オープン戦で5試合連続無失点中!
三軍から二軍を飛び越えて一軍のマウンドへ…。巨人の高卒2年目右腕がアピールを続けている。
沼田翔平(ぬまた・しょうへい)、背番号は「016」という育成選手。旭川大高から2018年の育成ドラフト3位で巨人に入団すると、ルーキーイヤーの昨季は主に三軍戦で登板。終盤には二軍の舞台でも3試合の登板を果たし、計9イニングを投じて8奪三振、防御率2.00という成績を残した。
175センチ・65キロという体躯は、屈強なプロ野球選手の中に入ると目立たないどころか線の細さすら感じるものの、右腕から投じられる速球は威力抜群。キャンプから持ち味を発揮して首脳陣の目を引くと、チームが宮崎から那覇に移るタイミングで一軍に合流。実戦ラウンドへの切符を掴み、以降は一軍部隊に帯同し続けている。
オープン戦はここまで5試合に登板して防御率0.00。被安打はわずかに2本で、四球が3つ。5回と1/3を投げてイニングを上回る7つの三振を記録し、奪三振率は11.81。ステージが上がっても、力強いまっすぐで三振を奪うという投球スタイルで猛烈なアピールを続けており、支配下登録という第一目標も現実味を帯びてきた。
巨人の支配下枠は残り「4」
3月13日現在、巨人の支配下登録人数は「66」。支配下選手枠の上限は「70」と決められているが、緊急の事態に備えるために、開幕時点で枠いっぱいを使うということはほとんどない。
チームを率いる原辰徳監督は、キャンプの中で育成選手たちが良いアピールを見せていた時期に、「(支配下登録は)3人くらいかな」というコメントを発したことが報じられている。そこから外野手のイスラエル・モタが支配下登録を勝ち取ったため、指揮官の(当時の)構想的には「あと2人」というところが上限と予想することができる。
あとはライバルとの戦いというところになるが、投手では「023」の與那原大剛、「024」のナティーノ・ディプランという右腕がオープン戦で登板しているものの、彼らとの比較では沼田が最も良い内容の投球を続けており、野手は「026」のエスタミー・ウレーニャが1試合に出場しただけ。サバイバルレースでは沼田が頭一つ、ふたつ抜けたところにいると考えられるだろう。
あとはこの好調をどこまで維持していくことができるか。本来であればあと1週間で開幕だったところが、今年はまさかの事態で先延ばしに。選手としては目標から逆算した調整が難しくなっているが、沼田は1回の登板、1球にすべてを込めてアピールを続けていくのみ。
“オープン戦”として行われるのは残り3試合となったが、がむしゃらに投げ続ける巨人の背番号「016」に注目だ。
文=尾崎直也