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鈴木や川越につづけ…西武の3年目・高木渉が見せる進化の跡

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髪の色を落ち着かせ、好調をキープする高木渉 [写真提供=埼玉西武ライオンズ]

CAR3219フィールドで躍動する若獅子たち【第2回:高木渉】


 7月15日にリニューアルオープンした、西武の二軍本拠地『CAR3219フィールド』(かーみにーくふぃーるど)。すぐ隣に見えるメットライフドーム、すなわち一軍の舞台での活躍を目指し、若き獅子たちが日々経験を積んでいる。






 7月26日時点で各チームが20試合前後を消化しているイースタン・リーグ。西武は18試合を終えて9勝8敗1分とひとつの勝ち越し。そんなチームをバットで支えているのが、高卒3年目の20歳・高木渉である。

 真颯館高から2017年の育成ドラフト1位で入団すると、1年目のオフに支配下選手へとステップアップ。昨季はファームでチームトップタイの12本塁打を放つなど成長を見せ、6月には初の一軍昇格と初出場も果たしている。

 昨季は1試合・1度きりの一軍出場に終わり、今季は未だ一軍から声はかかっていないものの、ファームでは全18試合に出場して打率.280(75-21)、6本塁打、11打点と好調。リーグ5位の打率に、同3位タイの打点、さらに本塁打はリーグNo.1と、各部門でイースタン・リーグの上位に名を連ねている状況だ。


松井裕樹からの一撃


 そんな高木が進化を証明したのが、7月11日の楽天戦で放った今季第5号の本塁打。相手は一軍での実績豊富な左腕の松井裕樹だった。

 腕をコンパクトにたたんでバットを振り抜くと、打球はライトスタンドへ一直線。

 「(相手投手については)特に意識はなく、普通に“嬉しい”だけですね。相手を意識しすぎると、余計な力が入ることもありますから」

 本人はあくまでも“平常心”で打った一発であったことを強調する。


 つづけて、「良い投手なので、打ちたい気持ちは当然ある。あるけれど、その気持ちは出し過ぎないように。1打席の中で良いものを出したい、打てたら良いな、くらいで」。

 フルスイングで叩き込んだわけではなく、インコースをうまく捌いた“技あり”の一撃を振り返った。


プロ3年目の進化


 順調な歩みを進めているように見える男だが、昨季に関しては「浮き沈みがあった」という。

 「打てなかったら、『もうダメだ…』とすぐ落ち込んでいましたね。ただ、今年は打てない時期もありますが、その時に『どうして打てなかったんだろう』とか、試合の映像を見ながら『ちょっと次ここを変えてみようかな』という、自分に対しての研究心というか、分析する時間が増えてきたと思います」
 

 この心境の変化は、打撃フォームにも現れる。

 「良い時と悪い時の差をなくしたい」という想いから、これまでの“すり足打法”ではなく、意図的に右足を上げてタイミングを取るフォームに変更したのだ。

 「そこから一気に、感覚がガラッと変わりました」。ハタチがたしかな手ごたえを語る3年目の進化は、しっかりと自分と向き合うことができるようになったからこそのもの。

 二軍で打撃コーチを務める嶋重宣氏も、「去年と明らかにスイングが違うね。数段、力強くなった」と太鼓判を押す。


もう一度、一軍の舞台へ…


 昨年6月、わずかな時間ではあったが一軍に昇格した際には、「こんなところにいて良いのか…」と、“場違い”のような感覚があったという高木。しかし、今年はそれではいけない。

 開幕から1カ月とちょっと…。気が付けば鈴木将平や川越誠司といった“同じ釜の飯”を食った同志たちが、輝かしい舞台で奮闘中。「嬉しいけれど、もちろん悔しい気持ちの方が大きい」。戦友ではあるものの、同じ外野のポジションを争う彼らについて話が及ぶと、その目つきは鋭くなった。


 ファームにはこの高木をはじめ、今にも一軍の舞台に殴り込みをかけようかという若獅子たちが連日アピール中。

 立派なスタンドもできた『CAR3219フィールド』だが、今季のファーム戦は全試合無観客での開催が決定。それでも、結果とスコアシートは随時球団の公式サイトで更新されているうえ、今ではファーム戦を生中継・生配信するサービスも増加。現地に足を運ばずとも、有望株の活躍を見ることができるようになった。

 ちなみに、二軍本拠地に負けじと進化を遂げている一軍の本拠地・メットライフドームでは、大型フードエリア「GREEN FOREST DELI & CAFE」(グリーンフォレスト デリ&カフェ)がオープン。試合前から様々な食事を楽しめるようになったほか、NTTブロードバンドプラットフォーム株式会社とタッグを組んで、Lions Wi-Fiも使用可能にした。

 これにより、一軍の試合前にゆっくりと食事を楽しみつつ、Lions Wi-Fiを使ってすぐ隣で行われているファーム戦の中継をチェックする、といった超上級者レオ党の姿も見られた。

 彼らが待ち望んでいるのは、鈴木や川越のような活きの良い選手が一軍で活躍する姿を見ること。そんなファンも注目するネクストブレイク候補・高木渉から目が離せない。


文=尾崎直也
(コメント提供:埼玉西武ライオンズ)


コメント


▼ 佐藤友亮 二軍外野守備走塁コーチ
この春のキャンプから
ずっと一生懸命取り組んでいるし、
打球の追い方がすごく安定してきたね。
打球の前後を間違えるとか、
追い方がマズイとかいうことはなくなったから、
そのまま距離(守備範囲)を
広げていってほしいって感じかな。

高木はすごく賢い選手で、
根拠がちゃんとないとダメ。
「こうだから、こういう風な守備になっちゃうよ」
「こういう時はこうしましょう」と。
なぜなら、こうだから、と説明すれば、
理解できるし、自分でも復習している。
試合後も振り返りをよくやっているので、
成長するスピードは早いね。
それが精神的な安定につながっていると思うし、
精神的なムラが見えなくなったね。

本人には、まずはバッティングを
磨くように言っている。
持っているものは素晴らしい。
一軍で通用するのは打撃だから、
優先順位は一番。

その打撃を生かすため(打席を多くもらうため)には
安定して守らないといけない。
だから2番目は守備。
その中で足を使って守備範囲を広げていく、
スチールをする、
状況判断のいい走塁ができれば、
「じゃあ1試合任せてみようか」
「2試合任せてみようか」ってなるよ、
って話したよ。


▼ 嶋重宣 二軍打撃コーチ
(去年と比べて)
明らかにスイングが違うね。
数段、力強くなった。

昨年の春から6~7月にかけて、
たくさんの失敗をしていたけど、
それを何も言わず見守ってきたのは、
本人に気が付いて(感じて)ほしかったから。
逆にそれが生きたかなと思う。

もともとバットコントロールがあって、
タイミングの取り方も上手だけど、
力任せに引っ張り傾向のある
自分勝手なバッティングをしていたんだよね。
それがオールスター明けに自分で気が付いて、
「こういう風にやりたいんでこうします!」と
方向性を導き出せたことは大きいと思う。
徐々に彼のバッティングの柔らかさ、
持ち味というのが出てきたと思うし、
もともと天性の柔らかさを兼ね揃えた選手だから。

今は非常に頼もしく見えるよ。
自覚が見えるし、やる気・意識も感じる。
すべてにおいて大人になったなと思う。
それプラス、チームを引っ張っていこう
という意識も持ってくれている。
そういう意味も込めて3番を任せているし、
それは春のキャンプから本人に伝えていた。
「少々打てなくても変えないよ」とね。
まだ数試合だけど、
その期待に応えてくれている、
頑張ってくれていると感じます。
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