ブセニッツ、シャギワ、宋の強力助っ投
新型コロナウイルスの影響で延期が続いていたプロ野球が6月19日、予定の3ヵ月遅れで開幕した。交流戦は中止となり、計120試合の短縮シーズン。延長は10回まで、出場選手登録は29人から31人(ベンチ入りは25人から26人)に拡大されるなど、例年とは異なる特別ルールが多く採用されている。
出場選手登録が増えたことにより、外国人登録も例年の4枠から5枠に拡大。ただし、試合出場前提のベンチ入り登録の上限は4人のままだ。また、一軍登録の段階で「投手4、野手1」「野手4、投手1」の割合を認めるとした一方、「4:1」の内訳を選択したチームは、以降5人登録の際に「投手3:野手2」「投手2:野手3」の組み合わせ変更は認めないとした。
開幕カードの段階で「4:1」を選択したチームはなく、阪神とロッテは「投手3、野手2」のバランス。DeNAは「投手2、野手3」でスタートした。
オリックスとの開幕カードを2勝1敗で勝ち越した楽天は「投手2:野手2」で開幕。救援投手のアラン・ブセニッツとJ.T.シャギワ、野手のジャバリ・ブラッシュ、ステンファン・ロメロの4人体制だったが、開幕2戦目前に救援投手の宋家豪を加え5人体制になった。
上述の通り試合では4人にしか使えないため、野手2人は固定しつつ第2戦は開幕戦に救援登板したシャギワがベンチ外。その第2戦は宋とブセニッツの無失点リリーフもあり、延長10回までもつれた接戦を2-1で制した。第3戦は宋をベンチ外とし、シャギワを再び登録。この試合は0-4で敗れ助っ人2投手の出番はなかったが、こまめな入れ替えが印象的だった。
【楽天:開幕カードでの外国人登録】◎=ベンチ登録
第1戦:◎ブセニッツ、◎シャギワ、◎ブラッシュ、◎ロメロ
第2戦:◎ブセニッツ、シャギワ、◎宋、◎ブラッシュ、◎ロメロ
第3戦:◎ブセニッツ、◎シャギワ、宋、◎ブラッシュ、◎ロメロ
一軍の出場選手登録(最大31人)は一度外れると規定(特例あり)で10日間を経過しなければ再登録できないが、ベンチ登録(最大26人)は1試合ごとに入れ替えが可能。よって、連投で消耗した救援投手を先発ローテーション投手のように「あがり」で一旦ベンチ登録から外し、他の選手と入れ替えながら、救援投手もローテーションで回していくことが可能になる。特にブセニッツ、シャギワ、宋と、いずれも勝ちパターンで使えそうな良質な助っ人救援を有する楽天にはより有効な手段。開幕カードでの試運転でその片鱗が垣間見えた。
メジャー帰りの牧田、新人・津留崎にも期待
ブセニッツ:54試合、4勝3敗28ホールド、防御率1.94
ハーマン:50試合、5勝3敗21ホールド、防御率3.04
宋家豪:48試合、3勝2敗24ホールド、防御率2.18
上記は2019年(143試合)の楽天助っ人投手の成績だ。フランク・ハーマンは過去2年からやや成績を落としたものの、加入1年目のブセニッツが勝ちパターンに定着。宋は限られた出番の中しっかりと結果を残し、クライマックスシリーズでも活躍した。2017年から3シーズン在籍したハーマンがオフにロッテへ移籍。代わりにメジャー通算85試合登板のシャギワを補強した。
宋の存在感が年々増し、2年目を迎えるブセニッツも順調。春季キャンプでシャギワを視察し「今年は外国人をどう回すのか…」と思っていたところ、コロナの影響で外国人登録枠が「5」に拡大。ブセニッツ、シャギワ、宋、良質なリリーバー3人をフル稼働できる点は大きなメリットだろう。
今季の楽天は、通算139セーブの松井裕樹を先発へ再転向させ、新たな守護神に4年目の森原康平を据える方針。ブルペン陣は森原や助っ人3人衆以外にも、メジャー帰りの牧田和久、ドラフト3位の津留崎大成など楽しみな陣容が揃う。オリックスとの開幕3連戦では、2戦目に森原が苦しみながらも勝利投手となり、牧田は2試合に投げ連続無失点。津留崎も無失点デビューを飾るなど、計3試合で楽天リリーフ陣が喫した失点は「0」だった。
そして23日から始まる、今季特有の同一カード6連戦。互いに相手の状況を把握しやすからこそ、目先を変える意味でも救援投手のローテーション運用がより有効だと考えられる。