好投の小川「監督を勝たせたい」
ヤクルトは20日、神宮球場で行われた中日戦に6-2で勝利。先発したヤクルトの小川泰弘は6回6安打2失点で今季1勝目。高津臣吾監督に一軍監督初勝利をプレゼントした。
昨季は自己最少の5勝に終わった小川。「去年の悔しさがとても強いので、それを胸にしっかりマウンドに立って攻め込んでいきたい」と臨んだ今季初マウンド。「攻める気持ちを常に持って投げられた。ストレートをしっかりコーナーで使えることができた」と、冷静に自身の投球を振り返った。
勝利が決まると、高津監督にウイニングボールを手渡し「監督を勝たせたいという気持ちが強い。ウイニングボールを自ら渡せて嬉しかった」と満足感を口にした。
高津監督も、今季復活を懸けるエースに「去年苦しんで、彼はいま再生中だと僕は思っている。今年はいい年になると暗示をかけたりもしました」と話し、「粘ったピッチング。いいピッチングだったと思います」と、素直に好投を称えた。
すべての総合的な結果が今日の勝利
ヤクルトは19日の開幕戦でリリーフが打たれ、悔しい敗戦を喫した。それでも指揮官は「清水は非常に状態がいいので、1イニングをしっかり抑えてくれると思った」と、7回から2年目の18年ドラ1右腕をマウンドへ送り込んだ。清水は二死二、三塁のピンチを背負うが、平田を三ゴロに抑えて期待に応えると、8回にはマクガフ、9回は守護神・石山を投入して逃げ切りに成功した。
前日失点した長谷川や梅野を登板させなかったが「彼らにはしっかりリリーフとしての勉強をしてもらいたい」と話し、今後の成長を期待している。
打線も好調で、高津監督が今季2番に据える山田哲人は2試合連続のアーチ。頼れる主砲の連発に「チームに勢いをつけてくれた」と称賛した。さらに、若き4番・村上宗隆、5番・塩見泰隆にも今季初アーチが飛び出した。
かつてヤクルト黄金期を支えたクローザーは、何度も勝利の瞬間をマウンドで味わった。この日、一軍監督として初めて勝利し、選手たちを出迎えたことに「嬉しかった。選手が一生懸命がんばってくれて、サポートする我々も一生懸命サポートして、すべての総合的な結果が今日の勝利だと思っている。これからも全力で戦っていきたい」と、言葉に力を込めた。
今年2月のキャンプ中には、恩師である野村克也氏が亡くなった。突然の訃報に「必ずどこかで見てくれているので、恥ずかしくない野球をしたいなと思う」と決意し、今季に臨んだ。
開幕が約3カ月遅れ、特別なシーズンとなったが、天国の野村氏には「一つ勝てたことは報告したい。野村野球をしっかり継承して、ヤクルトスワローズのいい野球を2020年の1ページにしたい」と誓った。
投打がかみ合いつかんだ今季初勝利。これをきっかけに、本拠地で「連勝街道」を突っ走りたい。
取材・文=別府勉(べっぷ・つとむ)