一軍の実戦で登板するも…
「30(点)くらいです」。
ロッテ・原嵩は、春季キャンプをこのように総括した。「キャンプ前の自主トレ期間のなかで、かなり状態が良くなってきた。正直、去年のシーズン中よりもいいボールが放れていたんですけど、キャンプ入ってからも最初は調子が良くて、この感じならイケるかなと思った。ただ途中から思うようなピッチングができなかった」と、30点の理由について説明した。
春季キャンプでは、2月9日に行われた楽天モンキーズとの国際交流試合に登板。一軍の首脳陣の前でアピールする絶好の機会も、「結果をかなり欲しがったために、力が入り過ぎてしまった部分もある。まっすぐでどんどん投げていかないといけない。意識しすぎてしまって、自分の持ち味のピッチングができていなかったと思います」と、3回、5安打、1四死球、4失点と、悔しい投球内容となった。
ただ、3イニング目はカーブが良く、原が持っている本来の力を発揮しているように見えた。原本人も「3イニング目は力が抜けてきて、あれが本来の自分のピッチングと感じた」と振り返る。それだけに、「(1、2イニング目は)もったいなかった部分もありますし、力が入り過ぎてしまったというのが大きかったと思います」と悔しがった。
小野コーチの評価は?
現在は一軍のマウンドを目指し、ファームで調整中の原。小野晋吾二軍投手コーチは、楽天モンキーズ戦の投球、現在の原をどう見ているのだろうか。
「(原嵩のなかで)やってきたと思うが、正直、物足りなさはキャンプの頭からちょっと感じる部分がありました。彼がアピールしなければいけない日というのは、決まっていた」
「与えられた機会のなかで、アピールしなければいけないというのは、わかっていたこと。そこでしっかり結果を出せる状態にあったかというところ。終わったことですし、とにかく状態をあげていくしかない。良い部分もあるし、足りない部分もあるということですね」。
厳しい評価をしたが、裏を返せば期待している証。昨年のシーズン中盤からファームの先発ローテーションで回り、シーズンオフに行われた『2019アジア・ウインター・ベースボール(AWB)』で好投を見せていた。だからこそ、そのチャンスを無駄にして欲しくなかったという思いがあるのではないだろうか。
今後、原が一軍のマウンドに上がるためには、アピールが必要になってくる。一軍で必要なことについて「強いまっすぐ。まっすぐを投げなきゃいけないところで、まっすぐを投げてしっかり打ち取ることだと思います」とストレートを挙げた。
「ファームで結果を残して、一軍の投手陣が疲れたところで、しっかり二軍で結果を残せていれば、十分にチャンスがあるのかなと思います」。プロ5年目の今季こそ、一軍のマウンドに上がるため、ファームで強いまっすぐにこだわっていく。
取材・文=岩下雄太