契約更改を終えたDeNA・柴田竜拓 [写真=萩原孝弘]

◆ トップバッターとしての矜持

 DeNAの神里和毅選手(25)は28日、横浜市の球団事務所で契約更改に臨み、「88%アップ」の年俸4800万円(金額は推定)でサインした。

 話し合いを終えた神里によると、「前半の成績だけ見ると『欲しかった1番バッターが出てきたな』と思ったが、後半は落ちてきた」というのが球団評。それでも、「来年は1番としてフルで出られるようになれば、チームも上位にいける」と期待をかけられたことを明かす。

 来季の目標は「しっかり身体を作ること」と、「盗塁の成功率を上げること」。打撃面では、「疲れもあってフォームが崩れ、結果を欲しがって余計に打てなくなった」と終盤の減速について分析。そのうえで、「軸足に体重が乗らないまま前に行っている感じで、トップも浅くなり、ステップした時に手も出てきてしまっていた」と課題は明確に把握しており、来季の改善点として挙げた。

 そんな神里の武器のひとつといえば、やはりスピード。「後半は良い感じで走れていた」と振り返りつつ、シーズン15盗塁は1年目の昨季から現状維持も、盗塁死はひとつ増えて10。「なんでもかんでも走るのではなく、相手の投手や捕手を選んで、走れるときに走る」と確実性の向上をポイントに挙げ、「最低でも8割」と盗塁成功率のアップを目標に掲げる。

 目標達成に向けて、オフは今季30盗塁をマークして成功率も.811を誇った中日・大島洋平との自主トレへ。同じ社会人・日本生命からプロ入りし、リーグを代表する外野手へと成長した“先輩”とともに、「1年間フルイニング出る」ための身体づくりと、盗塁技術の向上に挑む。

◆ “守備職人”はさらなる打撃向上へ

 また、この日の午後には柴田竜拓選手(25)も契約更改に臨み、こちらは「20%アップ」の4300万円(金額は推定)でサインした。

 内野の複数ポジションを守れるユーティリティ性と、堅実な守備に定評がある若き内野手は今季も100試合以上に出場。昨季までは“守備の人”の印象も強かったが、今季は規定打席には達していないものの、キャリア最高の打率.256をマーク。課題だった打撃面で成長を見せた。

 ここは球団としても評価が高かったポイントとのことで、「来季にしっかりつなげてほしい」とさらなる飛躍に期待を寄せられている。本人は「あまり言えない」と多くを語りたがらなかったが、「自分の中で“決断”できたこと」が大きかったと振り返り、「メンタル的な部分と技術的な部分の感覚のズレ」が改善されたことが好結果につながったと言う。

 当然、来季はシーズン通してのレギュラー奪取を目指す1年に。「チャンスは絶対にある。二遊間のどちらか、絶対に取りたい」と早くも闘志を燃やしている。

 また、打撃についても「僕の打つ打順は、たいてい出れば返してくれる打者が後ろにいる。なので出塁率を高めていきたい」と目標を掲げ、「減らない数字ですね。四球だったり、犠打や犠飛。これを増やしていきたい」と具体的な意気込みも。「打撃を伸ばしていかなければ、出るチャンスはない」。守備職人から不動のレギュラーに向けて、打撃の向上を目指す。

 そして、このオフはもうひとつの転機も。柴田が慕う筒香嘉智が、かねてからの夢を叶えるべく、ポスティングシステムを利用してメジャー挑戦を決断した。

 まだどうなるか分からないとはいえ、来季はチームを去る可能性が高い。「4年戦ってみて、良い意味でも悪い意味でも筒香さんのチーム」と振り返りながら、「中心の選手がいなくなるので、自覚が出るのは当たり前。むしろ中心にいなければいけないと思っている」と頼もしいコメントも。次代のベイスターズを担う存在として、柴田や神里にかかる期待は当然ながら大きい。

 彼らがレギュラーを奪い取り、その地位を不動のものとした時、きっとチームは栄冠に近づいていることだろう。今季はあと一歩届かなかった頂点へ、2人の奮起に期待したい。

取材・文=萩原孝弘(はぎわら・たかひろ)

もっと読む