球春は突然に──
「新型コロナウイルス」の問題により、シーズン開幕の見合わせ状態が続いているプロ野球界。依然として具体的な開幕日については公表されていないものの、トンネルの出口は着実に近づきつつある。
感染拡大のペースも徐々に緩やかとなり、緊急事態宣言の解除も全国的に進んでいるなか、日本プロ野球の各球団は22日の12球団代表者会議を経て、改めて「6月中旬以降の開幕を目指す」という指針を確認。NPBの斉藤惇コミッショナーも、具体的な日程については「緊急事態宣言の解除が最低限の条件」としつつ、「解除されれば、できるだけ早い段階でスケジュール等々を皆さま方にお知らせできるのではないかと思っております」と、今後の進展に期待を寄せた。
「6月中旬以降」という言葉を素直に信じるとすると、もうすでに開幕まで1カ月を切っている可能性もある。ふだんのカレンダーに置き換えれば、各球団が段々とキャンプ地から離れ、日本のいたるところでオープン戦が本格化してくる3月の頭くらいになるだろうか…。
いよいよ近づきつつある開幕の日に向けて、ここでは各球団の「開幕投手」に再び注目。監督が発表していた、もしくは開幕投手に内定したことが何らかの形で報じられた投手の“ここまで”を振り返ってみたい。
今回は、日本一3連覇を成し遂げたソフトバンクを取り上げる。
復活を期すかつての最多勝右腕
2年続けてリーグ優勝こそ逃しながらも、短期決戦では圧巻の強さを見せて3年連続で日本一に輝いているソフトバンク。リーグ奪還と日本一防衛を目指すチームだが、この春は離脱者が続出。エースの千賀滉大も故障に見舞われたことで、開幕投手争いも混迷を極めていた中、大役に指名されたのがプロ8年目の東浜巨だった。
2017年には16勝を挙げて最多勝のタイトルを獲得している実力者。しかし、2018年に右肩のコンディション不良でシーズン中の離脱を強いられると、昨季は開幕から不安定な姿を露呈して5月下旬に登録抹消。当初の発表では股関節の故障だったが、6月には右肘の手術を受けて長期離脱。そのままシーズンを終える形となっている。
故障明けとなるこの春はオープン戦でも4試合に登板。3月7日のDeNA戦では5回2/3を投げて1失点と上々の投球を見せたが、本来の開幕1週前に行われた3月13日の広島戦では3回を投げて5失点と不安を露呈。そこから開幕が延期となり、悶々とした日々が続いていることだろう。
手術を乗り越えて、輝きを取り戻すことができるのか…。東浜の復活は、日本一4連覇を目指すチームにとっても大きなプラスになるだけに、やはり"その最初の登板"にはどうしても注目が集まる。
また、開幕が延期になったことによって、当初は開幕絶望と言われた千賀や高橋礼といったところが「間に合うかもしれない」という報道も出てきた。しかし、東浜にとっては一度掴んだ大役の座。そう易々と受け渡すつもりなどないだろう。
まだいつになるかは分からない開幕の日、ソフトバンクのユニフォームを着てマウンド上に立っているのは「16」か、それとも…?今後の動向から目が離せない。
▼ ソフトバンク・ここ10シーズンの開幕投手
2010年(○)杉内俊哉[27試 16勝 7敗 防3.55]
2011年(-)和田 毅[26試 16勝 5敗 防1.51]
2012年(○)攝津 正[27試 17勝 5敗 防1.91]
2013年(○)攝津 正[25試 15勝 8敗 防3.05]
2014年(○)攝津 正[22試 10勝 8敗 防3.90]
2015年(●)攝津 正[20試 10勝 7敗 防3.22]
2016年(●)攝津 正[ 7試 2勝 2敗 防5.59]
2017年(○)和田 毅[ 8試 4勝 0敗 防2.49]
2018年(-)千賀滉大[22試 13勝 7敗 防3.51]
2019年(-)千賀滉大[26試 13勝 8敗 防2.79]
2020年(予想)東浜 巨【初】
東浜 巨
ポジション:投手
投打:右投右打
身長/体重:183センチ/78キロ
生年月日:1990年6月20日
経歴:沖縄尚学高-亜大-ソフトバンク
[昨季成績] 7試(35.1回) 2勝2敗 奪三26 防6.37
[通算成績] 89試(525.1回) 40勝23敗 奪三426 防3.32