も増えているように見えた。本人は「前半に比べればよくなったかなと思うんですけど…」と分析したが、「フォームであったり、修正というのが、なかなかできなかったというのがありました」と反省した。
シーズン終盤の8月27日に行われた日本ハムとの二軍戦で、走塁中に左肩を負傷。9月は代走で出場したが、ファームで1打席も立つことなくシーズンを終えた。現在はロッテ浦和球場で行われている練習に参加。心配された左肩の状態も「(肩は)大丈夫です」と屋外での打撃練習、室内練習場でのキャッチボールを再開させている。
打撃練習では力強い当たりを連発
ロッテ浦和球場で行われている秋季練習を見ていると、ロングティーや打撃練習でライナー性の強い打球や、スタンドに飛び込む打球が増え、力強さがでてきた。
「今はずっとバッティング練習をやっているので、シーズン中の試合前の打撃練習に比べれば飛距離もそうですけど、打撃自体も感覚的によくなってきている。よくはなっているかなと思います」。
藤原は春先から「体を大きくすること」をテーマに日々体づくりに取り組んできた。その成果が打球に現れているのかと問うと、藤原は「そうですね。それもありますし、バッティングは振らないと、絶対に良くならない。今はシーズンに比べれば数的に10倍くらいは振っています。この期間にしっかり振り込んで、(来)シーズンに繋げたいと思いますね」とこの秋は徹底的にバットを振り込んでいる。
堀幸一二軍打撃コーチも藤原について「振る力はついていると思いますよ。あとは試合で生きたボールをどう確率よくあげるかとか、練習でどれだけの確率で、芯で当てられるかが大事になってくる」と評価する。
続けて堀コーチは「(藤原は)まだまだやることはたくさんあります。今年彼は体をつくるところから始まっている。他の何年もやってきた先輩と同じことができるかというと、まだまだ。体ができあがってきて、彼のポテンシャルからするともっともっとよくなると思います」と課題点を挙げながらも、藤原の能力の高さ、将来性に期待を寄せる。
「一軍で通用するような技術、体力、精神的な部分を作るというのもそうですけど、一軍で出たいという気持ちはあります。ただ今は焦って中途半端な結果を残すより、二軍で力をつけて一軍でずっと結果を残せられるようなところを目指しています」と藤原。
プロ2年目の来季、一軍に定着するためにも、シーズンオフの過ごし方が大事になってくる。藤原は「体づくりとバッティングかなと思います。外野手なので守備、走塁はもちろんですけど、やっぱり打てないと試合に出られないと思う。一番はバッティングかなと思いますね」とオフは体づくりを継続しながら、打撃に力を入れていく考えを示した。充実の2年目にするためにも、今取り組んでいることの継続、シーズンオフの過ごし方がカギを握るといえそうだ。
取材・文=岩下雄太