CAR3219フィールドで躍動する若獅子たち【第3回:佐藤龍世】
7月15日にリニューアルオープンした、西武の二軍本拠地『CAR3219フィールド』(かーみにーくふぃーるど)。すぐ隣に見えるメットライフドーム、すなわち一軍の舞台での活躍を目指し、若き獅子たちが日々経験を積んでいる。
7月30日の日本ハム戦。CAR3219フィールドの左中間へ大きな弧を描いたのが、4番に座った2年目内野手・佐藤龍世だ。
「ちょっとこすり気味でした。入るか不安でしたが、行ってくれてよかったです」
ルーキーイヤーの昨季は開幕一軍入りも果たし、レギュラーが定まったチームの中で52試合に出場。8月には持ち前のパンチ力を活かしてプロ初本塁打もマークした。
迎えた今季は開幕からファームで時間を過ごし、7月終了時点で21試合に出場。昨年積み重ねた経験からか、打席では“余裕”も垣間見え、30日の試合でも本塁打の後の打席はボール球を悠々と見送って2打席連続で四球をゲット。さらに第4打席ではレフト線への二塁打を放つなど、打てるボールをしっかりと捕らえることができている。
28日の日本ハム戦でも3安打の固め打ち、31日の巨人戦も同じく3安打と、とにかく状態が良い。
「ここ最近、だいぶ調子が上がってきました。監督はじめ、スタッフの方々とずっと一緒にやってきて、その成果が出てきているのかなという感じです」
本人も手ごたえを口にしている。
「野球をしていて気持ちが良いっす!」
6月20日のファーム開幕以降、6月は月間打率.276で本塁打はゼロとなかなかエンジンがかかってこなかった背番号31だが、それが7月は月間打率.333(51-17)で4本塁打。「調子が上がってきた」という本人の言葉を疑う余地はない。
現状について、「暖かくなってきて、身体のキレが出てきた」という部分をまず挙げたが、つづけて「タイミングも合っていますし、振る力がついてきていると思います」と、自身の成長も実感しているところ。
また、ファームの本拠地が新たに生まれ変わったことも大きなモチベーションになっていると言い、「球が見やすいですね。土もキレイですし、ビジョンも大きくて、なんかテンションが上がります。野球をしていて気持ちが良いっす!」と、笑顔を見せた。
しかし、当然ながら現状には満足していない。
2月、春のキャンプはA班でスタート。仲の良い山川穂高らとともに、陽が暮れて寒くなるまで宮崎・南郷スタジアムの室内練習場で打ち込む“練習の虫”と化していた。本来であれば、CAR3219フィールドは佐藤の居場所ではない。
「すぐに一軍に上がれるように頑張っています。ぜひ応援よろしくお願いします」
短く、それでいて力強い意気込みを述べ、“近くて遠い”メットライフドームを見据えた。
文=尾崎直也
(コメント提供:埼玉西武ライオンズ)