アピールを続ける選手たち
2月16日に始まった2020年のオープン戦も気づけば各球団残り3試合。今シーズンは世界中に猛威を奮っている「新型コロナウイルス」の感染拡大を受けて、レギュラーシーズンの開幕が延期となり、3月11日時点では開幕日が未定の状態だ。
それでも選手たちにとっては来るべき“開幕戦”に向けて調整を続けていくだけ。特にポジション争いを繰り広げている選手にとっては、引き続きアピールチャンスが巡ってくることになるだろう。
今回は3月11日終了時点でのオープン戦打撃成績の上位選手を振り返ってみたい。試合数にバラつきはあるものの、以下がその上位選手の一覧だ。
オープン戦・打撃個人成績の上位選手
※成績はいずれも3月11日終了時点▼ 打率
1位 .500 福田秀平(ロ)
2位 .400 西川龍馬(広)
3位 .385 岡本和真(巨)
4位 .350 金子侑司(西)
5位 .345 大山悠輔(神)
▼ OPS
1位 1.579 福田秀平(ロ)
2位 1.184 西川龍馬(広)
3位 1.113 塩見泰隆(ヤ)
4位 1.022 岡本和真(巨)
5位 .948 髙山 俊(神)
▼ 本塁打
1位 4本 T.オースティン(De)
2位 3本 松田宣浩(ソ)
2位 3本 中田 翔(日)
2位 3本 中島宏之(巨)
5位 2本 15名
▼ 打点
1位 9点 吉田大成(ヤ)
1位 9点 岡本和真(巨)
1位 9点 W.バレンティン(ソ)
1位 9点 中田 翔(日)
1位 9点 佐野恵太(De)
6位 6点 6名
▼ 盗塁
1位 5個 塩見泰隆(ヤ)
2位 4個 金子侑司(西)
2位 4個 牧原大成(ソ)
2位 4個 辰己涼介(楽)
5位 3個 福田秀平(ロ)
5位 3個 佐藤直樹(ソ)
5位 3個 小深田大翔(楽)
▼ 安打
1位 15本 岡本和真(巨)
2位 12本 大島洋平(中)
3位 11本 鈴木大地(楽)
3位 11本 中島宏之(巨)
3位 11本 丸 佳浩(巨)
3位 11本 塩見泰隆(ヤ)
3位 11本 渡邉 諒(日)
好調な新加入選手と開幕スタメン狙う選手たち
まず、目を引く圧倒的な成績を残しているのがFAでロッテに加入した福田秀平だろう。ソフトバンクではスーパーサブ的な起用が続いていたが、ロッテでは期待通り、いや現時点ではそれ以上の期待を抱かせてくれる連日の大活躍である。
当初は「2番」での起用も予想されていたが、オープン戦に出場した6試合は全て「1番」で起用され、第1打席の成績は6打数4安打。先頭打者本塁打が2本と、昨季の切り込み隊長・荻野貴司が不在の状況で、文字通り打線を牽引するリードオフマンぶりをアピールしている。
開幕スタメンを争う選手では、巨人の「一塁手」の座を狙う中島宏之が好調だ。セ・リーグ初挑戦となった昨季は、出場43試合で打率.148、1本塁打と打撃の状態が上がらなかった。しかし、打撃フォームを変更して臨んだ今春のオープン戦では、持ち前のパンチ力が光り全体2位タイの3本塁打をマーク。30打数11安打に4四死球で出塁率.441と、プロ18年目の春に、自身3年ぶりとなる開幕スタメンを射程圏内に捉えている。
さらにヤクルトの塩見泰隆もチーム内では圧倒的存在感を放っており、注目したい存在だ。プロ2年目の昨季もオープン戦で好成績を残しており、自慢の快足で12球団ダントツの12盗塁を記録。SNS上で「#ヤバイよ塩見」がトレンドになるなどブレーク候補筆頭に名乗りを挙げたが、シーズンに入ってからは一軍出場45試合で打率.182とからっきし。今季こそ「オープン戦の男」を脱却できるか、要注目だ。
好調な鯉打線、アピール続ける2年目野手も
その他、規定打席未達の選手では、ロッテから楽天へFA移籍した鈴木大地、中日の大島洋平といったベテラン勢が打率4割超の好成績をマークし、順調な調整ぶりを見せている。
昨季4年ぶりにBクラスに沈んだ広島では、新外国人のホセ・ピレラが打率.333(21-7)、11年目を迎えた“鯉のプリンス”堂林翔太が同.471(17-8)、コンディション不良で一時離脱していた松山竜平が復帰戦から4戦連続安打で同.556(9-5)と活発。内野の一角を巡る激しいポジション争いの影響は、外野にまで飛び火している。
さらに今季のオープン戦ではセ・パともに2年目を迎えた“新顔”もアピール中だ。
ヤクルトの2年目・吉田大成は打撃フォーム改造が奏功し、出場10試合で打率.310、リーグトップの9打点をマーク。ルーキーイヤーの昨季はわずか18試合の出場に留まったが、この春は故障離脱で村上が空けていた「三塁」に加えて「一塁」でも出場機会を得て定位置奪取へ奮闘中だ。
パ・リーグではオリックスの2年目・宜保翔がチームトップの10安打を放ち打率.435と好調。二遊間の守備に不安はあるものの、若返りが進むチームの中で高卒2年目の選手が台頭してきたのは頼もしい限りだろう。あとは首脳陣が攻守にわたってどれだけ我慢し、起用し続けられるか――。4月に予定されているレギュラーシーズン開幕に向けて、その起用法にも注目が集まる。