6カードを終え首位巨人と1.5ゲーム差
セ・リーグは開幕から6カードが終了した。2連覇を狙う巨人が首位に立ってはいるものの、2位ヤクルトとのゲーム差は1.5ゲームしかない。そのヤクルトと3位のDeNAは、勝率でヤクルトが上回るだけで、ゲーム差はなし。上位3チームが1.5ゲーム差のなかにひしめき合っており、これから面白くなりそうな気配だ。
そんな上位3チームのなかで、もっとも奮闘しているのが、昨シーズン最下位に沈んだヤクルトか。オフシーズンにバレンティンがソフトバンクへと移籍し、打線の中軸がひとり抜けたわけだが、ここまでリーグ3位の80得点と打線に関しては十分に戦えそうだ。
山田哲人こそ本調子ではないものの、若き4番・村上宗隆は打率.328(61-20)、3本塁打、18打点と、打点はリーグトップ。1番を任されている坂口智隆が打率3割を超える活躍で完全復活し、昨シーズンは骨折などの故障でシーズンの大半を棒に振った西浦直亨もここまでリーグ3位タイとなる5本塁打を放ち打撃面で結果を残している。また、山崎晃大朗が打撃好調で、7月9日の中日戦では3番を任され3安打を放つなど、一皮剥けた印象だ。
一方の投手陣は、先発陣よりも中継ぎ陣が頑張っている。なかでも勝ちパターンで考えられていた投手たちよりも、中澤雅人、寺島成輝、清水昇の3人がしっかりと役割を果たし、試合をつくっている点は見逃せない。
寺島成輝、清水昇が無失点投球中
高津臣吾新監督は今シーズンの開幕前、守護神に「丁寧で冷静」という理由で石山泰稚を指名した。そして勝ちパターンには、マクガフ、梅野雄吾、新戦力の長谷川宙輝を起用することも明らかにしていた。
しかしながら、ここまでは石山、マクガフ、梅野と実績のある3人は不安定な投球内容が続いている。いずれも防御率は4点台を超えており、マクガフに至っては3試合連続で失点を喫し、防御率は7点台と打ち込まれている。この調子では、安心して僅差の試合終盤を任せられる状態とはいえない。守護神の石山も安定感がなく、苦しい投球が続く。
一方、寺島はここまで10.1回を投げ無失点。7月7日の中日戦でプロ初勝利、翌日にはプロ初ホールドを記録するなど結果もついてきている。清水は課題でもあったコントロールが改善され、9.1回を投げ無失点。10奪三振に対し与四球はわずかに1と内容もほぼ完璧だ。
中澤も、防御率こそ5.40だが、5試合の登板で失点したのはたったの1試合のみ。残りの4試合はいずれも無失点で切り抜けている。6月26日から巨人戦3連投をこなし、7月8日の中日戦では2回を封じ込んだ。
守護神の石山もピリッとせず、想定していた中継ぎの勝ちパターンが崩れても上位争いしているのは、寺島、清水、中澤、この3人の功績と言っても過言ではないだろう。
3人はヤクルトへドラフト1位で入団した選手たち。現在35歳の中澤は中継ぎとして現役生活をまっとうする可能性が高いが、寺島と清水はまだまだこれから。先発として期待されて入団してきただけに、今後、先発ローテーションに入ってくる可能性も十分にありそうだ。
これから連戦が続き、疲労も溜まっていくことだろう。新型コロナウイルスの影響で、今年は誰もが経験したことのない厳しいシーズンとなる。そこでこの3人がどんな結果を出していくのか――。ヤクルト浮上のキーマンにもなり得る、「ドラ1中継ぎトリオ」に注目していきたい。