熾烈なレギュラー争い
2年振りのV奪回を目指す広島が、オープン戦で好調を維持している。3月8日終了時点で、5勝2敗1分の2位。あくまでも調整段階のオープン戦とはいえ、投打が噛み合っている印象だ。
投手陣では、野村祐輔が右腓腹筋損傷で離脱しているものの、開幕投手に指名されている大瀬良大地、床田寛樹、ドラフト1位のルーキー森下暢仁らが好投を続けている。
一方の野手陣は、正捕手の會澤翼や遊撃のポジションを争っている田中広輔、小園海斗、3番に座る西川龍馬、ケガによる出遅れから合流した正一塁手候補の松山竜平らも好調だ。打撃陣が好調なことでレギュラー争いも混沌としており、佐々岡真司新監督も就任早々頭を悩ませていることだろう。
現状の外野陣を見てみると、右翼の鈴木誠也と中堅の西川龍馬がレギュラーをほぼ手中に収めているなか、外野最後の1枠となる左翼は多くの候補がひしめいている。
ドラフト2位のルーキー宇草孔基は二軍で打席に入る機会を増やしているが、オープン戦ではベテランの長野久義、中堅どころの野間峻祥がスタメンで出場中。また、3月6日のオープン戦で死球を受け途中交代となった新外国人のピレラも、三塁守備に不安があり左翼へと回る可能性が高い。最近の試合では堂林翔太も外野の守備位置に入っている。
そして、高卒8年目の高橋大樹もレギュラー争いに名乗りを上げているひとりだ。
オープン戦では2打席連続本塁打も
高橋大は、2012年のドラフト会議で1位指名された逸材。龍谷大平安高校時代には2度にわたって甲子園に出場し、打率.500(14-7)、1本塁打を記録した右の大砲候補だった。
ちなみに、このドラフトで広島が2位で指名したのが、今や押しも押されぬ日本の4番となった鈴木誠也。つまり、高校時代は鈴木よりも高橋大のほうが評価は高かったとも言える。しかし、一軍デビューは鈴木よりも1年遅い2014年で、同年は2試合の出場のみ。その後、鈴木は2016年に大ブレイクを果たしたが、高橋大は二軍暮らしが続いた。
鈴木がチームに欠かせない主力となった2018年、高橋大は4年ぶりとなる一軍出場を果たし、プロ初安打も記録。昨シーズンはキャリアハイとなる27試合に出場すると、プロ初本塁打もマークしている。時間はかかったものの、ようやく同じ舞台に立てるまでになった。
そして迎えた8年目の今年は、春季キャンプで一軍スタートを勝ち取ると、ここまでのオープン戦は少ないチャンスをものにし、打率.333(9-3)。3月1日の中日戦では、2打席連続本塁打も放った。この活躍に、佐々岡監督も開幕スタメン起用の可能性を示唆したほど。
開幕スタメン起用となれば、もちろん自身初のこと。同期の鈴木はすでに日本代表の4番に定着しているが、高橋大もまだ25歳、巻き返す時間は十分にある。まずは、これからのオープン戦でも結果を残し、開幕一軍、そしてスタメンを勝ち取ることに期待したい。
▼ 選手プロフィール
・高橋大樹(広島)
[経歴]龍谷大平安高校
[ドラフト]2012年1位
[20年OP戦] 7試合 打率.273(11-3)2本 4打点 OPS1.146
[19年成績]27試合 打率.279(43-12)1本 3打点 OPS.759
[通算成績]35試合 打率.266(70-17)1本 3打点 OPS.694