守備の乱れキッカケに豹変…
西武の髙橋光成投手(23)は9日、本拠地・メットライフドームで行われている楽天との練習試合に先発登板。序盤の3イニングは好投を見せるも、4回に崩れて5失点。開幕に向けて不安を残す結果に終わった。
1週間前の6月2日、巨人との練習試合では5回を投げて7失点。ボール自体に力はありながらも、勝負球の精度がいまひとつで苦しい投球になった前回登板を経て、「自分のボールを投げきること。これに尽きる」と、決意を胸にマウンドに向かった。
初回から最速150キロを計測するなど、この日も状態は上々。立ち上がりは楽天の上位打線をわずか8球で内野ゴロ3つに斬り、5分かからずに3つのアウトを奪う最高のスタートを切る。
味方の長い攻撃を挟んで迎えた2回は、先頭の浅村栄斗に四球を与えてしまうものの、つづくジャバリ・ブラッシュには粘られながらも根負けすることなく、11球目の147キロを振らせて空振りの三振。銀次は低めの変化球で打ち取り、4-6-3のダブルプレー。走者を背負っても、そこから崩れることなくアウトを重ねていった。
3回もステフェン・ロメロを変化球で三振、辰己涼介もスライダーを打たせて一ゴロ、太田光は149キロで二ゴロに斬り、3イニングを打者9人で無失点に抑える快投。しかし、2巡目に入った4回に苦境が待っていた。
先頭の茂木栄五郎に粘られた末に安打を許すと、続く鈴木大地にも外のまっすぐをレフトへ弾き返され、連打で無死一・二塁のピンチ。はじめて得点圏に走者を背負う。
打順はここからクリーンナップへ。島内宏明は一ゴロの併殺崩れで一死一・三塁も、浅村の三ゴロは三塁手の中村剛也が一塁悪送球。この間に走者が還ってなおも一死二・三塁となると、ブラッシュにはレフト前に運ばれてもう1点。さらに一・三塁から銀次はボテボテの内野ゴロに打ち取ったが、この間に三塁走者が還って3点目が入ると、二死二塁からロメロには甘く入ったスライダーを完ぺきに捕らえられ、レフトスタンドに叩き込まれる2ラン。一気の5失点で大逆転を許してしまった。
それでも、続投した5回は太田を低めの148キロで二ゴロに斬り、前の回に逆転の口火を切られた茂木・鈴木も連続で内野ゴロに打ち取って三者凡退。
この日は5回を投げて93球、打者20人に対して被安打5、うち本塁打が1本。与四球はひとつで2奪三振の5失点。この日もボールそのものに力はあり、終わってみれば“魔の4回”だけ。一方で、劣勢の場面で踏ん張って崩れない、という部分をアピールすることができなかったという点では、不安を残す内容だったと言える。
昨季は自身初の2ケタ勝利、今年は投手陣の新たな柱としての活躍に期待がかかる背番号13。ここまでの登板順を考えても、火曜日=6連戦の頭を任される可能性が高いだけに、右腕のはたらきがチームに与える影響は大きい。
練習試合で首脳陣を安心させる姿は見せられていないが、それでも開幕は着実に近づいて来ている。なんとか立て直し、良い形で“本番”を迎えることができるだろうか。
▼ 髙橋光成・プロフィール
ポジション:投手
投打:右投右打
身長/体重:190センチ/105キロ
生年月日:1997年2月3日
経歴:前橋育英高-西武(14年・D1)
[昨季成績] 21試(123.2回) 10勝6敗 防4.51
[通算成績] 61試(345.0回) 24勝24敗 防4.25
文=尾崎直也