右足親指の負傷で5月18日から故障班に合流
目標とする6月中の開幕へ向け、各球団の練習ペースが上がっている。
リーグ連覇を狙う巨人も、これまでのジャイアンツ球場だけでなく東京ドームでの練習も開始。ユニフォーム姿での練習だったこともあり、主将の坂本勇人は「自然と前に、という気持ちが出てくる」とモチベーションの違いを口にした。
ただ、少し心配なニュースも入ってきた。丸佳浩が右足親指を負傷したことで、5月18日より故障班に合流。現時点における最短での開幕候補日となっている6月19日には間に合う見込みのようだが、実戦練習への參加は少し遅れることになりそうだ。
そんな丸は、2018年オフのFA宣言を経て広島から巨人へと移籍。移籍1年目となった昨シーズンは全143試合に出場。打率.292(535-156)、27本塁打という成績でチームを優勝に導いている。
もちろん今年も、坂本や岡本和真らとともに、原辰徳監督から打線の核となることが期待されている中心的存在だ。試合数減が確実な中で、仮に丸が出遅れて結果を残せないとなれば、チームにとって大きな痛手となる。しかし、丸、そして巨人にとって心強いジンクス?がある。
これまでに巨人へFAで移籍してきた野手、それも過去に打率3割、30本塁打を達成してきた「強打者」たちの移籍2年目の成績を見ると、全員が結果を残している。その実績を認められて移籍してきた選手たちなのだから、当然と言えば当然かもしれない。ただ、FA移籍の多くは複数年契約となる場合が多く、2年目以降の成績が落ち込む選手もいる。それでも、球史に名を残す強打者たちは、複数年連続で結果を残してきた。
小笠原道大、村田修一は移籍後に連覇へと導く
丸もまた広島時代に、「打率3割、30本塁打」を達成している選手だ。
調べてみると、丸以前に巨人へとFA移籍してきた選手のなかで、「打率3割、30本塁打」を達成したことのある打者は5人いた。落合博満、清原和博、江藤智、小笠原道大、村田修一という錚々たるメンバーだ。
その5人の成績を見ると、移籍1年目から2年目にかけて成績をハイレベルで維持、もしくは向上させていることがわかる。
FA制度が導入された初年度に中日からやってきた落合は、その年40歳だった。129試合に出場すると、打率.280(447-125)、15本塁打の結果を残し、前年の3位からチームを優勝に導いている。全盛期には及ばないものの、40歳という年齢を考えれば十分な成績だろう。さらに驚かされるのは翌年だ。41歳になった落合は打率を3割に乗せ、本塁打も2本増やした。
2007年にやってきた小笠原は2年連続で打率3割、30本塁打を記録。その打棒でチームを引っ張り、2連覇(後に3連覇)に導いた立役者のひとりとなっている。その他の清原や江藤、村田も、移籍2年目に初年度と同等以上の結果を残し、チームに貢献してきた。
また、丸を含めた6人のうち清原を除く5人が移籍1年目にチームを優勝に導いている。さらに、そのなかで小笠原と村田は移籍から連覇(いずれも後に3連覇)を達成。FA移籍が自身、そして、チームにとって実り多きものになったと見ることができる。
まずは故障を完全に治すことが優先されるが、「巨人に移籍してきた強打者の2年目は好成績」といういい流れもある。今年の活躍にも大いに期待したいところだ。
FAで巨人に移籍した打率3割・30本塁打の経験者
▼ 落合博満(中日⇒巨人)
94年:129試 打率.280(447-125)本15 打点68
95年:117試 打率.311(399-124)本17 打点65
▼ 清原和博(西武⇒巨人)
97年:130試 打率.249(462-115)本32 打点95
98年:116試 打率.268(384-103)本23 打点80
▼ 江藤智(広島⇒巨人)
00年:127試 打率.256(457-117)本32 打点91
01年:134試 打率.285(485-138)本30 打点87
▼ 小笠原道大(日本ハム⇒巨人)
07年:142試 打率.313(566-177)本31 打点88
08年:144試 打率.310(520-161)本36 打点96
▼ 村田修一(横浜⇒巨人)
12年:144試 打率.252(516-130)本12 打点58
13年:144試 打率.316(519-164)本25 打点87
▼ 丸佳浩(広島⇒巨人)
19年:143試 打率.292(535-156) 本27 打点89