12球団「最後の○○」
「新型コロナウイルス」の問題で未だ開幕の見通しが立っていないプロ野球。前に進むことができない今こそ、過去の記録にフォーカスを当てて振り返ってみよう、ということで、各球団“最後のタイトルホルダー”を振り返るこの企画。
タイトルホルダーを多数輩出するチームもあれば、部門によっては長らく遠ざかっているチームも…。今回取り上げるのは「最多勝利投手」。まずはセ・リーグ6球団から見てみよう。
四半世紀以上のブランク
巨 山口 俊(2019年/15勝)
広 大瀬良大地(2018年/15勝)
神 ランディ・メッセンジャー(2014年/13勝)
中 山井大介(2014年/13勝)
ヤ 小川泰弘(2013年/16勝)
De 野村弘樹(1993年/17勝)
2010年代に活躍した投手が並ぶなか、一際目立つ「野村弘樹(1993年)」…。DeNAは12球団で最もブランクが長く、27シーズンもタイトルから遠ざかっている。
マシンガン打線を武器にリーグ優勝した1998年は、野村弘樹、三浦大輔、斎藤隆の3投手が2ケタ勝利を上げるも、このシーズンの最多勝は17勝を上げ沢村賞との二冠に輝いたヤクルトの川崎憲次郎のものに。ベイスターズの低迷期を支えた“ハマの番長”こと三浦大輔は、横浜一筋25年のプロキャリアで7度の2ケタ勝利を挙げたが、勝利タイトルには届かなかった。
セ・リーグは2015年の広島・前田健太から5シーズン連続で広島・巨人勢のタイトル獲得が続いており、昨年は山口俊が最多勝に輝いた。他球団では2014年の阪神・メッセンジャーと中日・山井が直近のタイトルホルダーということになる。
ここ4シーズンで3度のクライマックスシリーズ進出を果たしているDeNAの投手陣を見てみると、今永昇太と濱口遥大の左腕コンビに上茶谷大河、平良拳太郎など、左右のバランス良く好投手が揃ってきた。特に今永は昨季リーグ2位の13勝をマークしており、個人タイトル獲得が期待される存在。DeNA体制初の「最多勝」誕生に期待がかかる。
2リーグ制後のチーム別タイトル獲得回数では、巨人が24回でトップ。山本昌、川上憲伸、吉見一起と好投手を輩出した中日が20回、以下広島(13回)、ヤクルト(10回)、阪神(9回)、DeNA(7回)と続いている。
ロッテ・涌井の前は…?
▼ パ・最後の『最多勝』
ソ 東浜 巨(2017年/16勝)
西 多和田真三郎(2018年/16勝)
ロ 涌井秀章(2015年/15勝)
日 有原航平(2019年/15勝)
オ 金子千尋(2014年/16勝)
楽 田中将大(2013年/24勝)
2010年代の各球団を代表する右腕たちがズラリと並ぶなか、ロッテは2013年にFA加入した涌井秀章が最後の最多勝投手。この涌井以前の同タイトルホルダーということになると、1998年の黒木知宏(13勝)まで遡らなければならず、20年以上も生え抜き投手がタイトルに届いていない。
ちなみに、黒木知宏の上げた13勝という数字は同シーズンの西口文也(西武)、武田一浩(ダイエー)と並んで、最多勝投手のリーグ史上最少記録(当時は年間135試合)。セ・リーグでは年間144試合開催の2014年に阪神・メッセンジャーと中日・山井が13勝でタイトルを獲得しており、セパともに「13」が最多勝投手の史上最少記録として残っている。
今季は新型コロナウイルスの影響で試合数削減の可能性が取り沙汰されており、これを下回るリーグ最少記録での「最多勝投手」誕生も十分考えられる。数十年先の未来のプロ野球ファンは、過去の記録を振り返る度に“ウイルスに翻弄された2020年”を振り返るのだろうか…。一日も早い事態の収束を願うばかりだ。
なお、チーム別のタイトル獲得回数では、西武が21回でトップ。ソフトバンク(15回)、ロッテ(12回)、オリックス(11回※近鉄は13回)、日本ハム(10回)、楽天(3回)と続いている。