練習試合で打率5割超え!
6月2日からプロ野球の練習試合が再開。スタジアムに球音が戻った。依然として無観客での開催ではあるものの、テレビやネット配信で野球観戦できるよろこびを、すべてのファンが実感していることだろう。
ソフトバンクでは、レギュラーを狙う若武者が気を吐いている。プロ6年目・23歳の栗原陵矢だ。
練習試合では4試合連続でスタメン出場すると、ここまで打率.533(15-8)、1本塁打に4打点と大暴れ。特に4日のオリックス戦で放った本塁打は、京セラドーム大阪の5階席に飛び込む特大の一発だった。
それだけではない。これまでに捕手に一塁、右翼と3つのポジションに就いており、どこでも守れるユーティリティーぶりも発揮している。
しかしながら、日本一4連覇を目指すチームでレギュラーを奪うというのは簡単なことではない。これだけ打撃で結果を残して複数の守備についていても、レギュラー当確ランプはまだまだ灯らない。
2014年ドラフト組から初の一軍戦力へ
現時点の野手陣を見渡すと、栗原がレギュラーを争うことのできるポジションは、練習試合でも出場した捕手か一塁、外野の右翼か左翼と、指名打者の5つのポジションになるだろう。
指名打者の最有力であるアルフレド・デスパイネと、指名打者だけでなく左翼や一塁での起用が濃厚なジュリスベル・グラシアルが、新型コロナウイルスの影響でキューバから出国できずに開幕には間に合わないという。これはチームとしては痛手ではあるが、チャンスがほしい栗原にとっては追い風だ。
その5つのポジションのなかでも、捕手の甲斐拓也と左翼のバレンティンはレギュラーが確定。右翼も昨シーズン不振だった上林誠知が復調気味とあり、レギュラー候補筆頭なっている。現実的に争うことができるのは、一塁と指名打者だろう。
そう考えると、ベテランの内川聖一や長谷川勇也に明石健志、さらにはこの春に支配下登録を勝ち取ったリチャードらが当面のライバルとなる。
工藤公康監督も、栗原に関しては「見事でしたね」と語っているが、レギュラーを明言まではしていない。器用な選手だからこそ、ベンチスタートということも十分に考えられるだろう。終盤に捕手への代打として出場し、そのまま守備につくという起用法も魅力的に見える。
そんなことも含め、開幕までの時間でさまざまなシミュレーションを行っていくことだろう。
また、栗原は2014年のドラフト2位で入団しているが、育成ドラフトを含む同期メンバーにおいて、一軍で実績を残した選手は現時点でひとりもいない。
ドラフト1位で入団した松本裕樹も、故障にも苦しめられてここまでわずか4勝どまり。栗原には、2014年ドラフト組からの初の一軍戦力となることにも期待がかかっている。
6月19日まで、時間は限られている。栗原は残りの練習試合でも結果を残し、開幕一軍、そしてレギュラーを掴むことができるだろうか。
▼ 栗原陵矢・プロフィール
ポジション:捕手
投打:右投左打
身長/体重:179センチ/75キロ
生年月日:1996年7月4日
経歴:春江工高-ソフトバンク(14年・D2)
[昨季成績] 32試 率.231(39-9) 本1 点7
[通算成績] 46試 率.196(51-10) 本1 点7