ファームで10試合に登板
10月に行われた『第16回みやざきフェニックス・リーグ』で、ロッテの土居豪人は「球場の(スピード)ガンで、153キロが出ました」と自己最速を記録するなど、メキメキと成長している。
松山聖陵高からドラフト8位でロッテに入団した土居。近年の高卒新人投手は、基本的に体づくりを中心に行い、夏場以降に二軍戦でデビューを果たし、10月のフェニックス・リーグで実戦経験を積むことが多かった。
4月17日に行われたオール・フロンティアとの二軍練習試合で実戦デビューすると、5月6日の日本ハムとの二軍戦でファームの公式戦デビューを飾った。その後は、同じ高卒でプロ入りした古谷が先発で登板経験を積んでいくなか、土居はなかなか登板の機会が巡ってこなかった。
「古谷は先発という方向でやっている。自分は長いイニングを投げるというより、短いイニングを力入れて投げる方があっていると思っていたので、そういう面では焦りはなかった。ただ試合は出たい気持ちはありました」。
土居はプロ1年目、10試合・12イニングを投げて、0勝0敗、防御率9.75という成績で終えた。
「公式戦に投げさせてもらったのですが、いい結果が出なくてプロの厳しさがわかりました」。
考え方に変化
土居はシーズン中、たびたび投球練習中に小野晋吾二軍投手コーチから「クイックの練習を忘れるなよ」、「球数考えて投げろよ」とアドバイスを受けることが多かった。
そんな土居だが、小野二軍投手コーチは「フェニックスでちょっと変わってきているなというところが見られている」と意識面での変化を感じたという。
「フェニックスでその日に投げた投手は、吉井コーチと僕と面談でどういう考えで投げていたのか、良かった点、悪かった点の確認をした。土居は最初、言葉が全然でなかったんだけど、自分からこういうことを考えて投げたとか、最後は自分からそういう言葉が出るようになってきた」。
「とにかく自分で考えて、どういう意識をもって投げたらいいかというのを吉井コーチと一緒に導くというか、考えながら投げられるように少しずつ変わってきた。フェニックスの終盤は状態がいいように見えた。それが形になってきているんじゃないかなと感じますけどね」。
土居自身もフェニックス・リーグ中に「フォームのこと、体の使い方を意識していました」と話し、「キャッチボールのときに永野さんの体の使い方を見ていて、体が縦回転だった。自分もそれを見て参考にしてキャッチボール、ピッチングに取り入れたりやったりして、だいぶまとまってきましたね」と手応えを掴む。
フェニックス・リーグをきっかけに、技術面、思考面で少しずつ成長を見せる土居。プロ2年目となる来季に向けて、シーズンオフは「体が小さいのでしっかり体を作って、柔軟性もまだまだ足りない。怪我しないような体づくりをしたい。2月に向けて体が動くようにちゃんとしていきたい」と決意する。持っている能力が高いだけに、思考力があがれば、将来はかなり楽しみな投手といえる。
取材・文=岩下雄太