ニュース 2020.05.05. 11:59

ティモンディの2人が選ぶ、“野球の良さ”を改めて感じた名シーン ~プロ野球「“超個人的”名勝負」~

無断転載禁止
楽天を日本一に導いた田中将大 (C) Kyodo News

今こそ「あの名勝負」の話がしたい


 「新型コロナウイルス」の問題により、シーズン開幕の見合わせが続いているプロ野球。これまで当たり前のように行われていた野球の試合が突然奪われ、寂しい想いをしているファンの方も多いのではないか。


 そんな中、野球ファンの『#おうち時間』を盛り上げているのが、テレビやラジオで行われている「過去の名勝負」特集だ。

 当事者がハイライト映像を見ながら知られざる裏話を踏まえて解説してくれるという企画は過去にもあったが、最近では貴重なフルマッチを丸ごと流してしまうという大胆な番組構成も。家でお酒を飲みながら当時の懐かしい思い出にふけるファンや、話は聞いたことがあるけどしっかり見るのは初めてという若いファンまで、SNS上では様々な盛り上がりを見せている。


 というわけで、ベースボールキングでも過去の野球界の名勝負について取り上げる企画を展開中。今回は名門・済美高野球部出身のお笑いコンビ・ティモンディのお2人に、これまでのプロ野球の試合のなかで特に印象深い試合、シーンについて伺った。


文・構成=尾崎直也




「野球って良いな、と思えた瞬間」


 まずは、コンビのツッコミ兼ネタ作り担当の前田裕太さんから。

 テレビ番組やYouTubeの動画では150キロに迫る剛速球を投げる高岸さんが目立ちがちだが、高校時代は2年からベンチ入りを果たし、野球部の高校生を対象とした筋力測定では全国No.1に輝いたこともあるという身体能力を誇る。

 「パッとひとつ選ぶとすれば、マー君の楽天ラスト登板。チームを日本一に導いたあの試合ですかね」


 前田さんが挙げた試合は、2013年11月3日(日)にKスタ宮城で行われた日本シリーズ第7戦。先に王手をかけた楽天に対して、巨人が第6戦でその年「24勝0敗」という成績を残した田中将大投手を攻略。3勝3敗のタイで迎えた最終戦である。

 「楽天がリードして9回を迎えて、日本中の野球ファンがザワついたと思うんです。前日投げているマー君が出てくるのかどうか。普通に考えたら出てこないんですけど、ベンチから出てきた星野(仙一)監督の口が動くんですよね。『田中ぁ!』って(笑)いや、本当にそう言ったかどうかはわからないんですけど、完全にそう見えて、そしたら本当にベンチからマー君が出てきた」


 試合は3-0と楽天がリードして9回表を迎え、ふつうであればストッパーで締めくくるところ。しかし、当時の楽天はダレル・ラズナーがシーズン途中から抑えに定着してチームトップの17セーブを挙げたものの、8月終盤の試合で右肘を故障。9月にアメリカへ帰国して手術を受けていて、さらにチーム2位の11セーブを挙げていた青山浩二もケガでメンバー外と、ブルペン陣はかなり切羽詰まった状況だった。

 とはいえ、田中は前日の第6戦で9回160球の完投。この状態で連投で出てくるというのは常識的に考えるとあり得ない。しかし、ベンチから飛び出してきたのは「背番号18」。ほどなくして当時の登場曲だったFUNKY MONKEY BABYSの『あとひとつ』が球場に流れ出すと、ファンは大合唱でエースに声援を送った。

 「本当に出てきた!って興奮していたら、『あとひとつ』が流れて、球場中が大合唱するんですよね。マー君の魂の投球ももちろん名シーンなんですが、この試合で一番印象に残っているのがその時のこと。プレーするのはグラウンドの選手たちなんですが、試合はみんなで戦うものだという、野球の良さというか、醍醐味みたいなものを改めて強く感じましたね」


 試合は田中がピンチを作りながらも、気力と執念でスコアボードにゼロを刻み、楽天が3-0で勝利。この瞬間、楽天が創設初の日本一に輝いた。


▼ 2013年11月3日(日) 楽天 - 巨人

【コナミ日本シリーズ・第7戦】
▼ Kスタ宮城
巨|000 000 000|0
楽|110 100 00X|3
勝:美馬(楽)
負:杉内(巨)
S:田中(楽)


「チームの垣根を越えた一体感」に感動


 この話を隣で深く頷きながら聞いていた高岸宏行さんも、同じく『野球の素晴らしさ』を感じたという印象に残るシーンについて語ってくれた。

 「勝負ではないですが、とても印象的な、とても感動したシーンがあります」


 その試合は、2017年7月15日(土)にZOZOマリンスタジアムで行われたオールスター・ゲームの第2戦。かつてこの球場をホームとしていたアルフレド・デスパイネ(ソフトバンク)の一発にライトスタンドが沸き立ち、当時ロッテを牽引していた鈴木大地にも一発が飛び出してパ・リーグが快勝。第1戦に続いての連勝を達成した試合である。

 「僕が印象に残っているのは、試合後の光景なんです。(鈴木)大地さんの主導で、パ・リーグの選手たちがライトスタンドのファンの前に集まって、“We are”をするんです」


 “We are”とは、ロッテでお馴染みの勝利の儀式。その日のヒーローを中心に選手たちが試合後にライトのフィールドへと出向き、ライトスタンドのファンと向かい合って、肩を組みながら同じ掛け声でジャンプをする。

 「ロッテのYouTubeにも動画があるんですが、大地さんが声をかけていくと、パ・リーグの選手たちはみんなノリノリなんですね。違うユニフォームを着た選手たちが、こう一列に並んで肩を組んで、大地さんの発声から、みんなで“We are パ・リーグ”を大合唱したんです。チームの垣根を越えて、みんなが心をひとつにしたシーン。これが本当に印象に残っています」


 野球というスポーツを通じて知り合い、今はお笑い界で奮闘を続ける2人が選んだのは、いずれも「野球の良さ」を感じた試合であり、その中の印象的なシーンだった。


▼ 2017年7月15日(土) パ・リーグ - セ・リーグ

【マイナビオールスターゲーム2017・第2戦】
▼ ZOZOマリンスタジアム
セ|001 000 000|1
パ|000 110 10X|3
勝:美馬(楽)
負:井納(De)
S:谷元(日)



ポスト シェア 送る

もっと読む

  • ALL
  • De
  • 西