2020年のパ・リーグを大展望!
6月19日(金)、プロ野球の2020年シーズンが開幕した。
当初の予定から遅れること約3カ月、長いプロ野球の歴史のなかでもまったく前例のない戦いがスタート。いまだ球場にファンの姿はなく、完全な野球の風景を取り戻すまでには至っていないものの、ようやくプロ野球のある日々が帰ってきた。
今回はそんな特別なシーズンを皆で楽しむべく、「まだ間に合う!2020年の注目ポイントを総まとめ」と題し、各チームの注目ポイントを改めておさらい。
前回のセ・リーグ編につづいて、今回はパ・リーグ編。プロ野球OBで解説者の里崎智也さんと、野球好き歌手としておなじみの河野万里奈さんに、パ・リーグ各球団の今季展望や、注目選手について語ってもらった。
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取材=尾崎直也
撮影=兼子愼一郎
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6連戦は「火・水に重きを置くべし」!
―― 120試合という短縮シーズンで、交流戦とオールスター戦がなくなりました。この影響はどうですか?
里崎:正直、あまり関係ないですよ。143試合あっても、だいたい120試合くらいで優勝するチームって決まってくるじゃないですか。稀に最終盤まで競ることもありますけど、残りの23試合の注目と言えばクライマックスシリーズ出場圏の争いですよね。だからそう大きく変わらないだろうなと。
―― 日程の節目がなくなったり、途中で休みの期間がないという影響はないんでしょうか?
里崎:これは考え方の違いで、ギュッとまとめてすぐ終わるのか、休みを挟みながら長くするか。各々どっちが良いのか、ですよ。6連戦はこれまでにも普通にあったことですからね。同一チームと6連戦は初めてですけど、移動がないという利点もある。連戦の何がきついって移動なんですよね。移動を挟んでのデーゲームとかは本当に地獄でしたよ。
河野:同じ相手との対戦が続くというのは嫌なものですか?
里崎:相手にもよるでしょうけどね。火曜日・水曜日がこれまで以上に大事になってくるとは思います。相手は変わらないし球場も変わらないので、流れを引き戻すのが難しい。3試合でカードが切り替わるときは、3連敗したけどホームに戻るし切り替えていこうや!ってなれたんですけど、それがないのはすごく難しい。同一カード6連敗なんかした日にはね…。
河野:借金6…。
里崎:最低でも週に3つは勝ちたいので、その点でも火水木で2勝1敗、あとは週末に1回勝てばいいや、くらいの精神状態に持ってきておきたいですよね。自分ならそう考えます。
―― ただ、開幕が金曜日だったことで、エースはほぼほぼ金曜の担当になりますね。
里崎:なので、僕だったらエースを金曜日には投げさせなかったですよ。開幕カードの3連戦は1勝2敗でも上等。だって、それ以降はずっと6連戦が続いていくんですから。しかも、エース級が金曜日に集中するなら、なおさら火曜日にエースを投入すると勝つ確率も上がりますよね。序盤で優勢を作れれば、いざ金曜日に相手のエースが登場するときも、相手は「エースでは絶対に落とせない」という状況。こっちは逆に「相手はエースだから」と割り切って大胆な仕掛けもできる。こういう部分から、付け入るスキも出てくるわけです。
パ・リーグ各球団の注目ポイントは?
▼ 埼玉西武ライオンズ
―― パ・リーグも王者の西武からまいりましょうか。
里崎:メジャーに行った秋山翔吾の代わり、そう思って獲ったコーリー・スパンジェンバーグがどれだけ活躍できるか。練習試合はド派手でしたけど、シーズンに入ってから変化球にまったくあってませんでしたからね。1番に入っていますが、金子侑司を1番に戻すとかも含めて、打線のカギを握ると思いますね。
―― 課題は、やはり投手力でしょうか。
里崎:2年連続で防御率最下位ですからね…。そこを改善できるのか、というのは大きいですよね。
―― 髙橋光成投手や今井達也投手など、楽しみな若い力が出てきてはいるのですが…という。
里崎:まぁ、出てこざるを得ないですよね。頼れるベテランがいるチームでもないので。
―― 河野さんの注目している選手は?
河野:一番驚いたのが、昨年あれだけ投げた(シーズン81試合登板)平井さんが、ふつうに開幕戦で投げていたことですね。すごいなぁと思いつつ、心配でもあるのですが…。
里崎:藤川球児(阪神)も、80はなくとも毎年投げ続けていてあれだけ元気だからね。久保田智之は90試合投げた(笑)
河野:もはや伝説…(笑)
▼ 福岡ソフトバンクホークス
―― ソフトバンクは、今年こそ優勝を…と言われています。
里崎:ただ、絶対にケガ人が出ますからね。ここ数年、毎年だれかがケガをして、優勝を逃してきた。今年こそケガはないぞ!ということは考えられない。仮にケガ人なくシーズンを戦えたら、143試合やったら100勝するんじゃないですかね。
―― それでも2位は確保する、というのはやはり選手層の厚さでしょうか。
里崎:とはいえ、今年はキューバ勢(アルフレド・デスパイネ、ジュリスベル・グラシアル)が来日できてないですからね。日本に来れたとしても、どのくらい練習ができているのか、状態は不明。そうなると、ウラディミール・バレンティンがいると言えど不安にはなりますね。千賀滉大だって二軍にいますし、高橋礼もケガ明けの状態。そう考えると、絶対的な強さを感じないんですよね。
河野:みんなが揃った時の強さはもう…凄まじいんですけどね…。
里崎:そうそう。チームっていうのは揃ってなんぼ。ここ2年は「CSから全員集合!」で、そこから無双(笑)揃ってなくても2位はすごい。ただ、誰かが欠けたら2位。それがソフトバンク。
―― 河野さんが今年注目しているソフトバンクの選手は?
河野:それこそ、去年はケガに苦しんだ上林誠知選手の復活に期待しています!
―― シーズンが短くなる、というのがどう転ぶかも注目ですよね。
里崎:キューバ勢もそうですし、二軍で調整中の千賀も、一体いつ戻れるか。「あいつが帰ってきたら…」と耐えしのいでいる間にシーズンが終わっちゃう可能性もあるわけですよ。ただ、逆も然りでケガ人が出る前に終われるかもしれないということも。とにかく、選手の出入りが注目なのは間違いないです。
▼ 東北楽天ゴールデンイーグルス
―― 続いては楽天です。里崎さんは優勝予想なんですよね?
里崎:前の話のつづきみたいになりますけど、ソフトバンクにはケガ人が出るという想定で2位の評価。そこで浮上するところと考えると…楽天は3位だったのに監督を代えた、補強もしたと。オフの動きを見ていたら、もう昨年以上しか許されない。三木肇新監督も、石井一久GMも、全員が勝負の年として挑んでくる。2位以上じゃないと許されない、ソフトバンクが2位。では、1位に、という。
―― 河野さんの注目している選手は?
河野:去年から続いて、辰己涼介選手ですかね。2年目の前進に期待したいなと。あとは、ルーキーで津留﨑大成投手のピッチングが印象に残っていて、開幕一軍にも入ったので楽しみです!
―― 辰己選手はオフのテレビ出演などでも、そのキャラクターが話題になりましたね。
河野:つかみどころがないというか、何と言うか…(笑)ただならぬオーラがあると思うので、飛躍した時にどんな選手になるのか、本当に楽しみで。
―― 里崎さんは、今年の大きく変わったチームの中で注目している選手と言うと…?
里崎:松井裕樹の先発転向じゃないですかね。松井が10勝できれば、もう優勝は間違いないと思います。この転向がハマるかどうか。1年間ローテーションを守るというのは大変なことなので、乗り切れるかどうか。
―― 春先は苦しい姿も見せましたが、公式戦初登板ではなんとかまとめたところも?
里崎:でも、5回投げ切れてなかったですよね?(※4回で降板)それでは結局、中継ぎに負担がかかっていくので、なんとか6回くらいは安定して投げられるようにしていかないと、というところです。
▼ 千葉ロッテマリーンズ
―― 続いてロッテです。オフは大きな話題を集めたチームですが、里崎さん、今年の古巣はどうでしょうか。
里崎:新戦力の活躍次第ですね。と、思ったら一人…。
河野:早くも…(泣)
里崎:飛びぬけた強さというのがないんですよね。新加入の福田秀平も、1年間レギュラーを張った経験はない。美馬学も、2ケタを勝ったのは1度だけなんです。絶対的な存在としての信頼はできない。あとは、ロッテに来たことでどう変わるか、というところ。プラスアルファという点では、 種市篤暉や二木康太といった若い投手もいますが、逆に言えばここから2ケタ勝つような投手が出てこないようでは、Aクラスは難しいでしょうね。
―― 河野さんの注目選手と言えば、聞くまでもな…
(※河野さんは鳥谷敬選手に「様」をつけて呼ぶほど崇拝している)
河野:いや!私も今更、鳥谷様には注目していないんです。1打席・1打席の結果に一喜一憂するような、そんなことではないんですよ。ええ。すべてが終わった後に話そう、という感じです。とにかく、今年もユニフォームを着て、プレーされる姿が見られるのが楽しみということです。はい。
―― た、大変失礼しました。では、気を取り直して、今季注目している選手を挙げると…?
河野:二遊間コンビの2人、中村奨吾選手と藤岡裕大選手が、経験も重ねてこれから名コンビとして躍動してくれるのではないかと注目しています。あと、投手では東妻勇輔投手の速球がとても印象に残っているので、見られることを楽しみにしています。
―― 鳥谷選手の加入について、里崎さんはどうですか?
里崎:チームが何を期待しているのか、ですよね。周囲への影響という部分は少なからずあるのかもしれないですけど、直接若手に教えるだとか、そこまでの余裕はないと思いますよ。もう1年、1年が勝負なので。いかに存在感を発揮できるか、そこにかけていると思います。
▼ 北海道日本ハムファイターズ
―― 続いて、日本ハムです。栗山監督9年目、今年は結果が求められます。
里崎:毎年求められますけどね。長くやれば、それだけ。若手の台頭がちょっと乏しくなってきたかなというところに、チームの苦しさを感じています。開幕3連戦を見ても、なんとか継投で…というのは昨年から変わっていないので、ちょっと推しづらいかなという。
―― たしかに、野手の方も最近は絶対的な存在が増えた一方、若手の突き上げと言うと…。
里崎:やっぱり、三遊間に薄さは感じます。開幕から好調な中田翔をはじめ、西川遥輝、大田泰示、近藤健介といったところが活躍するしかない。ケガなんかがあった時には、もう…ね。上位と下位で打線の厚みがだいぶ違ってくるので、クリスチャン・ビヤヌエバの出遅れも痛いですね。
―― 河野さんはどの選手に注目していますか?
河野:渡邉諒選手と王柏融選手がすごく好きで!ロンロン(王柏融選手の愛称)は小笠原道大コーチと二人三脚で練習に取り組んできているということで、すごく楽しみもありつつ、本領発揮は来年以降なのかな、とも。渡邉諒選手は昨年ブレイクして、今年はさらなる前進に期待です。里崎さんがおっしゃる「中田選手以降の打順」に厚みを加えてくれるのではないかと!
―― 今年はドラフトでも…
河野:はい!ドラ1の河野投手は、河野界の代表ということで“河野代表”と呼んでいるんですけど、ぜひともローテーションの一角として活躍してほしいです!
―― やっぱり、一巡目は佐々木朗希投手に行きましたけど、再入札で社会人の河野投手に行ったのは、先発陣の枚数を補填したいという部分ですかね。
里崎:そこでしょうね。有原航平が完投しても、5試合で中継ぎフル稼働となったら持たないですよ。誰かが故障で離脱、なんてことになったら本当に悪循環なので、河野がしっかりと1年目から働いてくれると心強いですよね。
▼ オリックス・バファローズ
―― 最後はオリックスです。投手陣からは2人のタイトルホルダーが出ましたが、やはり課題は打線ですか?
里崎:選手個々のポテンシャルはあるんですけど、組織として戦えていないんじゃないか、というのを少し感じます。接戦に弱いですよね。山本由伸が防御率1点台で8勝6敗でしょ?ちょっと考えられない…。
―― 河野さんが注目している選手というと?
河野:中川圭太選手が、今年まだ2年目ですけど、もうベテランの雰囲気が漂っていますよね。今年も期待をしているんですけど、開幕から守備が三塁だったり、一塁だったり、ちょっと忙しそうでしたね。決定的なエラーもあったり、少し心配になる部分もありましたが、ここからの巻き返しに期待しています。
―― 去年から吉田正尚選手の孤軍奮闘的なところがありましたし、中川選手はもちろん、新戦力の活躍も不可欠ですね。
里崎:アダム・ジョーンズに、アデルリン・ロドリゲスですか。あとはT-岡田の復活というところも。
―― 里崎さんの言う「火・水が大事」理論で気になるのが、山本由伸投手を日曜日に持ってきたんですよね。
里崎:まぁチームの方針なので、なんとも言えないんですけど、僕の考え的にはちょっと…ね。なので、Bクラスの予想になっているという部分もあります。
パ・リーグの順位予想は…?
―― では、最後に里崎さんの“順位予想”を教えてください。
1位 楽天
2位 ソフトバンク
3位 西武
4位 ロッテ
5位 オリックス
6位 日本ハム
河野:去年のAクラス・Bクラスは変わらず、その中で入れ替わりがある感じですね。
里崎:パ・リーグもソフトバンクを絶対視していないので、やはりあとは好み的な部分にもなってきますよね。
プロ野球も「DAZN for docomo」で!
―― これまで当たり前だった野球観戦ができなくなるわけですが、影響は大きいですよね。
河野:そうですね…。週に2回くらいは球場に足を運んでいたので、週2の予定がなくなっちゃうと、本当に何もすることがないんですよ(笑)試合がようやくはじまって、それこそDAZNさんでずっと見ています。配信があるのは本当にありがたいこと。
―― 「おうち観戦」でこれはあったらいいな、というものはありますか?
河野:球場に行けなくなって気が付いたのが、自分の目線で見られないということですかね。例えば、三塁守備をする中川圭太選手を舐めるように見たいと思っても、三塁だけ映しているカメラとかってないじゃないですか。その面で飢えたりはしていますね。
―― 中継も進化してまして、今は球場にいる気分で360度好きなところが見れたりする技術なんかもあるようですよ。
河野:本当ですか!これはずっと切に願っていたんですよね。この情勢になる前から。
―― そういった細かいポイントは野球ファンじゃないと気が付かないですし、何でも言っていった方がいいと思いますよ!
河野:たしかに、今ってワガママを言うチャンスかもしれませんよね。あれも欲しい、これも欲しい、って。いくらでもアイディアは湧くので、実現お願いします!
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▼ あとがき...
「新型コロナウイルス」の影響により、予定より3カ月も遅れてスタートしたプロ野球の2020年シーズン。
ルールの変更に強行日程、なにより無観客での開催と、これまでにない“異例の事態”の連続に加え、先行きの見えない情勢から、野球を心から楽しむ余裕があるだろうか…という不安を持っていた方も、少なくないのではないでしょうか。
それでも、多くの人々の奮闘の甲斐あって“プロ野球のある日常”が戻り、選手たちの奮闘によって一喜一憂できる日々が戻ってきました。これまで当たり前だったことがどれだけ幸せだったのか、そのありがたみを改めて噛み締めているのは、私だけではないはずです。
これから11月の頭まで、ノンストップで続いていく、長くて短いペナントレース。きっと選手たちも、野球ができる喜びを感じながら、これまでと違った特別な想いを胸に、最後まで全力で戦う姿を私たちに届けてくれることと思います。
今からでも遅くはありません。そんな選手たちの奮闘を、この目に焼き付けようではありませんか。今回、里崎さんと河野さんに挙げていただいたポイントを心に留めつつ、“特別なシーズン”をみんなで楽しみましょう!
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