西武に訪れた“暖冬”
12月に入ってすっかりオフシーズンモードの野球界。徐々に話題も少なくなってきている中、ファンの関心を集めているのが西武の契約更改だ。
パ・リーグ連覇を成し遂げたチームは、今季はシーズンを通してメンバーを固定して戦うことができたこともあり、特にレギュラーの選手たちは軒並み大幅アップを勝ち取っている。昨年の時点で1億の“大台”に迫っていた選手も多かったことから、今年は一気に5名の選手が大台を突破。来季は年俸1億円縛りでメンバーが組めるのでは…?ということでも注目を集めた。
今回はそんな西武の契約更改のなかでも、「金額」ではなく「アップ率」の方に注目。主力の大台超えが話題をさらう中、“前年比”で見てみると上位にはまた違う選手が入ってくるのではないか。今季のリーグ連覇を陰で支えた立役者にスポットを当ててみたい。
▼ 西武の契約更改 [前年比90%以上で抽出]
1位 186% 平井克典(3500万円⇒1億円)
2位 150% 森 友哉(8000万円⇒2億円)
3位 146% 本田圭佑(650万円⇒1600万円)
4位 116% 髙橋光成(1850万円⇒4000万円)
5位 111% 金子侑司(5700万円⇒1億2000万円)
6位 100% 外崎修汰(7000万円⇒1億4000万円)
6位 100% 平良海馬(600万円⇒1200万円)
8位 94% 今井達也(1800万円⇒3500万円)
8位 94% 小川龍也(1700万円⇒3300万円)
10位 91% 山川穂高(1億1000万円⇒2億1000万円)
11位 91% 木村文紀(2360万円⇒4500万円)
12位 90% 増田達至(1億円⇒1億9000万円)
※12月5日時点・金額はすべて推定
若き投手が台頭
3500万円から大台の1億円に達した平井克典、8000万円から一気に2億円に到達した森友哉につづいて、第3位にランクインしたのが大卒4年目右腕の本田圭佑。前年まで未勝利ながら今季はプロ初勝利を含む6勝を挙げ、ブレイクの兆しを見せた。
前年2ケタ勝利を挙げた榎田大樹や新戦力として期待された内海哲也、ドラフト1位ルーキー・松本航といったところがことごとく開幕に間に合わせることができず、苦しいスタートとなった先発陣。その中で本田は4月4日の先発を託されると、6回4失点ながら打線の援護もあって白星をマーク。これが嬉しいプロ初勝利となる。
その後はやや間隔があき、ローテーションに戻ったかと思えば4月末から6月末まで約2カ月もの間白星から遠ざかるなど苦しい時期もあったが、6月29日の登板でトンネルから抜けると3連勝。7月は2戦2勝で防御率0.63という圧巻の成績を残した。
しかし、好調な時期に首の違和感で戦線離脱となると、8月15日の復帰以降はやや精彩を欠き、クライマックスシリーズでも敗戦投手に。不運もあったが、最終的には悔しい形でシーズンを終えている。
ランキングを見てみると、本田に次ぐ4位のアップ率を記録した髙橋光成や、倍増に迫る94%アップを勝ち取った今井達也など、苦しんだ投手陣のなかでも、若き先発投手たちが頭角を現している点は来季への光明となるだろう。
やはり最大の課題は投手陣。開幕から軸として活躍が期待されるザック・ニールを中心に、今季経験を積んだ彼らのブレイクなくしてリーグ3連覇は難しい。
また、リリーフでは高卒2年目の平良海馬が剛球を武器にプロデビューを果たすと、終盤は一軍のブルペンに欠かせない存在に。このオフの“倍増”を糧に、来季はシーズン通した活躍ができるか。大きな期待がかかる。