CAR3219フィールドで躍動する若獅子たち【第5回：岸潤一郎】

　7月15日にリニューアルオープンした、西武の二軍本拠地『CAR3219フィールド』（かーみにーくふぃーるど）。すぐ隣に見えるメットライフドーム、すなわち一軍の舞台での活躍を目指し、若き獅子たちが日々経験を積んでいる。


　昨秋のドラフト会議で指名された野手は3人。その中でいち早く一軍で出場機会を掴んだのが、ドラフト8位指名だった岸潤一郎だ。俊足と広い守備範囲、野性味溢れるプレーが印象的な岸は、“名門”明徳義塾で1年春からベンチ入りし、投手兼中軸打者として活躍するなど、その潜在能力の高さで高校時代から大きな注目を集めていた。

　高校卒業後は進学先の拓大を中退し、四国ILplusの徳島インディゴソックスに入団。徳島から西武に入団し、7月5日には初の一軍昇格を果たしたが、出場は3試合（3打席）にとどまった。結局、プロ初安打はお預けとなったまま、7月25日に登録抹消となったが、一軍に在籍した20日間は岸にとって掛け替えのない時間になったという。

　「1年目で（一軍のトップ選手たちを）見て、感じることができたのは本当に良かった」。目標とする選手たちのレベル、自分の置かれている現在地、そのすべてがより明確となった。

ニューフェイス続々の外野手陣の中で

　一軍に昇格した岸はまず、「自分のスイングに強さが足りないと思っていて…」と、「プロ野球で1、2を争う打者」と西武が誇る主砲の山川穂高にアドバイスを求め、「バッティングに正解はないから自分が今一番強く振れるスイングで練習してみたら」との金言を受けたとのこと。現在は、「（打撃の）形は一旦置いておいて、強く振れるようになってから形を意識しても大丈夫」いう助言をもとにバットを振り込む日々だ。

　そしてもうひとり、大きな影響を受けたのが、今年で37歳となるベテラン・栗山巧。近年は指名打者としての出場機会が多い栗山だが、「1打席1打席本当に入念に準備して打席に入っているのをみて、1打席にかける想いが凄いなって。自分がイメージしていたDHとは全然違っていました」と感銘を受けた。“これがプロなんだな”と肌で“凄み”を感じたという。

　そんな偉大な先輩たちの姿を間近で見続けた20日間を糧に、目指すは再びの一軍だ。高木渉、西川愛也、ファームで共に汗を流してきた好敵手たちは、一足早く一軍の舞台でプロ初安打をマークし、苦境に立つチームに活力を与えている。

「前回一軍で学んだことと、いま自分に足りていない部分を強化しているので、しっかり練習を続けてレベルアップして、呼ばれたときにはヒットを打てるようにしたい」

　好敵手の多い外野のポジションで定位置を掴むには、結果を残し続けるしかない。再び一軍の舞台に立ったとき、数少ないチャンスをモノにするため、今はメットライフドームに隣接するCAR3219フィールドで、鍛錬を日々を重ねていく。