阪神の糸井嘉男(C)KYODO NEWS IMAGES

◆ 3年目に打者転向、レギュラー定着は6年目

 新型コロナウイルスの影響で未だ幕を開けない2020年シーズン。改めてチームや選手の過去を振り返る機会が増えたのだが、阪神・糸井嘉男外野手(38)の球歴を見ると、安定した働きに感心させられる。

 近畿大学のエースだった糸井は、2003年のドラフト自由枠で日本ハムに入団。しかし、投手として一軍のマウンドに立つことはできず、当時の高田繁GMの意向もあり2006年に外野手に転向した。4年目の2007年はイースタン・リーグで打率.319をマーク。同時に14盗塁、同リーグ2位タイの12本塁打を記録するなど、非凡な打撃センスとともにパワーとスピードも兼ね備えていた。

 レギュラーに定着したのは6年目の2009年。131試合の出場で打率.306、15本塁打、58打点、24盗塁、OPS(出塁率+長打率).901をマークし、ベストナインとゴールドグラブ賞をW受賞した。翌2010年以降は不動のレギュラーとして君臨。日本ハムを退団する2012年まで4年連続打率.300超え、最高出塁率賞を2度獲得するなど、2009年と2012年のリーグ優勝に大きく貢献した。

◆ トレードでオリックス、FAで阪神に移籍

 2013年、トレードでオリックスへ移籍。1年目から打線の中軸を担い、加入2年目の2014年は打率.331、出塁率.424で首位打者と最高出塁率賞を獲得。チームの2位躍進の立役者になった。2015年は打率.262で3割超えは6シーズン連続でストップしたが、2016年は打率.306、17本塁打、70打点、OPS.849と復活。走ってもシーズン自己最多の53盗塁をマークし、初の盗塁王にも輝いた。

 国内FA権を行使し、2017年以降は阪神に在籍。故障が増え守備と走塁面の衰えは否めないが、それでも最近の2シーズンは、再び連続で打率3割、出塁率4割超えをマーク。阪神打線の中軸を担い続けている。

 2019年はギリギリ(444打席)での規定打席到達となったが、これで日本ハムでレギュラーの座をつかんだ2009年から、3球団をまたぎ11シーズン連続で規定打席をクリア。現時点で通算打率.302、同出塁率.394を誇り、この間、9度の打率.300超え、10度の出塁率.380超えを記録している。

 野手転向、突然のトレード、そしてFA移籍と、様々な経験をしてきた大ベテラン。だが、波乱万丈な球歴とは裏腹に、グラウンドでの成績は安定感抜群だ。

【糸井嘉男:2009年以降の打撃成績】

09年(日):打率.306、出塁率.381、15本塁打、58打点、24盗塁、OPS.901
10年(日):打率.309、出塁率.407、15本塁打、64打点、26盗塁、OPS.889
11年(日):打率.319、出塁率.411、11本塁打、54打点、31盗塁、OPS.859
12年(日):打率.304、出塁率.404、 9本塁打、48打点、22盗塁、OPS.813
13年(オ):打率.300、出塁率.384、17本塁打、61打点、33盗塁、OPS.852
14年(オ):打率.331、出塁率.424、19本塁打、81打点、31盗塁、OPS.948
15年(オ):打率.262、出塁率.366、17本塁打、68打点、11盗塁、OPS.779
16年(オ):打率.306、出塁率.398、17本塁打、70打点、53盗塁、OPS.849
17年(神):打率.290、出塁率.381、17本塁打、62打点、21盗塁、OPS.828
18年(神):打率.308、出塁率.420、16本塁打、68打点、22盗塁、OPS.900
19年(神):打率.314、出塁率.403、 5本塁打、42打点、 9盗塁、OPS.819

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