7回2失点で2勝目
ロッテの種市篤暉は18日の日本ハム戦、7回を116球、3安打、3奪三振、2四球、2失点に抑え、今季2勝目を挙げた。
前回登板の西武戦で今季初勝利をマークした種市は、1点の先制点をもらった直後の1回裏、わずか9球で三者凡退に抑えた。ストレートでガンガン押す投球を目指す種市はこの日の初回、9球中8球をストレートと、まさにストレートでガンガン押した。
2回はそのストレートを捉えられ、横尾俊建に148キロのストレート、渡邉諒に147キロのストレートをレフトスタンドに運ばれた。
ここでガタッと崩れないのが種市。3回はこの回先頭の石川亮にレフト前に安打を許したが、続く西川遥輝を二併殺打。4回も先頭の近藤健介に四球を与えるも、中田翔を遊併殺打に打ち取った。
守備陣もリズムの良い投球を見せる種市を助けた。5回に渡邉が三遊間へ放ったゴロをショートの藤岡裕大が逆シングルでキャッチし、素早く一塁へ送球しアウトにした。7回にはライトのマーティンが、右中間の打球を好捕。
序盤はストレート中心に攻めていたが、中盤以降はフォーク、スライダーといった変化球をうまく織り交ぜ日本ハム打線を封じ込んだ。
試合を見ていて気になった点といえば、追い込んでから空振りを奪う場面が少なかったところか。5回に清宮と対戦した場面は、1ボール2ストライクと簡単に3球で追い込んだが、続く4球目の146キロのストレートがボールとなると、そこから7球粘られた末に遊ゴロだった。三振の数も前回登板は10奪三振だったが、この日は3奪三振だった。
ただ3回以降は、二塁を踏ませないほぼ完璧な投球内容。種市が投げれば、試合を作るという安定感、安心感があることは確かだ。
完投、完封に期待
種市は開幕から5試合連続でクオリティ・スタート(QS)をクリアし、公式戦では昨年の9月15日の西武戦から7試合連続でQSを達成中だ。さらに、昨年7月21日の日本ハム戦から5回より前に降板した登板はなく、8月4日の楽天戦から13試合連続で6イニング以上を投げる。昨年の後半戦から安定した投球を続けており、現時点でいえばマリーンズの先発陣のなかでもっとも信頼のおける投手といえるのではないだろうかーー。
もう1ランク上の投手になるためにも、完投勝利、完封勝利も達成して欲しいところだ。プロ2年目の18年10月2日のソフトバンク戦で完投を記録しているが、8回4失点の完投負けだった。プロ入り後、記録している完投数はこの1つで、完封は達成していない。
先発ローテーションに定着し安定した投球を見せはじめた昨年7月の取材で、完投勝利、完封勝利を挙げたい気持ちが強いか聞くと「みんなそうだと思います」と投げるからには一人で投げ抜きたいという思いは当然ある。完投、完封するために「課題は球数。いろいろ考えています」と今年1月の取材で、1人で投げ抜くための課題を明かしている。
プロ初完投から2年近くが経ち、投手としての技術、体力も大きく向上した。 “勝利の方程式”が確立され、プロ野球界で完投、完封をする先発投手は少なくなったが、ベンチでチームの勝利を見届けるのではなく、9回を1人で投げ抜き、マウンド上でチームメイトと勝利の喜びを分かち合う姿を見たい。常に高い向上心を持ち自身の技術向上を図る種市ならば、今季中に完投勝利、完封勝利を達成してくれるはずだ。
文=岩下雄太