ニュース 2020.05.15. 11:29

奪還への道のりを追い続けた男が選ぶ、令和元年・巨人のベストゲーム ~プロ野球「“超個人的”名勝負」~

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総力戦でもぎ取った一勝により優勝マジックが点灯 (C) Kyodo News

今こそ「あの名勝負」の話がしたい


 「新型コロナウイルス」の問題により、シーズン開幕の見合わせが続いているプロ野球。これまで当たり前のように行われていた野球の試合が突然奪われ、寂しい想いをしているファンの方も多いのではないか。


 そんな中、野球ファンの『#おうち時間』を盛り上げているのが、テレビやラジオで行われている「過去の名勝負」特集だ。




 当事者がハイライト映像を見ながら知られざる裏話を踏まえて解説してくれるという企画は過去にもあったが、最近では貴重なフルマッチを丸ごと流してしまうという大胆な番組構成も。家でお酒を飲みながら当時の懐かしい思い出にふけるファンや、話は聞いたことがあるけどしっかり見るのは初めてという若いファンまで、SNS上では様々な盛り上がりを見せている。


 というわけで、ベースボールキングでも過去の野球界の名勝負について取り上げる企画を展開中。今回はスポーツ・チャンネル『DAZN(ダゾーン)』にて、巨人軍の2019年シーズンの裏側を追ったドキュメンタリー番組「GIANTS 復活への道」を手掛けたエグゼクティブプロデューサー・江尻大輔氏にお話を伺った。


文・構成=尾崎直也


劇的勝利でマジック点灯!


 2019年、帰ってきた原辰徳監督の下、5年ぶりのリーグ奪還を果たした巨人。いくつものドラマチックな試合があったなか、チームをそばで見守り続けてきた江尻氏が選んだ一戦は、指揮官が掲げてきた『和と動』が如実に表れた“あの試合”だった。


 2019年8月24日(土)、東京ドームで行われた対DeNA(18回戦)。延長11回・3時間54分の死闘を制し、優勝へのマジックナンバー「20」を点灯させた日である。

 先制こそ許したものの、4回に丸佳浩とアレックス・ゲレーロの本塁打で試合をひっくり返し、6回終了時点では5-2とリード。そのまま逃げ切りを図るも、8回に中川皓太がまさかの乱調。嶺井博希に逆転2ランを浴びるなど、4失点で5-6と逆転を許してしまう。

 それでも、打線が9回裏に二死ながら一・二塁とチャンスをつくり、坂本勇人が起死回生の同点打。試合は延長戦へともつれ込んだ。


 両軍のリリーフが奮闘を見せ、同点のまま迎えた11回裏。江尻氏はこの攻撃について「チーム戦略や相手チームとの駆け引き、そして個人の力というのがすべて凝縮していたイニングだったと思います」と振り返る。

 前のイニングから登板したエドウィン・エスコバーに対し、先頭の重信慎之介が安打で出塁。打順はトップに返り、打席には投手の田口麗斗。当然ながら1点とれば試合終了という場面、代打の起用も考えられるところだが、指揮官は動かなかった。


 「後に振り返っていただいたんですが、監督は『次のイニングも田口投手で行かせたい』と思っていたと。そして、『投手が打席に立っているから、ギャンブル的なことはしてこないだろう』と相手に思わせ、そこを『狙っていた』のだとおっしゃっていましたね。ただ、田口選手もまさかそのまま行くとは思っていなかったみたいで、出されたサインに戸惑ったような表情を見せて、元木コーチに確認しに行ったりするんです。そんな姿も印象的でした」

 結果、犠打を警戒する相手の守備陣を突いて、一塁走者の重信が盗塁に成功。無死二塁、カウント2ボール・0ストライクとなったところで原監督が代打・石川慎吾をコールする。


 「石川選手いわく、『バントか、ヒッティングか。少し迷う気持ちがあった』とのこと。これを監督は察していて、『お前さんは考える必要ないよ。自分のバッティングを思い切ってやれ』とアドバイスしたそうです。『迷いは取り除いた状態で打席に立たせたかった』と。」

 途中出場、それも2ボール・0ストライクというカウントからの登場。相手は160キロに迫る剛球を投げ込んでくる左腕という難しい状況の中、石川は2ストライクと追い込まれても必死に食らいついていく。

 フルカウントまで粘った末、154キロの速球を思い切ってフルスイング。高々と舞い上がった打球は前進守備の外野の遥か頭上を超え、一瞬の静寂の後に右中間スタンドへと着弾。激闘に終止符を打つ、劇的な代打サヨナラ2ランとなった。


 「監督がシーズン当初から目指していた、『個人技だけでなく、チーム一丸となって戦っていくんだ』という部分。『ふたつがひとつになって、大きなパワーを生み出すんだ』というチーム作りが、結果に反映された試合だったなと。そういったところで特に印象的でした」 

 これぞ勝負師の勝負師たる所以──。3度目の監督就任にして、初年度にチームを頂点へと導いた原辰徳監督のすごさが詰まった一戦だった。


2019年8月24日(土) 巨人 - DeNA


▼ 東京ドーム
De|100 001 040 00 |6
巨|000 302 001 02x|8
勝:田口(巨)
負:エスコバー(De)
⇒ 詳細はコチラ


【スタメン】
・先攻:DeNA
(左)梶谷
(三)筒香
(一)ロペス
(右)ソト
(二)伊藤裕
(捕)戸柱
(中)神里
(投)石田
(遊)大和

・後攻:巨人
(右)亀井
(遊)坂本勇
(中)丸
(一)岡本
(左)ゲレーロ
(捕)大城
(三)若林
(二)山本
(投)髙橋

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