8月に『スカパー!サヨナラ賞』
今季のロッテ・清田育宏は、ここで“打ってくれ〜”という場面で、1本を放った。
6月18日の広島戦、2-2の延長11回に決勝打、6月28日の楽天戦、4-5の9回二死満塁から値千金の逆転の2点適時打、7月27日の楽天戦、代打で同点打、翌28日の楽天戦でも代打でサヨナラ打、さらに8月6日のソフトバンク戦では、2-2で迎えた延長11回一死一塁の場面で、松田遼馬が投じた131キロの変化球をレフトスタンドへ放り込むサヨナラ弾。このサヨナラ本塁打で清田は、8月度の『スカパー!サヨナラ賞』を受賞した。
打率は.253だったが、得点圏打率は.311と、勝負強さが光った。「任されたところがそういう場面だったので、そういうところで打たなかったら、次のチャンスがないと思って、自分で勝負を決めにいくという気持ちで打席に入っていました」。
代打とスタメンで出場
開幕は代打での出場が多かったが、そこで結果を残し、スタメンを勝ち取った。「今年最初は代打の難しさとか楽しさとかいろいろわかってから、スタメンで出始めたので、代打で1打席大事にする。すごくスタート(スタメン)のときに活かされたかなと思います」。“1打席”で結果を求められる代打での経験が、スタメン出場のときに多いに役に立った。
スタメンを勝ち取った時期もあったが、今季はシーズン通して、スタメンで出場した翌日にベンチスタート、ベンチスタートの翌日にスタメン出場ということが多かった。準備の難しさはなかったのだろうかーー。
「スタメンは4打席もらえる。3打席ダメでも次打ってやるぞとか、どんどん切り替えられるんですけど、代打だと割り切りというか、積極性のなかに冷静さをもたないといけない」。
「“こうなったらいくよ”というのを自分である程度予想して、“今こういう場面だからいくだろうな”とか、予想しながら待つというのは精神的に疲れますね」。
準備の難しさを感じながらも、“1打席”で結果が求められる代打では、7月28日の楽天戦でサヨナラ打を放つなど、代打で打率.296(27-8)、1本塁打、8打点と好成績を残した。
裏方に感謝
清田は打撃投手をはじめ、裏方に感謝する。ZOZOマリンで行われる試合前の打撃練習では、速い球に目を慣らすため、川崎雄介打撃投手に最後の数球は速いボールを投げてもらいより実戦に近い形で、試合に向けた準備を行った。
「川崎さんに限らず、打撃投手の方々にはすごく感謝しています。ああいう人たちがいなかったら、僕たちは試合にすんなり入っていけないと思う。裏方さんにはものすごく感謝しています」。
プロ11年目となる来季に向けて「今年はある程度、怪我なくできた。オフは走ることが、すごく重要なんだなと気付かされた1年だった。オフは今年以上に走って、2月のキャンプに迎えたいと思います」と話す。
「井口監督になってからAクラスに入っていない。今年Aクラス争いができたというのは、僕たち選手全員にとってプラスになると思う。最低でもAクラスという高い目標をもってやっていきたいと思います」。2010年以来の日本一、2005年以来の優勝を目指し、オフも徹底的に鍛えていく。
取材・文=岩下雄太