唐川侑己は中継ぎから再度、先発を狙う
2月1日の春季キャンプスタートから2週間以上が経過。一部ではオープン戦もスタートし、紅白戦や練習試合といった実戦形式の内容が増えてきた。ベテランや主力選手こそ調整段階にあるが、ルーキーをはじめとした若手や一軍当落線上の中堅選手たちは結果を求められる。
そんななか、2月14日に行われた広島対ロッテの練習試合では、唐川侑己投手(ロッテ)が先発のマウンドに登った。広島の主砲・鈴木誠也に本塁打を浴びたものの、2回を投げて失ったのはこの1点のみ。春季キャンプで初めての対外試合登板としては、まずまずの内容だったと言える。
昨シーズンの唐川はチーム事情で中継ぎ起用されていたが、今シーズンは先発で起用される方針だという。もちろん、先発ローテーション入りを確約されている立場ではない。ロッテの先発投手陣を見ると、石川歩、美馬学の二枚看板がいて、種市篤暉、岩下大輝、二木康太、小島和哉といった若い投手も充実している。さらには、土肥星也や有吉優樹らも控えている。
唐川も今年で31歳。これからの実戦で与えられるチャンスの数も、伸び盛りの若手投手たちに比べれば多くはないだろう。そのなかで結果を残し、自身の居場所を勝ち取ることが求められる。
そんな唐川と同様に、「高校生BIG3」として大きな注目を集めてきたのが、中田翔(日本ハム/大阪桐蔭高)と由規(楽天/仙台育英高)であり、彼らもまた勝負の年を迎えようとしている。
それぞれの場所で挑む競争
いまや日本ハムの顔となった中田翔。昨シーズンは124試合で24本塁打を放ったものの、打率.242(450-109)、80打点と、4番打者としては少し物足りない数字に終わっている。
栗山英樹監督は2012年の就任当初から中田を4番に据え、中田中心のチームを作り上げてきた。2017年以降は4番から外れることもあったが、昨年も115試合で中田に「4番」を任せている。それだけ「4番・中田」を信頼しているということだろう。
しかし栗山監督は「競争の場所をたくさん作る。4番は一番打つやつを使う」とコメント。中田に発破をかける意味合いもありそうだが、競争を勝ち抜いた者に任せるということであり、チームの勝利という目標に向けて適材だと思う選手を適所に起用するということだろう。
チームを見渡すと、今シーズンの4番候補には、オフに自ら4番を目標に据えた大田泰示や新加入のビヤヌエバ、打撃フォームを変え2月15日の紅白戦で一発を放った王柏融、昨年も数試合で4番を務めた近藤健介もいる。故障が癒えれば、清宮幸太郎を抜擢する可能性だってあるだろう。中田も決して安泰ではない。
18日に行われたサムスンとの練習試合では、「2番・大田」、「3番・近藤」、「4番・中田」、「5番・ビヤヌエバ」、「6番・王」といった打順が組まれ、中田は第2打席にサムスンの若手投手からレフト前に安打を放ってお役御免となった。今週末からはオープン戦も始まり、本当の戦いはこれから、4番の座を死守することができるか、中田にとっても勝負の年になる。
そしてもうひとり、昨シーズンから地元仙台の楽天に加入した由規も勝負の年を迎える。昨年はシーズン途中に育成契約から支配下登録を勝ち取り、最終戦で初登板を果たしファンを喜ばせた。一軍登板わずか1試合では戦力になったとは言えないが、その試合では打者3人から2つの三振を奪って最速150キロをマークするなど、今後に向けて楽しみな投球内容だったことは確か。
この春季キャンプは二軍スタートとなったが、すでにブルペンにも複数回入り、仕上がりは順調そうだ。本人は役割にこだわっておらず、とにかく一軍で投げることを目標としている。とはいえ、完全復活を果たすには、まずは若手選手たちとの一軍昇格切符をかけた戦いに勝つことが求められる。
唐川、中田、由規が指名された2007年の高校生ドラフトから13年。高校時代から大きな注目を浴びて入団した3人全員が、ここまで現役生活を続けていることだけでもすごいことではある。しかし、まだ31歳。それぞれ立場は異なるが、それぞれの勝負に勝ち、もう一花も二花も咲かせることに期待したい。
▼ 個人成績
・唐川侑己(ロッテ)
19年: 40試合(37.2回) 5勝3敗14H 防御率5.26
通算:246試合(1198回) 71勝69敗19H 防御率3.79
・中田翔(日本ハム)
19年: 124試合 打率.242(450-109)本24 打点80
通算:1303試合 打率.253(4828-1220)本226 打点829
・由規(楽天)
19年: 1試合(1回)0勝0敗 防御率0.00
通算:91試合(534.1回)32勝36敗 防御率3.66