球春は突然に──
「新型コロナウイルス」の問題により、シーズン開幕の見合わせ状態が続いているプロ野球界。依然として具体的な開幕日については公表されていないものの、トンネルの出口は着実に近づきつつある。
感染拡大のペースも徐々に緩やかとなり、緊急事態宣言の解除も全国的に進んでいるなか、日本プロ野球の各球団は22日の12球団代表者会議を経て、改めて「6月中旬以降の開幕を目指す」という指針を確認。NPBの斉藤惇コミッショナーも、具体的な日程については「緊急事態宣言の解除が最低限の条件」としつつ、「解除されれば、できるだけ早い段階でスケジュール等々を皆さま方にお知らせできるのではないかと思っております」と、今後の進展に期待を寄せた。
「6月中旬以降」という言葉を素直に信じるとすると、もうすでに開幕まで1カ月を切っている可能性もある。ふだんのカレンダーに置き換えれば、各球団が段々とキャンプ地から離れ、日本のいたるところでオープン戦が本格化してくる3月の頭くらいになるだろうか…。
いよいよ近づきつつある開幕の日に向けて、ここでは各球団の「開幕投手」に再び注目。監督が発表していた、もしくは開幕投手に内定したことが何らかの形で報じられた投手の“ここまで”を振り返ってみたい。
今回は、昨季セ・リーグ最下位に沈んだヤクルトを取り上げる。
高津監督「石川に託したい」
前年の2位から一転、セ・リーグ最下位に終わった昨季のヤクルト。オフには高津臣吾新監督を迎え、逆襲を期す戦いの第一歩を任されるのが、今年1月に40歳を迎えた石川雅規である。
秋田商高から青山学院大を経て、2001年の自由枠でヤクルトに入団。以来、ツバメ一筋で走り続け、今年で19年目を迎える。
規定投球回は2015年を最後に遠ざかっているものの、昨季も23試合に先発してチームトップの8勝(6敗)をマーク。まだまだ第一線で投手陣を牽引しており、今春のオープン戦でも3試合・12イニングを投げて防御率1.50と好投。自身9度目となる大役を掴み取った。
開幕は一旦延期となったものの、高津監督は23日にラジオ番組『ニッポン放送ショウアップナイタースペシャル』に電話出演すると、ファンから開幕投手について聞かれた際に「石川」と明言。「僕の1試合目のゲームを彼に託したいなと思っています」と、かつてともに戦った左腕に託すことを改めて表明している。
新指揮官の想いも背に、マウンドで躍動する左腕の姿が見られる日はいつになるのか。今から開幕が楽しみだ。
▼ ヤクルト・ここ10シーズンの開幕投手
2010年(●)石川雅規[28試 13勝 8敗 防3.53]
2011年(●)石川雅規[27試 10勝 9敗 防2.73]
2012年(○)石川雅規[27試 8勝11敗 防3.60]
2013年(●)館山昌平[ 2試 0勝 0敗 防3.24]
2014年(○)小川泰弘[17試 9勝 6敗 防3.66]
2015年(-)小川泰弘[27試 11勝 8敗 防3.11]
2016年(●)小川泰弘[25試 8勝 9敗 防4.50]
2017年(○)石川雅規[23試 4勝14敗 防5.11]
2018年(○)ブキャナン[28試 10勝11敗 防4.03]
2019年(-)小川泰弘[26試 5勝12敗 防4.57]
2020年(予想)石川雅規【3年ぶり9度目】
石川雅規
ポジション:投手
投打:左投左打
身長/体重:167センチ/73キロ
生年月日:1980年1月22日
経歴:秋田商高(甲)-青学大-ヤクルト
[昨季成績] 23試(124.1回) 8勝6敗 奪三88 防3.84
[通算成績] 472試(2794.2回) 171勝163敗 奪三1612 防3.87